夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

吉野龍田蒔絵 御料紙文庫&御硯箱

2018-06-20 00:01:00 | 漆器
本日紹介する作品は文庫と硯箱の蒔絵のセットで代々伝わる作品です。

吉野龍田蒔絵 御料紙文庫



外観



蒔絵の作品は飾るだけで周囲が明るくなるあでやかさが必須ですね。嫁入り道具のひとつであった可能性があります。



蓋表面



金や銀の蒔絵は見る角度、明るさによって様々な表情をしてくれます。



この愉しみはガラスケース越しの展示作品では残念ながら味わえないものです。



外周



外周すべてに違う絵柄で本体と蓋と一致するように絵が描かれており、驚くべき技量と絵の腕です。



全体の技術の高さは今では追随できないものでしょう。



贅を尽くした作品というものは時として嫌味になるものですが、絵の出来、蒔絵の出来というのもはそれを一切感じさせません。これが欧州や中国とは違う日本の美の徳というものでしょうか。



内側



一級の蒔絵はどこかに侘びと寂びが備えられているものでなくてはなりません。



この作品はどこを観ても飽きのこない作品です。



その情景もその自然の豊かさを彷彿とさせ、蒔絵の作品ではないものを感じます。絵の出来が一流の南画の良さを秘めています。当時の蒔絵師が絵の修行していたという証でしょう。



次は対となっている硯箱です。

御硯箱



表蓋



文庫の作品とは絵柄を変えています。似ていますが一切同じ図柄はありません。



外周



硯箱も四方すべてに違う蒔絵が本体と蓋で絵が一致するように隈なく描かれています。



内側



実際に使われていた作品です。



母も蒔絵の硯箱を使っていたことを思い出します。



これを使ったか、墨だけ使ったかというとおそらく墨だけ使ったのでしょう。



金と銀、観る角度で全く違う表情を見せてくれます。



このような作品を保存がたいへんだからと安易に手放す方がいて、最後には海外に流出し続けているのが現状です。



格のある家の所蔵品だったのでしょう、しっかりした塗の箱に収められ、さらに外箱が誂えられています。保存の仕方もしっかりしており傷など一切ない完品です。



手袋をしながらの扱いなど扱いや保存には細心の注意が必要ですが、所蔵となったのも何かの縁、大切に所蔵して後世に伝えていきます。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
これはすごい (暇人)
2018-06-23 02:59:55
明治時代の蒔絵ですね。
少なくとも数百万円はすると思う。
1千万以上かもしれない。
普通の家には このような品はない。
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明治時代 (夜噺骨董談義)
2018-06-23 17:46:43
「明治時代の蒔絵ですね。」とのコメントをいただきました。おそらく当方の祖父の代の入手でしょう。このような作品は市場の出回ることは珍らしくなりましたが、評価の如何に関わらず大切に保存していきます。
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初めまして。 (noki)
2018-12-10 22:58:35
初めまして。nokiと申します。素晴らしいコレクションを公開いただき、ありがとうございます!ネットで公開されている品物は、なかなか難しい物が多い中、夜噺さんのコレクションは名品ばかりで、大変勉強になりました。私も古いモノが好きで、少し収集していますが、夜噺さんのコレクションとは、ジャンルでいえば、漆器でだけ、少し重なるようです。ただ、私の品物は、夜噺さんの足元にも及ばないですが(笑)今後もいろいろ勉強させてください。更なる名品の公開を楽しみにしています。
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漆器 (夜噺骨董談義)
2018-12-11 07:22:41
コメントをありがとうございます。それほどたいした作品はありませんが、漆器で言うと「JAPAN」(漆器)が材料が中国製、技術・職人不足などのピンチなので、少しでも漆器の良さが伝わりファンが増えればと思い作品を投稿しています。まだ少し投稿できそうな作品がありますので、整理が進み次第投稿したいと思います。引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。
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