<コッペパンと、たこタイ焼き>
錦糸町駅から目指すキラキラ橘商店街までは、ざっと四キロくらいである。
電車を乗り継ぐのも面倒なので歩くことにした。最近、毎朝毎晩に四キロをウォーキングしているわたしにはちょうどいい距離だ。
途中で、ランチタイムサービスをやっている中華料理をみつけて昼を食べることにした。
迷ったすえ、青椒肉絲定食を注文する。
(おぉ、これは旨い!)
いい店をみつけた。幸先がいい。覚えておいて次には別のものを試すとしよう。
横浜駅の西口にまだ三越デパートがあったころ、そこの地下に旨い「青椒肉絲」を食べさせる店があった。これを味の基準にしているので、それからどこで食べてもなかなか納得のいく味の店がみつからなかったのだ。
さて、歩くのは腹ごなしに丁度いい。適当に近道を選んでいると、スカイツリーが左手に現れた。
ようやく、明治通り沿いの商店街入り口に到着した。
明治通りといえば、この道をひたすら南下して歩いていけば「砂町銀座」にもつながるわけだな、とハタと思いつく。
三ノ輪の「元祖青木屋」のコッペパンは、大ぶりなメンチカツやコロッケを挟むのでちょいと太っちょである。
それに比べると、キラキラ橘商店街にある「ハト屋」は、すっきりスリムな体型のコッペパンが並んでいる。
「コッペパンください」
というか、それしかないのである。
「いくつ?」
何個も買う客ばかりなのだろう、初老のご主人が訊きかえした。
「すぐ食べますのでひとつでいいです。あっと、ジャムを付けてください」
これも、ピーナッツバターかイチゴジャムと選択肢が限られているのだ。
主人がショーケースからコッペパンをひとつ持つと、手元が見えない台のところに戻って、手際よくジャムパンにしてくれている。
視線を落とすと、店内のあちこちを猫が二匹ほど闊歩している。
この昭和レトロな商店街では、路地裏でけっこう猫を見かけるのだ。野良でも、町の猫好きが面倒をみてくれているらしく、おっとりした警戒心がない猫が多い。
買おうかどうしようか迷ったおでん屋の斜め向かいの公園のベンチでは、新聞を読む男性とスマホの若者との真ん中に猫がのびのびと安心しきって昼寝していた。
美酒・美食・美女が好きなのは男の常だが、わたしは美猫にも弱い。いろいろと仲良くなろうと試したのだが、この町の猫達は満ち足りているらしくまるでなびいてくれなかった。
「二匹、飼っているのですか」
猫好きなものだから、つい訊いてしまう。
「何匹か、って訊かれてもねぇ、野良で勝手に居ついてしまったみたいなものだからなあ。他にも店に入ってくるしねぇ」
はい、お待たせと、ジャムパンの入ったビニール袋を手渡ししてくれる。コッペパンが百二十円、ジャムが三十円、合計で百五十円を支払った。
どうにも待ち切れず、行儀が悪いが歩きながらムシャムシャかぶりついてしまう。かまうことない、どうせ知っている顔などいないのだ。
なかの生地がふわふわで、ほのかな塩分にジャムが際立ち、なんとも旨い。甘党ではないのだが、こいつは止まらない。
もう少しだけ食べられそうなので、気になっている「たこタイ焼き」をひとつ食べてみることにした。
「たこ焼きが入ったタイ焼き・・・って、アンタ平気なの?」
と思われるかもしれないが、わたしは実は東名高速上り線の足柄サービスエリアの「お好み焼きのタイ焼き」を食べ慣れているので、さほど抵抗はない。
ひと口食べてみると、たこ焼きが顔を出した。
プリプリの蛸の歯ごたえがアクセントに、こちらもオツな味でつい焼酎の水割りに合わせたくなる。
お好み焼きのタイ焼きといっしょで、こちらもちょっと癖になりそうな味わいであった。
ところで、コッペパンだが、この次は何個か買って持ち帰り、バターを塗ってハムとチーズを挟んで食べてみたい。
→「砂銀で塩うどん」の記事はこちら
→「鬼子母神から王子権現へ(2)」の記事はこちら
錦糸町駅から目指すキラキラ橘商店街までは、ざっと四キロくらいである。
電車を乗り継ぐのも面倒なので歩くことにした。最近、毎朝毎晩に四キロをウォーキングしているわたしにはちょうどいい距離だ。
途中で、ランチタイムサービスをやっている中華料理をみつけて昼を食べることにした。
迷ったすえ、青椒肉絲定食を注文する。
(おぉ、これは旨い!)
