<熊本、菊池渓谷を歩く(1)>
緩やかなS字カーブを上っていくと、前方左手に駐車場が現れた。
(無料駐車場・・・か。違うなこの先だな)
ゆるめたアクセルをまた踏み込む。それほど広くない街道だが、行きかう車の数はかなり多い。
それもそのはずで、菊池温泉から菊池渓谷への道は、阿蘇絶景の展望スポット「大観峰(だいかんぼう)」への道でもあるのだ。菊池渓谷までの所要時間は二十分、その大観望へは渓谷からさらに二十分くらい走ればいける。
第二駐車場を過ぎると、目当ての第一駐車場があった。入口で車を止められ、目の前に<満車>の立て札が置かれた。晴れたので朝からどっと観光客が押し寄せたようだ。一台車が出るのを待つか、第二駐車場に戻るかの選択を求められた。待つことはわたしの行動ルールの原則に反する。迷いなく戻ることを決めた。
菊池に来たのは、有り体にいえばわたしには珍しく温泉は添え物で、目的は菊池渓谷である。なにしろ前回はカメラを持たずに訪れたので、時折ちらりと思い出す渓谷は、素晴らしいのだがいまひとつ鮮明ではない。だから今回は再度脳裡に焼きつけ、次いでに画像も撮るつもりなのだ。
菊池渓谷は熊本自然休養林、日本森林浴の森百選、日本名水百選、日本の滝百選、水源の森百選、くまもとの緑百選、熊本の自然百選、新くまもと百景に選ばれている。
渓谷入口に掘立小屋のような協力金収受所があり、維持管理協力金の名目で百円を支払う。渓谷は、2016年4月の熊本地震で入谷禁止だったのが、2018年3月から入谷を再開した。
収受所裏にある展望所の脇の橋を渡る。
橋の上で立ちどまり、これから入って行く渓谷を見渡した。
さあ、ここからが遊歩道である。わくわくして、思わず武者震いをしてしまう。枯葉が敷き詰められているので、濡れていると滑りそうだ。
先客たちが足をとめて見あげていて、みると少しだけ紅葉が残っていた。
黎明の滝。
由来にはこうあった。
「上流は緩やかな石畳の紅葉ヶ瀬それを覆う緑の原生林、奇岩、怪石の渓谷のあいまを縫って流れ落ちる滝。飛散する水しぶきに朝の太陽が輝いて一帯に靄が立ち込め、まさしく夜明けを思わせる景観を呈するところからこの名が付けられたという。」
遊歩道の周りの杉の木だが、江戸時代文政六年(1823年)ごろ植えられたものである。
その杉の巨木を見あげれば、木洩れ日が、溜息がでるほど見事な光の束を斜めに投げかけている。
清流が岩を食んで荒々しく四散したり、静かにせせらいだりして、下流に流れていく。
(おぉ、これは・・・)
きらきらと眩しい朝の光が充満する空間に、打ち寄せ岩に爆ぜた清流の水しぶきから放たれた水の妖精が微細な鳥の群れのように旋回し、乱舞する・・・・・・。
まさに、息を呑むような光景だった。
― 続く ―
→「熊本、菊池温泉」の記事はこちら
→「黒川温泉(1)」の記事はこちら
→「黒川温泉(2)」の記事はこちら
緩やかなS字カーブを上っていくと、前方左手に駐車場が現れた。
(無料駐車場・・・か。違うなこの先だな)
ゆるめたアクセルをまた踏み込む。それほど広くない街道だが、行きかう車の数はかなり多い。
それもそのはずで、菊池温泉から菊池渓谷への道は、阿蘇絶景の展望スポット「大観峰(だいかんぼう)」への道でもあるのだ。菊池渓谷までの所要時間は二十分、その大観望へは渓谷からさらに二十分くらい走ればいける。
第二駐車場を過ぎると、目当ての第一駐車場があった。入口で車を止められ、目の前に<満車>の立て札が置かれた。晴れたので朝からどっと観光客が押し寄せたようだ。一台車が出るのを待つか、第二駐車場に戻るかの選択を求められた。待つことはわたしの行動ルールの原則に反する。迷いなく戻ることを決めた。
菊池に来たのは、有り体にいえばわたしには珍しく温泉は添え物で、目的は菊池渓谷である。なにしろ前回はカメラを持たずに訪れたので、時折ちらりと思い出す渓谷は、素晴らしいのだがいまひとつ鮮明ではない。だから今回は再度脳裡に焼きつけ、次いでに画像も撮るつもりなのだ。
菊池渓谷は熊本自然休養林、日本森林浴の森百選、日本名水百選、日本の滝百選、水源の森百選、くまもとの緑百選、熊本の自然百選、新くまもと百景に選ばれている。
渓谷入口に掘立小屋のような協力金収受所があり、維持管理協力金の名目で百円を支払う。渓谷は、2016年4月の熊本地震で入谷禁止だったのが、2018年3月から入谷を再開した。
収受所裏にある展望所の脇の橋を渡る。
橋の上で立ちどまり、これから入って行く渓谷を見渡した。
さあ、ここからが遊歩道である。わくわくして、思わず武者震いをしてしまう。枯葉が敷き詰められているので、濡れていると滑りそうだ。
先客たちが足をとめて見あげていて、みると少しだけ紅葉が残っていた。
黎明の滝。
由来にはこうあった。
「上流は緩やかな石畳の紅葉ヶ瀬それを覆う緑の原生林、奇岩、怪石の渓谷のあいまを縫って流れ落ちる滝。飛散する水しぶきに朝の太陽が輝いて一帯に靄が立ち込め、まさしく夜明けを思わせる景観を呈するところからこの名が付けられたという。」
遊歩道の周りの杉の木だが、江戸時代文政六年(1823年)ごろ植えられたものである。
その杉の巨木を見あげれば、木洩れ日が、溜息がでるほど見事な光の束を斜めに投げかけている。
清流が岩を食んで荒々しく四散したり、静かにせせらいだりして、下流に流れていく。
(おぉ、これは・・・)
きらきらと眩しい朝の光が充満する空間に、打ち寄せ岩に爆ぜた清流の水しぶきから放たれた水の妖精が微細な鳥の群れのように旋回し、乱舞する・・・・・・。
まさに、息を呑むような光景だった。
― 続く ―
→「熊本、菊池温泉」の記事はこちら
→「黒川温泉(1)」の記事はこちら
→「黒川温泉(2)」の記事はこちら
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます