庭に群生する絶滅危惧種のクマガイソウもそろそろ今年は終わりです。清朝期の辰砂の鶴首に活けてみました。
一階の展示室廊下に飾っています。
*クマガイソウの名の謂れは本ブログに投稿しています。
**アツモリソウともに、膨らんだ形の唇弁を昔の武士が背中に背負った母衣に見立て、源平合戦の熊谷直実(くまがい なおざね)と、一ノ谷の戦いで彼に討たれた平敦盛(たいら の あつもり)にあてたものだそうです。名の謂れが粋ですね。
額装の作品は藤田嗣治の猫、この作品は近日中に投稿予定ですのでお楽しみに・・。
さて節句にちなんで「鍾馗様」の作品紹介です。
当方での寺崎廣業の所蔵作品数は100点近くになっていますが、「鍾馗之図」は本日紹介する作品で3点目の作品となります。本日の作品は寺崎廣業の初期の頃の作と推定され、おそらく明治30年前後の作であろうと思われます。
鍾馗之図 その3 寺崎廣業筆 明治30年(1897年)代
紙本水墨軸装 軸先木製塗 鳥谷幡山鑑定(昭和乙亥:昭和10年晩秋)箱入
全体サイズ:横668*縦2210 画サイズ:横510*縦1230
表具の状態はいいのですが、本紙にはシミが発生しているのが残念な作品です。
寺崎廣業の作品はその落款の書体から大別して「二本廣業時代」と称される前半と「三本廣業時代」と称される後半に分けられます。さらに前半では「秀斎時代」、「宗山時代」という別号を使った前期の修行時代としての区分があります。
本作品は「宗山時代」から「二本廣業時代」の変遷期の作ですが、一般に熟練した「三本廣業時代」に人気があるのに比して、この時代の作は修練時代の逆にひたむきな真剣さがあって評価する方も多いようです。
門下生の鳥谷幡山の昭和10年晩秋と記された鑑定箱書きがあります。
*鳥谷幡山の鑑定は意外に信頼性があるようですし、偽の鑑定も少ないようです。
朱文白円印「廣業」の印章は幾つかの種類があり、この印章は珍しいものです。落款は「二本廣業」ですが、この書体はかなりの種類の変遷があります。このことについては当方ではまだ整理がされていません。
同一印章で図鑑掲載の作品には下記の作品があります。
この作品の印章と当方の所蔵作品「雨中残菊図 寺崎廣業筆 明治30年(1897年)秋」からの印章は下記の写真のとおりです。資料だけでなく手元に作品があることが資料として肝要ですね。
*図鑑や印譜資料だけをあてにしては判断がつかないことが多く、初心者の域を出ていないことになるのでしょう。
本作品と同時期の所蔵作品には下記の作品があります。
鍾馗之図 その1 寺崎廣業筆
紙本水墨軸装 軸先木製 合箱入
全体サイズ:縦2000*横875 画サイズ:縦1480*横740
この作品はかなりの大幅で、寺崎廣業筆の「鍾馗之図」の中でも秀逸の作だと思います。
また寺崎廣業の「鍾馗」を描いた所蔵作品には「三本廣業時代」の下記の作品もあります。落款から最晩年の大正7年の作と判断されます。
鐘馗之図 その2 寺崎廣業筆 大正7年(1918年)
紙本水墨軸装 軸先鹿骨 共箱
全体サイズ:横443*縦2255 画サイズ:横310*縦1334
本日の「鍾馗之図」は実はインターネットオークションで5000円で落札した作品です。資料としては適切なお値段だと思いますが、作品としてはシミがひどいので染み抜き改装が必要です。そのためには3万円くらいの費用が発生します。費用対効果としてはいかがなものか・・・??? しかしやはり作品の保存はきちんとしておくべきでしょうね。
ところで染み抜きする際にこの表具材はそのまま使うのがいいと判断しています。
この表具をした頃は横山大観と並び称せられるほどの評価を受けていた寺崎廣業ですので、表具には詳しくありませんがいい表具だと思われますので、当時の思いを尊重して「締め直し」(既存の表具材で再表具すること)が望ましいのでしょう。花の名のいわれではありませんが、なにごとも先人の思いは尊重した方がよさそうです。
