<高原の絶品蕎麦>
「いま、そこでカトウなんちゃらっていうタレントがテレビクルーを連れて取材に来てたよ」
「へぇー、そうなんだ」
常連の一人客が、やはり常連らしい三人連れの客と厨房に話しかけている。
蕎麦を待つ間に供される、山形らしい盛りのいいぴり辛いお新香と山菜を炊いたものをつまみながら、背中での会話を聞くともなく聞いてしまう。
(こんだけのつまみがあれば三、四合は呑めるな・・・)
と、酒呑みはついくだらないことを考えてしまう。
この店、最近の蕎麦屋には珍しく、喫煙できるのがなんとも嬉しい。
「この高原が紹介されて客が増えるのはありがたいが、この蕎麦屋が混むのはちょっと困るなあ・・・」
「そりゃ、そうだな」
三人連れが声を揃えていう。
たしかに同感である。心の中でわたしは何度も頷いてしまう。
厨房のほうは繁盛するにこしたことはないので、ここは無言である。
前森高原は山形の最上町にあり、知る人ぞ知るといった高原である。
乗馬ができたり、アイスクリームを作ったり動物と触れ合うことができるのだが、この高原に抜群に旨い蕎麦屋があるのだ。
高原の蕎麦屋の屋号は「はらっ葉」である。
「おまたせしました、はらっぱ蕎麦です」
おっ、これだ、これだ。
前回に来たときには板そばを食べたのだが、周りで<はらっぱ蕎麦>を旨そうに食べているひとが多くて、次回は迷わずそれを食べようと決めていたのだ。
板そばもここは旨かった。
現にいま店にいる常連と思える男性客たちは、いずれも板そばを注文している。
大根おろしをていねいに混ぜて、ひとくち食べる。
うむ、やっぱり思ったとおりである。
山形蕎麦独特の濃い味わいに、深い風味が加わっている。
その風味は狙ったわけではないのだろうがあの越前そばと、会津大内宿の高遠そばにばっちり通じている、ド偉く旨い蕎麦だ。
山形はだいたい「もぐもぐ系」の蕎麦が多い。
東京の蕎麦通をきどって、いつものように啜り込むと喉につまって救急車のお世話になってしまう。山形ではきどらずにもぐもぐ食べるのが正解である。
ただ、ここの店の蕎麦はそんな蕎麦通もきどって食べられる細さで、味は山形蕎麦というのだから嬉しい。
さすが山形なので、蕎麦の量はたっぷりあって腹いっぱいに満足させてくれる。
シメには、蕎麦猪口にそばつゆを入れたものと、蕎麦湯を出してくれた。
なんともいきとどいていて頭がさがる。
次に来た時は「板そば」と「はらっぱそば」のどちらにするか、どうにも悩むことになりそうである。
→「越前そばにハズレなし」の記事はこちら
→「三澤屋の高遠蕎麦」の記事はこちら
「いま、そこでカトウなんちゃらっていうタレントがテレビクルーを連れて取材に来てたよ」
「へぇー、そうなんだ」
常連の一人客が、やはり常連らしい三人連れの客と厨房に話しかけている。
蕎麦を待つ間に供される、山形らしい盛りのいいぴり辛いお新香と山菜を炊いたものをつまみながら、背中での会話を聞くともなく聞いてしまう。
(こんだけのつまみがあれば三、四合は呑めるな・・・)
と、酒呑みはついくだらないことを考えてしまう。
この店、最近の蕎麦屋には珍しく、喫煙できるのがなんとも嬉しい。
「この高原が紹介されて客が増えるのはありがたいが、この蕎麦屋が混むのはちょっと困るなあ・・・」
「そりゃ、そうだな」
三人連れが声を揃えていう。
たしかに同感である。心の中でわたしは何度も頷いてしまう。
厨房のほうは繁盛するにこしたことはないので、ここは無言である。
前森高原は山形の最上町にあり、知る人ぞ知るといった高原である。
乗馬ができたり、アイスクリームを作ったり動物と触れ合うことができるのだが、この高原に抜群に旨い蕎麦屋があるのだ。
高原の蕎麦屋の屋号は「はらっ葉」である。
「おまたせしました、はらっぱ蕎麦です」
おっ、これだ、これだ。
前回に来たときには板そばを食べたのだが、周りで<はらっぱ蕎麦>を旨そうに食べているひとが多くて、次回は迷わずそれを食べようと決めていたのだ。
板そばもここは旨かった。
現にいま店にいる常連と思える男性客たちは、いずれも板そばを注文している。
大根おろしをていねいに混ぜて、ひとくち食べる。
うむ、やっぱり思ったとおりである。
山形蕎麦独特の濃い味わいに、深い風味が加わっている。
その風味は狙ったわけではないのだろうがあの越前そばと、会津大内宿の高遠そばにばっちり通じている、ド偉く旨い蕎麦だ。
山形はだいたい「もぐもぐ系」の蕎麦が多い。
東京の蕎麦通をきどって、いつものように啜り込むと喉につまって救急車のお世話になってしまう。山形ではきどらずにもぐもぐ食べるのが正解である。
ただ、ここの店の蕎麦はそんな蕎麦通もきどって食べられる細さで、味は山形蕎麦というのだから嬉しい。
さすが山形なので、蕎麦の量はたっぷりあって腹いっぱいに満足させてくれる。
シメには、蕎麦猪口にそばつゆを入れたものと、蕎麦湯を出してくれた。
なんともいきとどいていて頭がさがる。
次に来た時は「板そば」と「はらっぱそば」のどちらにするか、どうにも悩むことになりそうである。
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