夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

倣五彩龍文瓶 「大明萬暦年製」銘

2018-06-19 00:01:00 | 陶磁器
当方の家に古くからある下記の作品。入手経緯などは一切不明ですが、小生は日本で作られた京焼の写しかなんかであろうと判断してしばらく箱に収納したまま放置していました。若い頃、骨董蒐集の先輩に「これは大切にしなさい。」と言われましたが、「日本の写しでは?」と返答したところ先輩は無言でした。

倣五彩龍文瓶 「大明萬暦年製」銘
底「大明万暦年製」銘 合箱
口径98*最大胴径95*底径80*高さ240



この手の五彩の作品は明末染付、明末赤絵・青絵、そして餅華手らの民窯らの作品の頂点に立つ官窯の流れの作品です。官窯の作は蒐集家の垂涎の的の作品ともいえ、お値段はうん千万を超えるものです。もちろん、本物ならば・・。

官窯の作品は龍の爪が本来なら5本、この作品は4本ですからこの点から官すでに窯の可能性はないと言えます。倣う作品は官窯の5本爪に配慮されているのでしょう。官窯の作品ははもっと絵も丁寧に描かれているはずです。もっとも民窯の作品でも近代の模倣品でなく時代さえあれば意外に希少価値のある作品として扱われているようですが・・・。



万歴年間の優品は日本にかなりの数が入ってきているようで、著名な美術館には一つくらいは必ずあるようです。



高価ゆえ贋作も多く、また日本でも京焼などでは明末赤絵と同じく模倣品が多数製作されたようです。また中国の民窯でも官窯の作品を数多く模倣したことも考察されます。



銘は二重円の中に書かれたものが上等品ですが、必ずしもそうでない銘もあるようです。



骨董蒐集家は夢とロマンを追い続けるものです。これがなくなったら骨董の愉しみは半分以上は消滅します。ただロマンを追い続けると駄作の山を築くことになりますね。



ただある程度の時代があり、出来の良さがあれが愉しむのが骨董の楽しみ方でもあるのでしょう。当方の判断では現在も京焼か民窯の作品であろうと推察しています。



万歴年間の「五彩龍文瓶」の代表格の作品のひとつに下記の作品があります。

参考作品:五彩龍文瓶 東京国立博物館蔵
景徳鎮窯 高45.2 口径22.8 底径9.5 明時代 万暦年間(1573-1620年)



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説明より:日本には俗に万暦赤絵と呼ばれる万暦官窯の五彩の名品が多く収蔵されているが,この作品もその典型作のひとつ。いわゆる尊式の花瓶であり,その祖形は古銅器の「尊」にある。丸まった胴からすらりと伸びる頸と,広がった裾からはどっしりとした量感がうかがわれる。頸から胴にかけ王室を象徴する五爪の龍と牡丹を表し,その鮮やかな赤と緑の濃彩が実に印象的な作品である。底裏には青花で「大明萬暦年製」の銘が記される。

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色合いは青味が強い作品や赤味、緑の強い作品など多種多様のようです。

当方には下記の作品もありますが、こちらは「大明嘉靖年製」の銘。

伝大明嘉靖年製 魚藻文様蓋付五彩壷
合箱 高さ250*底径112*高台径98



写しとして判断していますが、それにしても出来は良い方。普段は男の隠れ家の玄関に飾っていますが、これとても本物なら仰天の作品です。



こちらも同じく「大明嘉靖年製」の銘の作品ですが、上記の作品よりは出来は劣ります。

絵龍紋透喰籠 大明嘉靖年製在銘
合箱入 径240*高さ134



普段使いに物入れに使っていましたが、蓋が重くて使いづらい。



とにもかくにも五彩ですが、本物なら赤絵の頂点にある作品群です。繰り返しになりますが本物なら・・・。


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