夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

雪暮 酒井三良筆 その14

2020-09-07 00:01:00 | 掛け軸
久方ぶりに屋根裏に展示してみました。



基本的には収納スペースであり、中央部以外は屈まないと頭がぶつかるスペースですので、飾ってもほんの少しの作品になります。



飾る作品は飾った下の長持ちから取り出した作品になります。梁の部分には頭をぶつけても怪我しないようにコーナーにショックガードが付けられています。



さて本日は久ぶりに酒井三良の作品の紹介です。酒井三良は本ブログによく紹介されている福田豊四郎と同じく故郷をノスタルジックに描く画家として著名な画家の一人です。



雪暮 酒井三良筆 その14
紙本水墨淡彩軸装 軸先象牙 共箱
全体サイズ:横590*縦1330 画サイズ:横440*縦405



酒井三良というと湖畔を描いた作品や本作品のように雪景色を描いた作品に人気があります。当方でも雪景色を描いた作品を入手したいと思っていましたが、その人気ゆえなかなか入手できませんでした。本日は少し小さめの作品ゆえ当方の資金の範囲内で購入することができました。



下記の思文閣発刊の墨蹟資料目録に掲載された作品の記載されていますが、酒井三良が自ら語っていますが「なにか描こうとすると、雪が画題になりがちなのは、雪国で生育しそこで暮らした期間が長いことによるのだろう。」ということなのでしょう。



そして「雪の写生は限りないほどしてきたが、製作するときには私なりの心象風景となる。」と記述されており、その風景は本人がいつか見た風景なのでしょう。酒井三良の雪景色の写真は雪国で暮らす者にとってもいつか見た風景に相違ありませんし、そこには共感するものがあります。

私らが若い頃は当然、車などには乗らずに雪道を歩くのが普通でした。吹雪に際には下を向き、新雪に際しては一歩一歩確かめるように道を作りながら歩いたものです。



他の所蔵作品「春光 酒井三良筆 その4」と同一印章が押印されています。酒井三良は小川芋銭と違って贋作は少ないと思われます。

 

印章、共箱の書体から真作と判断できます。酒井三良の作品は独特の雰囲気から真贋の判断はできますが、印章、落款、所定鑑定の箱書らは覚えておいた方が無難でしょう。

 

参考作品
雪路
思文閣「和の美」墨蹟資料目録 第496号 作品NO33 P78
評価金額:35万



他の所蔵作品解説                  
磯釣 酒井三良筆
紙本水墨淡彩軸装 軸先象牙 共箱二重箱 
全体サイズ:横675*縦1418 画サイズ:横543*縦420

上記の作品はF10号サイズの掛け軸としては大きい部類の作品ですが、「雪暮」と同時期、同一印章の作品と推定しています。



酒井三良の作品は派手さはありませんが、どこか懐かしい思いをさせてくれる作品です。







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