一階の展示室廊下に飾っています。
*クマガイソウの名の謂れは本ブログに投稿しています。
**アツモリソウともに、膨らんだ形の唇弁を昔の武士が背中に背負った母衣に見立て、源平合戦の熊谷直実(くまがい なおざね)と、一ノ谷の戦いで彼に討たれた平敦盛(たいら の あつもり)にあてたものだそうです。名の謂れが粋ですね。
額装の作品は藤田嗣治の猫、この作品は近日中に投稿予定ですのでお楽しみに・・。
さて節句にちなんで「鍾馗様」の作品紹介です。
当方での寺崎廣業の所蔵作品数は100点近くになっていますが、「鍾馗之図」は本日紹介する作品で3点目の作品となります。本日の作品は寺崎廣業の初期の頃の作と推定され、おそらく明治30年前後の作であろうと思われます。
鍾馗之図 その3 寺崎廣業筆 明治30年(1897年)代
紙本水墨軸装 軸先木製塗 鳥谷幡山鑑定(昭和乙亥:昭和10年晩秋)箱入
全体サイズ:横668*縦2210 画サイズ:横510*縦1230
表具の状態はいいのですが、本紙にはシミが発生しているのが残念な作品です。
寺崎廣業の作品はその落款の書体から大別して「二本廣業時代」と称される前半と「三本廣業時代」と称される後半に分けられます。さらに前半では「秀斎時代」、「宗山時代」という別号を使った前期の修行時代としての区分があります。
本作品は「宗山時代」から「二本廣業時代」の変遷期の作ですが、一般に熟練した「三本廣業時代」に人気があるのに比して、この時代の作は修練時代の逆にひたむきな真剣さがあって評価する方も多いようです。
門下生の鳥谷幡山の昭和10年晩秋と記された鑑定箱書きがあります。
*鳥谷幡山の鑑定は意外に信頼性があるようですし、偽の鑑定も少ないようです。
朱文白円印「廣業」の印章は幾つかの種類があり、この印章は珍しいものです。落款は「二本廣業」ですが、この書体はかなりの種類の変遷があります。このことについては当方ではまだ整理がされていません。
同一印章で図鑑掲載の作品には下記の作品があります。
この作品の印章と当方の所蔵作品「雨中残菊図 寺崎廣業筆 明治30年(1897年)秋」からの印章は下記の写真のとおりです。資料だけでなく手元に作品があることが資料として肝要ですね。
*図鑑や印譜資料だけをあてにしては判断がつかないことが多く、初心者の域を出ていないことになるのでしょう。
本作品と同時期の所蔵作品には下記の作品があります。
鍾馗之図 その1 寺崎廣業筆
紙本水墨軸装 軸先木製 合箱入
全体サイズ:縦2000*横875 画サイズ:縦1480*横740
この作品はかなりの大幅で、寺崎廣業筆の「鍾馗之図」の中でも秀逸の作だと思います。
また寺崎廣業の「鍾馗」を描いた所蔵作品には「三本廣業時代」の下記の作品もあります。落款から最晩年の大正7年の作と判断されます。
鐘馗之図 その2 寺崎廣業筆 大正7年(1918年)
紙本水墨軸装 軸先鹿骨 共箱
全体サイズ:横443*縦2255 画サイズ:横310*縦1334
本日の「鍾馗之図」は実はインターネットオークションで5000円で落札した作品です。資料としては適切なお値段だと思いますが、作品としてはシミがひどいので染み抜き改装が必要です。そのためには3万円くらいの費用が発生します。費用対効果としてはいかがなものか・・・??? しかしやはり作品の保存はきちんとしておくべきでしょうね。
ところで染み抜きする際にこの表具材はそのまま使うのがいいと判断しています。
この表具をした頃は横山大観と並び称せられるほどの評価を受けていた寺崎廣業ですので、表具には詳しくありませんがいい表具だと思われますので、当時の思いを尊重して「締め直し」(既存の表具材で再表具すること)が望ましいのでしょう。花の名のいわれではありませんが、なにごとも先人の思いは尊重した方がよさそうです。