温泉クンの旅日記

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滋賀・堅田、浮御堂(2)

2023-09-17 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <滋賀・堅田、浮御堂(2)>

 とても小さな浮御堂なので、すぐに裏側に出てしまった。
 たしか、広重の浮世絵「堅田の落雁」は、この沖合あたりから浮御堂を描いた構図だった。

 

 

 湖のこの方角は、雄琴温泉とか大津方面であろう。

 

 浮御堂への湖上の架け橋を戻ると、岸辺で振り返って、浮御堂の風景を脳裡にしっかりと刻み込んだ。

 

 浮御堂の手前にある、入母屋造の三間堂の「観音堂」は満月寺の本堂で、内部には本尊木造<聖観音座像>を安置している。残念ながら後で知ったのだが、ここの内部の立派な天井画をぜひとも鑑賞したほうがよかったらしい。

 

 楼門のそばに、五月雨に濡れた浮御堂の美しさを詠んだ「阿波野青畝(あわのせいほ)」の向碑が立っていた。

 

        五月雨の雨垂ばかり浮御堂

 青畝は山口誓子や山口素十、水原秋桜子らとともに「ホトトギスの四S」と称された昭和初期の俳人である。

 楼門の脇に新品の灰皿が設置してあったので、ありがたく一服させてもらった。
(しかし・・・広重に浮世絵を描かせ、芭蕉に句を詠ませるとは、浮御堂はとんでもない名所スポットだ!)
 早起きして京都から駆けつけた甲斐はあったというものである。

 自販機でミネラルウォーターのボトルを買って、掌と首の後ろにあてがって冷やしてから、首に巻いたタオルに掛けて絞った。
 小さなボトルで量が少なかったので、喉の渇きがいまひとつ癒せない。
 駅から浮御堂まで来るときは、最短の寂しい近道(たぶん)を通ってきたので、帰りは店も並ぶ参道っぽい径を使うことにした。
 参道の歩きはじめに、「嶋屋」という和菓子屋をみつけて、すこしばかり休憩をとることにした。冷房が恋しい。

 

 店先の貼り紙のなかに「梅大福」というのを目ざとく発見する。いままさに必要な糖分と塩分が同時にとれるじゃないか。
「この参道を歩いていったら、タクシーなんか捕まりますか?」
 この四十度近くなった気温のなか、帰りの歩きはやめておいたほうが良さそうだ。健脚でも真夏日は無理しないほうがいい。店の綺麗な若奥さんに尋ねると、当てにならないタクシーよりバスを使ったほうが断然便利がいいという。

 

 奥の静かな喫茶スペースで待っていると、注文したものを運んでくれたときに、調べてくれたバスの時間を教えたくれた。バス停は参道を道なりに進めば5分で着くという。
 さり気ない親切が、旅先ではとてもありがたい。感謝だ。
 それに、店先の外に設置した長椅子で、一服できそうな余裕も幸いありそうだ。

 

 温かくない“冷たい”抹茶といったら「抹茶パフェ」になってしまったが、まあこの際いいとしよう。
 抹茶パフェの「アイス」が極上の味で、梅大福も甘酸っぱくてとても美味しく、二個にしとけばよかったかも。

 


  →「滋賀・堅田、浮御堂(1)」の記事はこちら



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