いい店をみつけた。幸先がいい。覚えておいて次には別のものを試すとしよう。
横浜駅の西口にまだ三越デパートがあったころ、そこの地下に旨い「青椒肉絲」を食べさせる店があった。これを味の基準にしているので、それからどこで食べてもなかなか納得のいく味の店がみつからなかったのだ。
さて、歩くのは腹ごなしに丁度いい。適当に近道を選んでいると、スカイツリーが左手に現れた。
ようやく、明治通り沿いの商店街入り口に到着した。
明治通りといえば、この道をひたすら南下して歩いていけば「砂町銀座」にもつながるわけだな、とハタと思いつく。
三ノ輪の「元祖青木屋」のコッペパンは、大ぶりなメンチカツやコロッケを挟むのでちょいと太っちょである。
それに比べると、キラキラ橘商店街にある「ハト屋」は、すっきりスリムな体型のコッペパンが並んでいる。
「コッペパンください」
というか、それしかないのである。
「いくつ?」
何個も買う客ばかりなのだろう、初老のご主人が訊きかえした。
「すぐ食べますのでひとつでいいです。あっと、ジャムを付けてください」
これも、ピーナッツバターかイチゴジャムと選択肢が限られているのだ。
主人がショーケースからコッペパンをひとつ持つと、手元が見えない台のところに戻って、手際よくジャムパンにしてくれている。
視線を落とすと、店内のあちこちを猫が二匹ほど闊歩している。
この昭和レトロな商店街では、路地裏でけっこう猫を見かけるのだ。野良でも、町の猫好きが面倒をみてくれているらしく、おっとりした警戒心がない猫が多い。
買おうかどうしようか迷ったおでん屋の斜め向かいの公園のベンチでは、新聞を読む男性とスマホの若者との真ん中に猫がのびのびと安心しきって昼寝していた。
美酒・美食・美女が好きなのは男の常だが、わたしは美猫にも弱い。いろいろと仲良くなろうと試したのだが、この町の猫達は満ち足りているらしくまるでなびいてくれなかった。
「二匹、飼っているのですか」
猫好きなものだから、つい訊いてしまう。
「何匹か、って訊かれてもねぇ、野良で勝手に居ついてしまったみたいなものだからなあ。他にも店に入ってくるしねぇ」
はい、お待たせと、ジャムパンの入ったビニール袋を手渡ししてくれる。コッペパンが百二十円、ジャムが三十円、合計で百五十円を支払った。
どうにも待ち切れず、行儀が悪いが歩きながらムシャムシャかぶりついてしまう。かまうことない、どうせ知っている顔などいないのだ。
なかの生地がふわふわで、ほのかな塩分にジャムが際立ち、なんとも旨い。甘党ではないのだが、こいつは止まらない。
もう少しだけ食べられそうなので、気になっている「たこタイ焼き」をひとつ食べてみることにした。
「たこ焼きが入ったタイ焼き・・・って、アンタ平気なの?」
と思われるかもしれないが、わたしは実は東名高速上り線の足柄サービスエリアの「お好み焼きのタイ焼き」を食べ慣れているので、さほど抵抗はない。
ひと口食べてみると、たこ焼きが顔を出した。
プリプリの蛸の歯ごたえがアクセントに、こちらもオツな味でつい焼酎の水割りに合わせたくなる。
お好み焼きのタイ焼きといっしょで、こちらもちょっと癖になりそうな味わいであった。
ところで、コッペパンだが、この次は何個か買って持ち帰り、バターを塗ってハムとチーズを挟んで食べてみたい。
→「砂銀で塩うどん」の記事はこちら
→「鬼子母神から王子権現へ(2)」の記事はこちら
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