<板橋宿でかすうどん>
雪まで降って氷点下の寒さになると、同じくらい冷え込んだ札幌のすすき野で深夜に食べた「かすそば」をどうにも懐かしく思いだしてしまった。
まずは國稀(くにまれ)を冷やで呑み、その店が三軒目でしとど酔っていたのだが、そんな状態でもあれはもうジツに旨かった。
あれをまた食べたい・・・できればいますぐに。
といって札幌へ行くわけにはいかない。
首都圏でもないだろうか・・・。
そう言えば誰かのブログの記事で読んだような気がするぞ。灰色の脳細胞を総動員してあちこちの記憶の棚をひっくり返して「板橋」というキーワードを探し出した。
「板橋、かすそば」で検索したら、ジャーン! 見事ヒットした。やった。きっとこの一番にある店だ。
さっそく情報をメモにとり、適当な口実で午後半休をとって出かけてみた。なにしろ行動力だけが取り柄のわたしであるのだ。
大江戸線を使い春日で三田線に乗り換え、本蓮沼という駅で降りた。
地上にあがったところが江戸時代の五街道の一つ、中山道である。中山道六十九次といって、内陸を通るので宿場の数は東海道より多い。
江戸時代、日本橋が主要街道の起点ではあったが、実際には江戸四宿と呼ばれる品川宿、千住宿、内藤新宿、そして板橋宿が機能していた。
板橋宿は三つの宿場の総称であり、北から上宿、仲宿、下宿(平尾宿ともいう)があった。本陣は仲宿に一軒、脇本陣は各宿に一軒ずつ、旅籠は五十軒を超えたそうである。
板橋は、仲宿付近の石神井川に架けられていて、地名である「板橋」の由来とされる橋である。
なかなか風情のある酒場をみつけて、この地に再訪したらいってみよう頭にメモする。
さてと、目当ての店の場所は、たしか昔の上宿あたりの見当だ。
中山道を道なりに北の志村坂上方面にすこし歩いたところにみつけた。勢い良すぎて店の前を一度通り過ぎてから慌てて戻る。
カウンター席のみの小体な明るい店である。
(うーむ・・・。看板にはたしかに「そば」って書いてあったよなあ・・・)
ない。立ったままメニューを穴が開くほど見つめるのだが、うどんだけである。「そば」の二文字がない。がっくりきて肩を落とすが、もうこうなればしょうがない。
「かすうどんをください」
ちょっと違うが、讃岐うどんを食べに車をガンガン飛ばして信州戸隠に来てしまったような心境である。
「大盛にしましょうか。値段は変わりませんから」
とんでもない。まずかったら後悔する。「いえ、ふつうでいいです」。
「おにぎりか、ご飯がサービスですけど付けますか」
「じゃあ、おにぎりをお願いします」
うどんは関西よりは讃岐に近い上モノで満足このうえないし、鰹と昆布から丁寧に引いた「だし」も相当に旨い。極上である。
丹波米のおにぎりももう一個食べたかったくらいであった。ただ「かす」はわたしの望みどおりの、細かく砕かれしっとりして、ゆるりと、だしと渾然一体のものとはいかなかった。
もしも、もう一度きたらシンプルなぶっかけうどんを食べてみたい。
ただ、この店のメニューはちょっと気にいらない。並でも大盛でも同じ値段、おにぎりはサービスという、アバウトなところがどうにもわたしの性に合わないのだ。リピーターになりにくいシステムである。
大盛は百円とか、おにぎりは百二十円とかキッチリ明朗に決めてほしい。客は、いやわたしは自分でこれとこれをと決めて頼みたいのである。
老爺心ながらいわせていただくと、消費税も上がることだし、メニューを一考したら如何だろうか。
それと商売なのだから「看板に偽りあり」はおおいにマズい。メニューのことはさておいて、看板に書いてある「そば」の文字はぜひとも、マジックででもいいので塗りつぶしてほしいものである。
→「すすきのの、かすそば」の記事はこちら
