夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

改装完了 正面之虎 大橋翠石筆 明治40年代(1907年)頃

2020-07-15 00:01:00 | 掛け軸
虎の絵の作品で著名な大橋翆石の作品ですが、表具が痛んできていたのでこの度改装しました。

大橋翆石については、今年は滋賀県美術館にて「明治の金メダリスト 大橋翠石 〜虎を極めた孤高の画家〜」と題されて展覧会が開催されるようです。開催期間は予定では2020年7月23日(木・祝)から2020年9月13日(日)のようです。

この展覧会を担当される村田准教授から本作品について問い合わせがありましたが、東京での開催が見送られ、またコロナ禍も影響されたようで、本作品の出品は次回以降に持ち越されたとのことでした。

村田准教授によると本作品を描いた頃は大橋翆石は岐阜(大垣新町)に在住しており、体が弱いことから岐阜で当時盛んであった養蜂業を営む渡辺某氏から蜂蜜をいただくなどの付き合いがあったらしく、その付き合いから渡辺某氏は多くの大橋翠石の作品を所蔵していたそうです。渡辺某氏は近年その作品らを手放したらしい。箱書きにある「渡辺」はその養蜂家の方ではないかと推定されるそうです。



正面之虎 大橋翠石筆 明治40年代(1907年)頃
絹本着色軸装収納箱二重箱 所蔵箱書 軸先本象牙 
全体サイズ:横552*縦2070 画サイズ:横410*縦1205
分類A.青年期から初期 :1910年(明治43年)夏まで  ~46歳

 

ちなみに本作品は愛知県からの入手です。「点石翠石」と言われる落款の「石」字の第四画上部に点が付されている1910年(明治43年)夏までの作と推定されます。後年の箱書きには「旧作」とされておあり、数少ない青年期の作品です。



箱書の印章は「人 世到処断崖多」の朱文白方印。箱書きは大正時代初期に「渡辺氏」と為書きがされていて、大正時代には箱が無かったため 旧作と箱書きに沿えたと考えられます。

 

作品中の落款は下記のとおりです。いわゆる初期の作で「点翆石」と称される落款です。箱は二重箱でタトウを誂えました。

 

資料による印譜の写真は下記のとおりです。

 

村田准教授によると正面から描いた虎の作品は珍しいものの、数点あったらしく海外(韓国?)には贋作も存在するとのことです。本作品は落款や印章から真作と判断されるとのことでした。

当方にとっても大橋翆石の作品蒐集の記念碑的作品であり、大切に保存していきたい作品です。




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