夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

氏素性の解らぬ作品 伝古九谷青手 葡萄文鉢

2019-09-04 00:01:00 | 陶磁器
今回の帰省では法事が終了後、夕刻に御住職の自宅に呼ばれて骨董談義・・。



御住職の蒐集は陶磁器で中国陶磁器や李朝がメインのようですが、非常に難しい分野に挑戦しているようです。

陶磁器を蒐集する者の垂涎の作品群に青手古九谷というものがありますが、これもまた判断の難しい作品群で、いくらか解ってきて、明らかに明治以降の模倣作品である作品には当方では食指が動かなくなりましたが、まだ真作の領域には程遠いものと感じています。

手の届かぬ作品なら指をくわえていみていてもつまらない、資金が足りなくてもチャレンジするのが小生の懲りないいところ・・・。

氏素性の解らぬ作品 古九谷青手 葡萄文鉢
合箱
口径290*高台径*高さ70



このような作品は青手古九谷と称されています。青手古九谷は緑釉を多く用いて赤を使用しないことからこう呼ばれ、緑・黄・紫の三彩古九谷、緑・黄の二彩古九谷があります。 素地も良質の磁石を使用したものと鉄分の多いやや質の悪い素地のものの二手があります。交趾古九谷・ペルシャ手九谷ともいわれています。また白抜きが珍重されています。



本作品は緑・黄色・紫の三彩古九谷様式で、胎土は鉄分の多いやや質の悪い素地のものに分類されるのでしょう。高台には目跡がなく、高台内は角ばった「福」の字があります。

本作品は焼成中に高台部分から少し下がったのでしょう。愛嬌のある?ゆがんだ器形になっています。



青手は、色使いは五彩手と似ていますが、素地の白磁の質がやや下がり、素地の欠点を隠すように、青、黄、緑、紫などの濃彩で余白なく塗りつぶしているのが特徴です。

要は古九谷は胎土の汚さを隠すために、口縁に鉄釉薬のようなものを含めて全体に釉薬を掛けているというこです。



「古九谷」と呼ばれる初期色絵作品群の産地については、戦前から1960年代にかけて「九谷ではなく佐賀県の有田で焼かれたものである」という説が主張されはじめました。有田の山辺田窯(やんべたがま)、楠木谷窯などの窯跡から古九谷と図柄の一致する染付や色絵の陶片が出土していること、石川県山中町の九谷古窯の出土陶片は古九谷とは作調の違うものであったことなどから、「古九谷は有田の初期色絵作品である。」との説が有力となっています。



従来古九谷と位置づけられてきた一群の初期色絵磁器は、その大部分が1640~1650年代の肥前産と考えられていますが、1998年、九谷古窯にほど近い九谷A遺跡から、古九谷風の色絵陶片が発掘されたことから、「複数の産地で同一様式の磁器がつくられていた」可能性を探るべきだとの意見もあります。



青手九谷とは九谷焼のうち、見込み(表面の模様)に青色を多く使った磁器のことです。青九谷ともいいます。青色といっても実際は緑色を呈しているし、磁器といっても一般に“半陶半磁”と呼ばれるように陶器のように見えるのが特徴です。



高台(こうだい、底の脚)の中に、「角福」と呼ばれる二重四角の中に福の吉祥字のある銘を持つものが多いですが、ないものもありますので、真贋の決定打にはなりません。



肥前で作られたとする古九谷には目跡(窯の中で器同士の溶着を防ぐスペースサーの跡)があり、九谷村で作られたものには全くないなどから、古九谷は九谷村で作られたものではなく、有田(伊万里)で作られたものとする説(古九谷伊万里説)が出されていますが、目跡の有無も真贋の確証になるものではないようです。



再興九谷では一番の名声を博した「吉田屋窯」が古九谷窯跡地に作られています。大聖寺の豪商豊田伝右衛門が開窯しその屋号から命名されたものです。この吉田屋窯では日用品が多く量産されましたが、古九谷同様高台に角福の入った青手九谷も多く作られています。

赤を使わず塗埋手の技法を使うという青手古九谷の技法を用いたものですが、青手古九谷より落ち着いた濃さをもっています。全体として青く見えるため、青九谷と呼ばれ、後世これに倣った絵付けが多く行われるようになったのですが、吉田屋窯はわずか8年で閉じられています。



残念ながら伝世の青手九谷の真贋は決めがたいとされ、市場でこれらが取引される多くが、次の明治以降のものである可能性が高いと考えられています。



要はこの手の作品は古九谷、再興九谷、明治以降の模倣作品という三種の可能性があり、その多くは明治以降の模倣作品ということ・・。



当方の資料としている雑誌「別冊太陽」に「やきものの真贋と鑑定」という本がありますが、その中に古九谷の真作と判断された作品が掲載されています。



むろん当方で所蔵している作品ではありませんが、この鑑定結果は非常に参考になります。



実物を観ていないので何ともわかりませんが、本来「古九谷」は一見小汚く見えるもののようです。



本日紹介する作品は家内と二人で「全体が暗いよね~、なんか小汚い?」、「でもありうるよね、古九谷かも?」



石の上にも三年・・・??? 少しづつ本物に近づきつつあるように感じています。

さ~、読者の皆さんの感想や如何? 真贋の迷路に入ったら一度抜け出して、明らかな真作のみに世界に戻るといいようですが、迷路に嵌る込むと深みに嵌るは世の常・・・、仏道でも救いようがない???




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