雪まで降って氷点下の寒さになると、同じくらい冷え込んだ札幌のすすき野で深夜に食べた「かすそば」をどうにも懐かしく思いだしてしまった。
まずは國稀(くにまれ)を冷やで呑み、その店が三軒目でしとど酔っていたのだが、そんな状態でもあれはもうジツに旨かった。
あれをまた食べたい・・・できればいますぐに。
といって札幌へ行くわけにはいかない。
首都圏でもないだろうか・・・。
そう言えば誰かのブログの記事で読んだような気がするぞ。灰色の脳細胞を総動員してあちこちの記憶の棚をひっくり返して「板橋」というキーワードを探し出した。
「板橋、かすそば」で検索したら、ジャーン! 見事ヒットした。やった。きっとこの一番にある店だ。
さっそく情報をメモにとり、適当な口実で午後半休をとって出かけてみた。なにしろ行動力だけが取り柄のわたしであるのだ。
大江戸線を使い春日で三田線に乗り換え、本蓮沼という駅で降りた。
地上にあがったところが江戸時代の五街道の一つ、中山道である。中山道六十九次といって、内陸を通るので宿場の数は東海道より多い。
江戸時代、日本橋が主要街道の起点ではあったが、実際には江戸四宿と呼ばれる品川宿、千住宿、内藤新宿、そして板橋宿が機能していた。
板橋宿は三つの宿場の総称であり、北から上宿、仲宿、下宿(平尾宿ともいう)があった。本陣は仲宿に一軒、脇本陣は各宿に一軒ずつ、旅籠は五十軒を超えたそうである。
板橋は、仲宿付近の石神井川に架けられていて、地名である「板橋」の由来とされる橋である。
なかなか風情のある酒場をみつけて、この地に再訪したらいってみよう頭にメモする。
さてと、目当ての店の場所は、たしか昔の上宿あたりの見当だ。
中山道を道なりに北の志村坂上方面にすこし歩いたところにみつけた。勢い良すぎて店の前を一度通り過ぎてから慌てて戻る。
カウンター席のみの小体な明るい店である。
(うーむ・・・。看板にはたしかに「そば」って書いてあったよなあ・・・)
ない。立ったままメニューを穴が開くほど見つめるのだが、うどんだけである。「そば」の二文字がない。がっくりきて肩を落とすが、もうこうなればしょうがない。
「かすうどんをください」
ちょっと違うが、讃岐うどんを食べに車をガンガン飛ばして信州戸隠に来てしまったような心境である。
「大盛にしましょうか。値段は変わりませんから」
とんでもない。まずかったら後悔する。「いえ、ふつうでいいです」。
「おにぎりか、ご飯がサービスですけど付けますか」
「じゃあ、おにぎりをお願いします」
うどんは関西よりは讃岐に近い上モノで満足このうえないし、鰹と昆布から丁寧に引いた「だし」も相当に旨い。極上である。
丹波米のおにぎりももう一個食べたかったくらいであった。ただ「かす」はわたしの望みどおりの、細かく砕かれしっとりして、ゆるりと、だしと渾然一体のものとはいかなかった。
もしも、もう一度きたらシンプルなぶっかけうどんを食べてみたい。
ただ、この店のメニューはちょっと気にいらない。並でも大盛でも同じ値段、おにぎりはサービスという、アバウトなところがどうにもわたしの性に合わないのだ。リピーターになりにくいシステムである。
大盛は百円とか、おにぎりは百二十円とかキッチリ明朗に決めてほしい。客は、いやわたしは自分でこれとこれをと決めて頼みたいのである。
老爺心ながらいわせていただくと、消費税も上がることだし、メニューを一考したら如何だろうか。
それと商売なのだから「看板に偽りあり」はおおいにマズい。メニューのことはさておいて、看板に書いてある「そば」の文字はぜひとも、マジックででもいいので塗りつぶしてほしいものである。
→「すすきのの、かすそば」の記事はこちら
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