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省エネの暴走・・・自然エネルギーという「有害ゴミ」

2009-09-12 09:15:00 | 温暖化問題


■ 低消費電力で長寿命のLEDを活用して ■

低消費電力で長寿命のLEDは
点灯時間が長く、メンテナンスが容易で無い場所での使用が最適です。

信号機が、ほとんどLED化した背景には、
寿命が長く、メンテナンスに掛かる費用が少ない点が評価された事が挙げられます。

最近、上の写真の様にLEDと太陽電池や風力発電を組み合わせたポール灯が出現しています。
これは、LEDの低消費電力と長寿命を生かした商品です。

■ 現代の省エネ行政を反映したトンデモ商品 ■

しかし、この自然エネルギーを利用したLEDポール灯は、
現代の省エネ行政の矛盾を最も反映したトンデモ商品です。
何故なら、128万円という金額を掛けながら、全く役に立たない商品なのです。

一般的にポール灯は夜間の街路や公園の安全を確保する為に設置されます。
写真の様に高さ3mクラスのポール灯は、
一般的には100Wクラスの放電等(水銀灯など)の光源が用いられ、
ある程度の範囲を(20m四方くらい)照らす目的で設置されます。

ところが、太陽電池を用いたポール灯の多くが、
20Wの蛍光灯クラスの光源を使用しています。
100Wの水銀灯と比較して、明るさは25%程度しかありません。
これでは「照明器具」本来の目的を果たす事は出来ません。

写真の器具はLED光源を用いる事で、
低消費電力で明るさを確保している事をセールスポイントにしていますが、
昨日も欠いたように、LEDの発光効率は蛍光ランプの半分程度です。
LEDの光は指向性が高いので、照明が当たっている所は明るくなりますが、
その範囲の外側は、真っ暗になってしまい、
街路灯では、むしろ暗がりを作ってしまい危険です。

■ 自然エネルギーの限界 ■

何故、この様な使い物にならない明るさのランプを使用するかと言えば、
太陽光や風力が発電出来る電力が少ないからです。

太陽光発電タイプを例に取れば、
昼間、太陽光によって発電された電力は蓄電池(バッテリー)に溜められます。
ポール灯の下部に箱状の部分がありませが、ここにバッテリーが収納されています。

発電量は太陽電池の大きさと、日射によって決まりますが、
あまり大きな太陽電池は景観を損ないますし、
台風などの強風にポール灯自体が耐えられなくなるので、
写真の程度の大きさの太陽電池を使用す事が一般的です。
この程度の大きさの太陽電池の発電量は、
20W蛍光灯を12時間点灯させるのが限界です。

太陽光のエネルギーは意外に大きく日本付近では最大で1KW/㎡もあります。
太陽電池パネルの発電効率は15%程度ですから、発電量は150W/㎡になります。
これは1㎡の太陽光パネルの試算ですから、600x600mmのパネルでは55W程度となります。
しかし、この発電量は理想的な数値です。

実際には、太陽光は斜めにパネルに入射する為、cos(入射角)が掛かってきます。
さらに、パネルの表面反射や、バッテリーの損失等が発生します。
さらに曇天の日もありますので、
実際の発電効率は下のページを参考にすれば、35%程度になるようです。
http://www.enjoy.ne.jp/~k-ichikawa/solarPanel3.html

55Wの35%は・・・19.25Wとなります。
20Wの蛍光灯は、太陽電池の発電量によって規定されていた訳です。
これより、ワット数を上げると、曇天が続いた場合は、
バッテリーが空になってしまって点灯しません。

■ 18倍以上のイニシャルコスト ■

蛍光灯光源で3.5m程度のポール灯の価格は、
デザインが普通であれば10万円程度です。
実に、価格差は18倍もあります。

電気料金の差だけで、差額の118万円を償却しようとすると、
実に612年掛かってしまします。

これに対して、自然エネルギーを使用しているので、
配線費用が要らないという指摘おあります。
しかし、電気が給電されていない中国の山奥ならいざ知らず、
街路には必ず電源が給電されていますし、公園にも電源はあります。
一本のポール灯の給電に100万円も掛かる訳がありません。

