夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

山水図 伝円山応挙筆

2011-06-05 07:10:39 | 掛け軸
円山応挙の作品は「蝦蟇仙人 伝円山応挙筆」に引き続き二作目になります。

本作品と同様な作品は思文閣発行「和の美」第四五一号 作品NO61「山水図 円山応挙筆」(450万)があります。下の写真がその作品です。




いつか高級?デパートの展覧会で店員さんと高貴そうなご婦人が「うちの応挙、観た事あります?」(ご婦人)、「いえ、まだ拝見しておりません。今度是非拝見させてください。」(店員さん)と会話されているのを聞いたことがあります。田舎出の私は「ん~、さすが東京は会話が違うね」と感嘆しきり・・。

でも応挙の作品はわりと多く入手の機会があります。廉価なものから高額なもので様々です。売却するほうも法外な値段をつける人と廉価な値段をつける人と・・。ただし、贋作が多いので気をつけましょう。

さきほどの高貴なご婦人所蔵の応挙は贋作だと思います。店員さんが最初になんと答えたらいいのか窮していましたから・・。おそらく観た事があるのでしょう。

プロは客先の所蔵品に決して贋作とは言いません。「いいものですね」と表現するのが常です。お調子者は「・・万で引き取らせてもらえませんか?」とまで言います・決して手放さないことも知っているからです。だから、売買する方に真贋の判断を依頼してはいけません。




山水図 伝円山応挙筆
絹本水墨淡彩軸装軸先象牙 時代箱入
全体サイズ:縦1810*横510 画サイズ:縦965*横365



馬上の人物が樵?の人物に道でも聞いているのでしょうか?






上の木々を前景に大きく描き、後ろに重なるように中景、遠景が広がる。拡大された前景と小さな遠景を重ねた技法は狩野派の屏風にもありますが、それらでは前景と遠景は水景を隔てて対置されているに過ぎません。

この作品では観る者の視線は、前景から中景、遠景へと連続して導かれ、そして、前景が大きいので、視線の方向は画面の奥へ向かっていきます。このような奥行き表現は東洋の山水図には珍しいです。

「天明丁未初夏」とあり、天明7年(1787年)、応挙55歳の作です。



文献やその他の作品の参考落款や印章は下記の写真です。印章はその線の太さなどは同時期のものと比較する必要があります。

  

箱は古ぼけた杉箱で、由来をその他は一切ありません。本物はえてしてこのように何の飾りのない箱に収まっているものです。嬉しいものです・・人もそうですね。何の肩書きもない人に本物が多いものです・・・


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2 コメント

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ゴールデンウィークに (さくら)
2011-06-05 22:24:47
ゴールデンウィークに金比羅にて虎の絵堪能して参りました。
金比羅の中でも別料金だったので(笑)、じっくりと眺められました。新緑の中、襖絵を眺めつつ、縁側に座ってのんびり。
あーあ、またのんびりしたい。
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のんびり (夜噺骨董談義)
2011-06-06 06:10:33
応挙の虎の絵はいいですね。のんびりと観てみたいものです。

人間、なかなか心の底からのんびりできないものですね。
そうならば、普段から時に応じてのんびりする癖をつけておいたほうが・・
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