温泉クンの旅日記

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十条の鯖燻(3)

2015-04-22 | 食べある記
  <十条の鯖燻(3)>

 十条銀座を何度も行ったり来たりしてたっぷりの時間を潰して、そろそろいい時間になった。
 踏切を渡って目的の店「田や」に近づくと、赤提灯が灯り縄暖簾が下がっていた。



 中が見えず入りづらいが、ガラリと引き戸を開けて中に入った。
「いらっしゃいませ」
 元気な声がかかる。いい感じだ。
 入ってすぐの右手の大きなコの字型のカウンター席、左手が小上がりにしては広い奥行きのある座敷席であった。カウンターが二十席くらい、座敷が軽く三十席くらいの案外大きな居酒屋である。

「お客様、ご予約は?」
 まずい、この店って予約が必要だったのかよ。まだ開店して十五分くらいしか経ってないのに・・・。すこし慌てて「いえ、していませんが・・・」と答えると、すんなりカウンター席に案内された。あとでわかるのだが、いまは殆どガラガラの座敷席も本日は予約で一杯だそうだ。

 既に十席ほど埋まったカウンター席に落ち着き、飲み物はと訊かれ、とりあえず癖で芋の水割りを頼む。



 芋焼酎の水割りと豪華な突出しが運ばれてきた。



 ひとり乾杯をしてから、店内の壁に所狭しと貼られたメニューを吟味する。とりあえず今日の大目的の「鯖の燻製」をみつけ、さっそく注文した。他にもいろいろ頼みたい品が多い。稲庭うどんとか揖保の糸なんてのもあった。
 ほどなく到着した鯖の燻製の、なんとまあ色味のいいこと。



 さっそく一切れいってみる。客に出す前に、ちゃんと炙るくらいの熱を通して提供されている。
 脂ののったやわらかな焼き鯖の身がスモークの香りをまとったようである。燻製にして鯖の旨味をしっかりと封じこめたようである。こいつは白いご飯よりもどちらかというと酒にこそ合う逸品だ。
 芋焼酎のつまみとして、新じゃがを慌てて追加する。



 新じゃがは春先から初夏までが、ばっちりの食べごろである。

 秋田の高清水はないかと訊くと、冷酒ならばあるというので酒に切り替え、ついでに眼をつけていた「ばっきゃみそ」を追加した。高清水も秋田以来かもしれない。



 わたしの「ばっきゃみそ」の注文を聞いて左隣の客が同じものを追加注文したのが微笑ましい。
「ばっきゃみそ」は「ばっけ味噌」ともいい東北の青森、秋田、岩手でつくられている。ふきのとうの香りとほろ苦さを楽しむ味噌である。



 こいつを初めて食べたのは秋田の角館で、まさに春の味を味わえるのだ。
 鯖の燻製と同じく酒と合性抜群のつまみになるのだが、おにぎりの具とにしてもきっと最高だろう。

 時間の経過とともにカウンターの客は入れ替わり、座敷が埋まってきた。
 鯖の燻製とばっきゃみその贅沢なつまみで高清水の冷酒をクイクイと二本呑んでしまった。魚介系解禁の儀式はまずは大成功である。

 芋焼酎の水割りのジョッキと冷酒が四合・・・か。
 もう一本追加しようかと迷い、ふとアウェィの客であることを思いだしたので勘定をしてもらうことにした。見知らぬ遠い土地での冷酒は危険そのもので自信が揺らいだのだ。距離はアウェイの酒場だが、居心地はとてもよかった。

 呑兵衛だから、それでも最後にもう一杯と、しつこく十条銀座の入り口近くの食堂に行ったら閉まっていた。あとで知ったが八時閉店とのことだ。



 しょうがないのでラーメン屋で最後の一杯を呑んで、また来るぞとアウエィ十条を後にしたのであった。



  →「ロジネコのへしこ」の記事はこちら
  →「秋田杉と千秋麺(1)」の記事はこちら
  →「秋田杉と千秋麺(2)」の記事はこちら
  →「十条の鯖燻(1)」の記事はこちら
  →「十条の鯖燻(2)」の記事はこちら

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