本日紹介する浜田庄司の作品は門窯作品と浜田庄司が得意とする蝋抜の技法の作品の紹介です。
流掛茶碗 浜田庄司作(門窯) 茶碗 その11
共箱 誂塗二重箱
口径111*高さ96*高台径58
浜田窯(浜田庄司門窯)は浜田庄司氏と同じ大窯で焼かれていて魅力ある器を多く残しています。また、歴代の陶工には島岡達三、晋作、篤哉両氏の他、名うての陶工が肩を並べます。
この作品は門窯の作品ですが、かなり本人作にしてもいほど初期の作として出来の良いものです。
この作品は当方の蒐集の早い時期に蒐集家から戴いた作品で、外箱まで誂えています。
当時では私にとって浜田庄司の作品などは高嶺の花でしたので、頂いた時に非常に感動した覚えがあります。
茶碗としては非常に使いやすい作品ですね。
半筒茶碗として、寒い時期には普段使いの茶器としていいものだと思います。
なお門窯と浜田自身による作品とは共箱の印章で区別されますが、門窯では湯飲みや花瓶など普段使いの器が多く作られていますが、茶碗は珍しいかもしれません。
次の作品は蝋抜の技法による花瓶の作品です。
柿釉面取抜繪花瓶 浜田庄司作 花瓶 その5
杉共箱
高さ305*胴径150~125*口径90*高台径102
蝋抜とは、溶かした蝋を塗った部分が釉薬をはじくことによって、文様を浮かびあがらせる技法のことです。
本作では、蝋抜部分にさらに柿[赤色]の釉を掛けて表現された黍の文様が配され、鉄釉の輝きと蝋抜部分からのぞく土のマットな質感との対比が見どころです。
面取や文様はあきらかに李朝の影響を受けているものと推察できます。
なお浜田庄司は「面取りの技術は李朝には敵わない」と記述している資料もあります。
浜田庄司は初期から最晩年までこの蝋を使った抜絵技法を好んで用いています。作品では、抜きの技法で地を生かして唐黍文(とうきびもん)のデザインを表現しています。美しく非常に力強く勢いのある唐黍文です。唐黍文は、人間国宝の濱田庄司先生のトレードマークとなっています。
また、ところどころに黒味が現れた柿釉は、この作品を重厚かつ格調高いものに昇華させています。いっぽう、この高台の形状は、浜田庄司の作品特有の形で大きくしっかりとしたものになっています。
なお一切の作品に浜田庄司は作家と呼ばれることを望まず、工人であろうとしたため高台などに銘は入れていません。
河井寛次郎も同じく銘を基本的に入れませんが、初期の頃作品には銘のある作品があります。
さてとりあえず整理完了です。