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掛け軸ばかり多くなると気軽に壁に掛ける額装の作品との比率のバランスが悪くなるので、ときおり共箱などない軸装の作品を気軽に飾れる額装に改装するようにしています。
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本日は以前に本ブログにて紹介した下記の作品を額装にした例です。
草蟲小品 伝斉白石筆 斉良遅賛
紙本着色軸装→2022年1月額装
画サイズ:縦337*横320 賛縦330*横328
もともとは下記のように斉白石の子息の第四子である斉良遅の(鑑定)書らしきものが添えられており、斉白石の小点と連となった掛軸の作品でした。
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賛には「白石老人画草虫小品 庚午□暑 斉良遅拝 観□古燕 西城太平橋畔」とあります。
調べてみると斉白石の作品に斉良遅の鑑定のような賛のある作品は図集でも見受けられます。字体は資料と同一のようです。
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庚午とあることから昭和5年(1930年)の夏の鑑定と推測され、また斉白石の作風から斉白石が70歳頃の作品と思われる。ただしこのような小点の贋作は数多く出回っているようなので注意を要します。さらに水孔印刷という肉筆とほぼ見分けのつかない版画のような印刷作品や忠実に斉白石の作品を倣った肉筆の模倣作品などがあるようです。
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本作品は真贋は不明ですが、印刷作品ではなく肉筆のようです。たとえ模写でも実によく描けているので気軽に飾るには良い作品だと思います。ただこの軸装のままでは床の間に飾るには当方の趣向に合いませんし、見栄えもしませんので、手元にある額で額装を試みました。
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同じ額がなかったので違った額装にしてあります。縦長の額に一緒にすればよかったかもしれませんが、縦長だと鑑賞する際に絵が目の高さにくる飾り方にしては不自然になりそうなので、しばらくはこのままの絵の作品は単体の額装で鑑賞しようと思います。額装するにも実際にはいろいろと悩むことが多々あります。
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いずれにしても斉良遅賛の額とはタトウは同じにしており、額の各々の作品が離れ離れにならないようにしてあります。
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軸装を額装にするには難しい点がもうひとつあります。表面のアクリル板、もしくはガラス板は作品とは離れるので、軸装の作品本体が多少でこぼこの場合、額装では非常に気になるという点です。今一度裏張りをし直せば解決しますが、これには費用と時間がかかることになります。
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斉白石の作風はその後の中国絵画や日本画に与えた影響は大きく、多くの画家が斉白石の作風に倣っています。
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綿密に描かれた独特の画風もすっかり真似するようです。
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本日紹介する下記の作品もそのような作品ですが、きちんと落款には画家の名前が記されています。ここに斉白石の落款や偽印があると紛らわしいことになりますね。ただこのような紛らわしい作品が数多くあるようです。
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柳塘清趣 劉琦筆
紙本水墨淡彩自題賛軸装 軸先木製 合箱
全体サイズ:横570*縦1930 画サイズ:横445*縦1070
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一見するとまるで斎白石の作品のように見えますね。
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紛らわしさを除くと実にユーモアのある南画風の作品で悪くはありません。
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それほどに斉白石は一世を風靡した画家と言えるのでしょう。
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落款にある「劉琦」という方は現代中国画家のようです。斎白石の作品を模倣したような作品を多く描いていますが、詳細については不明です。
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なお作品を愉しむことに主眼を置いて、それ相応の値段で愉しんでいる当方では、模倣や真贋などと目くじらを立てるつもりは一切ありません。この点はご了解ください。