帰国中のイソナにとっては昨日が最後のレッスンだった。
バー・レッスンの終盤に差し掛かったとき
「あのねぇ、リクエストがあるんだけどぉ」
うん、なに?
「アームスの動きをきちんとやっておきたい」
近頃なんともアームスが気になるのだという。きちんと使えている気がしないのだとか。
確かにね、バーのときに後ろから見ていると、アン・オーの曲線が崩れている。
左手首の屈曲が深くなるという子供の頃の癖が戻ってきてるもの。
丁寧にポール・ドゥ・ブラを練習するのが一番の修正法。正確に、シンプルに。
はい、右脚前5番クロワゼで1番から4番までどうぞ
… … … … … … … …
……、ふん、これは確かに修正が必要だわ
ア・ラ・スゴンドをアロンジェに返したあと、指先を遠くに指し伸ばすように。
アン・オーのときにトルソーをツイストしすぎ。ツイストではなく引き上げてゆるく傾ける。
エクステンション・アラベスクのポジシオンになったときにトルソーが倒れないように。そこはきちんと捻り上げる。
よし、クロワゼじゃなくてアン・ファスで鏡をみながらやってごらん。クロワゼだと細かい角度の違いなんかをを見逃したりしがちだから。
… … … … … … … …
……、あとは頭部の微妙な角度だな
「上げたアームスのアウトラインを窓枠だと想定して…その窓から……の奥の星を見上げるつもりで……」
とイメージ付けをしながら修正。
「あ゛、ほんとだ身体の感覚が全然ちがう」
うん、小さな違いだけどね、客席から見たら空間の大きさが違って見える。
あぁ、それからねぇ、アン・バからアン・ナヴァンに引き上げるときにね、子供のころのイケナイ癖が出てるわよ。
「手首から先で掬い上げるような動きはね、アームスを短く見せるでしょ」
「うん、それなの、そこ。どうすればいいの」
親指側の手首でカーテンをそっと押し上げるように…遠くに差し出すように、アームス全体を動かす。
「おぉぉ、なるほど、そうかぁ」
それではバットマン・タンジュ。
イソナは脚と一緒にアームスのポジシオンも全部変化させる。
メグちゃんはア・ラ・スゴンドのままで よ。
ここでもアームスを動かすタイミングやテンポを細かく修正。
脚の動きよりもアームスのほうを早くとか、バストから上のポゼが先に決まってなくちゃとか…。
はい、はじめからもう一度。
… … … … … … … …
「おぉぉ、身体と脚の動きが軽くなった感じだ」
でしょ。小さなことだけど、舞台にあがればその差は大きなものになる。
最後にタン・リエでシンプルなアンシェヌマンを。
やはりメインはポール・ドゥ・ブラをどうコントロールするかよ。アームスとトルソーとが作る空間をいかに大きくするか、ね。
またまたアームスを動かすタイミングやテンポ、アームスとトルソーとの関係などを細かく細かく修正。
まるで重箱の隅をつつくようなレッスン。
イソナがジュニアのころはよぉくこんなレッスンをしたな。
お疲れ様、のあとで
「あのね、こうやってひとつポジシオンが決まってれば、もう片方のアームスをこんな風に…」
と、左右のアームスの動くタイミングとテンポを変えて見せる。
「あ、そうか。そうやって表情を変えられるんだね」
そういうことですな
バー・レッスンの終盤に差し掛かったとき
「あのねぇ、リクエストがあるんだけどぉ」
うん、なに?
「アームスの動きをきちんとやっておきたい」
近頃なんともアームスが気になるのだという。きちんと使えている気がしないのだとか。
確かにね、バーのときに後ろから見ていると、アン・オーの曲線が崩れている。
左手首の屈曲が深くなるという子供の頃の癖が戻ってきてるもの。
丁寧にポール・ドゥ・ブラを練習するのが一番の修正法。正確に、シンプルに。
はい、右脚前5番クロワゼで1番から4番までどうぞ
… … … … … … … …
……、ふん、これは確かに修正が必要だわ
ア・ラ・スゴンドをアロンジェに返したあと、指先を遠くに指し伸ばすように。
アン・オーのときにトルソーをツイストしすぎ。ツイストではなく引き上げてゆるく傾ける。
エクステンション・アラベスクのポジシオンになったときにトルソーが倒れないように。そこはきちんと捻り上げる。
よし、クロワゼじゃなくてアン・ファスで鏡をみながらやってごらん。クロワゼだと細かい角度の違いなんかをを見逃したりしがちだから。
… … … … … … … …
……、あとは頭部の微妙な角度だな
「上げたアームスのアウトラインを窓枠だと想定して…その窓から……の奥の星を見上げるつもりで……」
とイメージ付けをしながら修正。
「あ゛、ほんとだ身体の感覚が全然ちがう」
うん、小さな違いだけどね、客席から見たら空間の大きさが違って見える。
あぁ、それからねぇ、アン・バからアン・ナヴァンに引き上げるときにね、子供のころのイケナイ癖が出てるわよ。
「手首から先で掬い上げるような動きはね、アームスを短く見せるでしょ」
「うん、それなの、そこ。どうすればいいの」
親指側の手首でカーテンをそっと押し上げるように…遠くに差し出すように、アームス全体を動かす。
「おぉぉ、なるほど、そうかぁ」
それではバットマン・タンジュ。
イソナは脚と一緒にアームスのポジシオンも全部変化させる。
メグちゃんはア・ラ・スゴンドのままで よ。
ここでもアームスを動かすタイミングやテンポを細かく修正。
脚の動きよりもアームスのほうを早くとか、バストから上のポゼが先に決まってなくちゃとか…。
はい、はじめからもう一度。
… … … … … … … …
「おぉぉ、身体と脚の動きが軽くなった感じだ」
でしょ。小さなことだけど、舞台にあがればその差は大きなものになる。
最後にタン・リエでシンプルなアンシェヌマンを。
やはりメインはポール・ドゥ・ブラをどうコントロールするかよ。アームスとトルソーとが作る空間をいかに大きくするか、ね。
またまたアームスを動かすタイミングやテンポ、アームスとトルソーとの関係などを細かく細かく修正。
まるで重箱の隅をつつくようなレッスン。
イソナがジュニアのころはよぉくこんなレッスンをしたな。
お疲れ様、のあとで
「あのね、こうやってひとつポジシオンが決まってれば、もう片方のアームスをこんな風に…」
と、左右のアームスの動くタイミングとテンポを変えて見せる。
「あ、そうか。そうやって表情を変えられるんだね」
そういうことですな