さらに、バッテリー切れを想定して一般電源併用型などという
自然エネルギ利用ポール灯まであります。

■ ポール灯の寿命は10年 ■

驚くべき事に、この高価なポール灯の寿命は10年です。
多分、点灯回路と、バッテリーの寿命、LEDの寿命を指すのでしょうが、
一般的に道路で使用されているポール灯は15年以上普通に使用します。

こんなフザケタ話があるでしょうか・・。

■ 自然エネルギー利用のポール灯が増殖中 ■

ところが、この自然エネルギー利用のポール灯が、
現在、到る所で増殖を続けています。

最初は、公共施設の入り口付近に1灯くらい、
これ見よがしに設置され始めました。
公共施設が省エネをアピールするには打ってつけだったのです。
太陽電池と照明器具。何と分かり易い組み合わせでしょう。
決して、128万円なんて値段は住民には分かりません。

その次に学校に出現し始めました。
生徒の省エネ学習の一環というわけでしょう。

さらに、最近で街路で使用されるケースもありませす。
先日、浦安市の道を歩いていてビックリしました。
既存の街路照明が煌々と灯る足元に、
太陽電池ポール灯が並んでいました。
でも、既存照明が十分に明るいので、
LEDの光は殆ど付いているかどうかも分かりません。
まさに、昼行灯状態だったのです。
さすが、ディズニーランドの税収がある浦安は凄い。

そして、最近目立つ例が、民間のマンションや再開発で
太陽電池のポール灯を導入出来ないかという相談。
私は極力断るようにしていますが、
デベロッパーとして、省エネをアピールした様なのです。

民間の話は、金額を聞くと皆さんビックリして止めるケースが多いですが、
公共施設や公園や街路には着々と自然エンネルギーポール灯が進出しています。

■ 訴訟になった風力発電 ■

太陽電池ポール灯と並んで、最近増えているのが小型の風力発電機。
ところが、こちらも期待した程の発電量が得られないケースがあります。

早稲田大学がコンサルティングしてつくば市内の小中学校に
小型の風力発電機を3億円掛けて75基設置しました。
しかし、実際の発電量は計画の1/600と悲惨な状態でした。
市民団体の告発から、つくば市は早稲田大学を相手取り訴訟を起し、
2億円の賠償命令が早稲田大学に下っています。

■ 温暖化防止の名の元に増え続ける「有害ゴミ」 ■

太陽電池ポール灯も、小型風力発電機も、
エネルギー収支でいえば、明らかにマイナスです。
はっきり言ってしまえば、何の役にも立たない「ゴミ」です。
景観を損なうという観点からは、「有害ゴミ」です。

温暖化防止の名の元に、環境対策の実績を示さなくてはいけない自治体や企業は、
無駄を承知で、「有害ゴミ」を導入しています。
今後、その傾向はさらに増え続けるでしょう。

■ 未熟な技術はゴミとなる ■

太陽電池もLEDもバッテリーも未熟な技術です。
10年前のブームで導入された家庭用太陽電池システムが、
どのくらい実績を上げているでしょうか?

現在お太陽電池の発電コストは一般電力の2倍です。
LEDの発光効率は蛍光灯の50%しかありません。
リチウムイオンバッテリーもコスダウンの目処が立っていません。
それどころか、需要が増えれば値上がりします。

これらの技術は次世代の省エネ技術として非常に有望ですが、
現状では、税金や誰かの電気料金で穴埋めしなければ採算が取れません。
それでも、技術開発や将来のシェア確保を理由に、税金が投入されています。

しかし、自由競争の世界では技術革新は勝手に進んで行きます。
例えば、青色LEDの開発によって可能になった白色LEDは、
TVや携帯のバックライトとして、蛍光ランプを駆逐しました。
利用してメリットがある技術は、民間に任せておいてもドンドン進歩してゆきます。

税金を投入すべきは、基礎研究の分野で、
太陽電池の高効率化や、バッテリーの高容量化の基礎研究には税金投入が必要です。

しかし、実用段階でない技術の製品の普及に、税金を使う事は間違いです。
税金によって成り立つ産業は、政策が変われば瞬時に滅んでしまいます。

ドイツのクリーンエネルギーは税金や国民の負担の上に成り立っています。
そんな物をお手本にしても何のメリットもありません。
不完全な太陽電池製造に投資すれば、グリーンバブルが弾けた時、
莫大な損害を被る事になります。

技術の普及には、「本当に儲かる」事が必要なのです。