夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

椅子にかける少女 伊勢正義画 その18 1941年(昭和16年)作? 

2020-07-16 00:01:00 | 洋画
1階の展示室の廊下にも2階と同じような棚を設置する案は家内から却下されました。どうも布団を運んだり、洗濯物を運んだりするため広い方がいいらしい  準備していた天板用の屋久杉材は2階の廊下の棚の天板に急遽用いることにしました。



本日の作品は当方の蒐集対象の唯一の洋画家であり、同郷の画家「伊勢正義」の作品の紹介です。「伊勢正義」の佳作と言える作品が入手できましたので紹介します。



椅子にかける少女 伊勢正義画 1941年(昭和16年)作? 
油彩額装 左下サイン 誂タトウ+黄袋
画サイズF12号:横645*縦750 全体サイズ:横500*縦605



洋画家が女性を描いた作品、女性を描いて著名な画家は数多くいますが、女性を描いたこの人の作品には独特の雰囲気があり、当方が特に好きな作品群です。



これは好みの問題でしょうが、裸婦ではない気品のある女性を描いた作品はいいですね。本作品は女性と言っても少女ですが・・・。



昭和の雰囲気が堪能できます。



少女への愛情の眼差しが感じられる作品ですね。



制作年代の記入はあるもの判読不能で、1941年(昭和16年)、34歳の時の作品か? それとも下記の記述のように1951年(昭和26年)か???



額は新たに誂えたもののようです。



描いた年代を特定するのに興味深い資料があります。「週刊朝日」の表紙の絵です。同じ少女がモデル??



伊勢正義が描いた表紙の絵ですが、この週刊誌は昭和27年に発刊されています。昭和27年は1952年ですから、それに近い1951年の作ではないでしょうか?と推察されるものかもしれません。

 

現在展示室の廊下には伊勢正義が女性を描いた作品を飾ってあります。



訪れた方々には評判の良い展示です。



このような昭和の雰囲気のある作品は落ち着きますね。



単なる美人画ではない婦人画ともいうべき作風・・・。



繰り返しになりますが、当方の好きな作品群です。



我が郷里の画家「伊勢正義」、ぜひ再評価なり、改めて展覧会を催して頂きたい画家の一人です。以前の投稿記事で紹介したように東京ステーションギャラリーにも一作品ですが展示されたことがある画家です。

洋画家たちの青春 白馬会から光風会へ 2014年3月~5月開催
下写真の一番左の作品で若い頃かもしれません。ちなみにこの作品は世田谷美術館蔵の作品かな?



参考までに伊勢正義の来歴は下記のとおりです。

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伊勢正義:1907-1985 昭和時代の洋画家。明治40年2月28日生まれ。藤島武二に師事。光風会展や帝展,第二部会展で受賞。昭和11年猪熊弦一郎,小磯良平らと新制作派協会(現新制作協会)を結成。戦後も同協会で活躍。昭和60年11月18日死去。78歳。秋田県出身。東京美術学校(現東京芸大)卒。作品に「バルコン」「キャバレー」など。

新制作協会会員の洋画家伊勢正義は、11月18日腎不全のため東京都目黒区の東邦医大付属大橋病院で死去した。享年78。

明治40(1907)年2月28日秋田県鹿角郡(大館市白沢)に生まれる。転勤の多かった父に伴い、各地を転々としたが、少年時代を小坂町で過ごした。当時の小坂町は鉱山の最盛期で、秋田県で北辺の土地でありながら、中央から直接文化が流れ込み、近代的・都会的な雰囲気が満ち溢れていた。演劇などの文化活動も盛んに行われ、芸術方面の関心が高い町だったと思われる。伊勢正義を同じ、日本画家の福田豊四郎(1904年~1970年)も同郷である。
 
昭和6年東京美術学校西洋画科卒業。藤島武二に師事。
同8年20回光風会展に「女性」他3点を出品しK夫人賞を受け、翌九年光風会会員となり、同年の15回帝展に「カルトン」が初入選する。
同10年22回光風会展に「無花果のある静物」他2点を出品、最初の光風特賞を受賞した。
同10年松田改組に伴う第二部会展に「集ひ」を出品し、特選、文化賞を受けたが、翌年同志と官展を離れ、同年猪熊弦一郎、佐藤敬らと新制作派協会を結成、第1回展に「バルコン」「キャバレー」を出品した。
同12年日動画廊で初の個展を開催。その後新制作協会の主要メンバーとして同協会展に制作発表を行い、近年はアラブ、アフリカの生活を題材にした作品で知られていた。また、日本貝類学会会員、国際教育振興会理事でもあった。

戦前の混乱期、また画壇の紛糾していた時代に製作活動を続けていた画家です。改めて見直すべき洋画家のひとりと言えるでしょう。

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地元では秋田県立美術館で「没後20年 伊勢正義展」が2005年に開催されています。



残念ながら今では地元でも知る人は少なくなっている画家ですね。










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