■ はじめに ■
私も個人的なブログなので、無責任な事を承知で書いておりますが、
人の命が絡む事だけに、不快に思われる方もいらっしゃるかと思います。
そのような方は、ここから先は読まれないよう、お願いいたします。
先ず、お断りしておきたい事があります。
私は人の命は大切だと考えています。
しかし、一方、統計学的な生死は、冷静に判断すべきだとも考えます。
家内も医療従事者ですし、現場の医師や看護婦の方の苦労は色々と聞き及んでいます。
その上で、間違った政策や、過剰な報道が現場にさらなる負担を負わせるものであると考えます。
■ NHKスペシャルが新型インフルエンザを扱っていた ■
本日のNHKスペシャルは新型インフルエンザを特集していました。
私の様に、今回のインフルエンザが極めて軽症であるという噂を流す者に対する
警鐘の様な内容でした。
私自身、一部反省する点もありましたので
内容を検証していみたいと思います。
■ 若者で重症化する「新型インフルエンザ」 ■
さて、今回の新型インフルエンザで特異的な事は、「若者が重症化」する点です。
NHKスペシャル(以下Nスペ)では、最初に沖縄の14歳の少女の重症患者の例を取り上げています。
この少女は、ウイルス性肺炎を起し、現在も意識不明で人工呼吸器を使用しています。
映像で集中治療室の少女の姿を見ると胸が痛みます。
その次にメキシコの若い男性の例が示されます。
彼は発症後、地元の病院で肺炎と診断され抗生物質を投与されますが、症状は改善せず、
呼吸器系の専門病院に転院した時点では、手遅れの状態でした。
原因は、新型インフルエンザによるウイルス性肺炎。
しかし、この患者は多臓器不全も併発しており、
過剰免疫反応である、サイトカイン・ストームを起したと考えられています。
メキシコではこの様な症例が多数発生しました。
アメリカでも同様な若い女性の死亡例を取り上げ、
全米で600人の死亡者があったと伝えています。
● 今回のインフルエンザでは、サイトカイン・ストームと思わせる症状で重篤化する
若い人が少なからず発生している。
この点は今回のウィルスの特徴と言って良いでしょう。
● 重篤化以前の治療状況によって死亡率が異なる
Nスペが例に挙げていたカルフォルニアの死亡した若い女性は、
10日間高熱が続いた後に、病院に行っています。
日本では考え難いケースです。
国民皆保健制度の無いアメリカでは、病院に掛かれば高額な医療費が発生します。
その為、精肉工場で働いていたこの女性は、10日も高熱を出してからの受診になったと思われます。
その後、この医療機関では、同じ様な症例の患者が運び込まれた場合、
先ず抗ウイルス薬を先ず投与する事に決め、この処方は確実に効果を上げています。
■ チリでのインフルエンザ蔓延の状況 ■
次にチリでのインフルエンザ蔓延による医療機関の混乱を取材しています。
チリでは、ピーク時には患者が医療機関に殺到し、
5時間以上も待ったり、病院の外まで患者が溢れ出したと伝えています。
さらに、医療体制の整った首都サンチャゴに患者が空輸されてきたと伝えています。
ところで、チリの医療体制はどうなっているのでしょうか?
http://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/i/kyouiku/kokusai/chile/1/sono1.html
<引用>
私の専門は医療関係ですので、チリの医療についてお話しましょう。チリの医療機関は国公立と私立があり、保険制度もありますが、まだまだ十分満足のできるような水準ではありません。私立の病院は日本と同等かそれ以上かと思えるくらいの病院設備と人材を保有しています。ですが、そこを利用するには非常にたくさんのお金が必要なため、ほんの一部の富裕層にしか利用はできないのです。それでも入院期間は短く、保険の利用を抑えていることがわかります。一般の人々は国公立病院や診療機関を利用するのですが、そこでは、古い建物と設備不足から、十分な医療が行き届いているとはいえません。経過が良くなれば、すぐに
<引用終わり>
どうやら、チリでは医療保健制度が不十分なようです。
一般人が公立病院に殺到した様子が容易に想像出来ます。
さらに、重篤患者を首都に搬送した例が示されましたが、
地方に充分な治療が出来る医療機関が無ければ、日本でも同様の処置が取られるでしょう。
チリは南北に長い国です。救急車で遠方から搬送すれば、当然途中で患者は死亡します。
映像では、病院に殺到する患者、特に子供の患者を中心に編集していましたが、
チリの医療事情に対する説明は一切されていませんでした。
■ 沖縄におけるPICU(小児用集中治療室)の混乱 ■
チリの医療現場の混乱の報道の後に、
沖縄の小児集中治療室PICUの混乱の例を取り上げています。
沖縄は8月に感染ピークを一度経験し、各医療機関は大分混乱した様です。
特に、県立中部病院のPICUは6床しか無く、
通常でも心疾患の子供や、重症の子供でフル稼働に近い状態です。
しかし、そこにインフルエンザで重症化した乳幼児が搬入されえ来ます。
当然、PICUはキャパシティーを越えます。
季節性インフルエンザでも重症化する危険性が高いのは、乳幼児と老人です。
乳幼児はウィルスとの接触が無い為、抗体を持っていません。
体力の無い乳幼児は、季節性インフルエンザでも重症化する例は少なくはありません。
普段から満床気味のPICUにインフルエンザの流行が重なれば、
当然オーバーキャシティーになります。
最も、東京の大学病院などでも、PICUは6床程度が普通です。
それ以上あっても、小児科医も看護師も不足しているので機能しません。
ここで問題にすべきは、小児科医の不足であって、
PICUのオーバーキャパシティーは季節性インフルエンザの流行でも同様に起こりうる事です。
■ イギリスの試み ■
インフルエンザの感染ピークは、
初期感染者を1%減らすだけでも大きく改善するようです。
こんの点は私も勉強になりました。
現在、学級閉鎖が多数発生していますが、
こういった処置により初期感染者を減らせれば、
感染ピークを後ろにずらす事が出来、
さらにピーク時の感染者数も低減するようです。
イギリスではさらに進んだ対策が取られていて、
インターネットで患者が自己診断してインフルエンザと判断されたら、
本人でなく、家族か友人が最寄の医療機関で抗ウィルス薬を入手出来るそうです。
これは、感染を押さえ込むには有効な手段です。
感染者が医療機関への往復の際に、
あるいは医療機関でウィルスを媒介する可能性は充分にあるからです。
■ 沖縄では感染医療体制の変更が効果を表した ■
次に沖縄での感染医療体制の変更の事例を報告しています。
8月に感染ピークを迎えた沖縄では、一時医療機関が混乱した様です。
しかし、その後、大多数の軽症者を地域の診療所や病院が処置し、
中度や高度の重傷者を速やかに大型の医療機関に搬送する様に、制度を改めたようです。
この結果、大病院の混乱が解消され、重症患者の治療に専念出来るようになったそうです。
ちょっと待って下さい。
改善後の医療体制が、本来ならば普通の医療体制のハズです。
しかし、感染ピークを迎えるのが早かった沖縄では、
鳥インフルエンザの様な、危険なウィルスに対応した初期の医療体制、
即ち、発熱外来や、指定医療機関でしか新型インフルエンザに対応しない状態で感染が拡大しています。
この様な医療体制は、ウイルスが封じ込められている状態では機能しても、
ウィルスが蔓延した状態では機能しません。
幸い、今回のインフルエンザの場合、殆どが軽症で済む為、
従来の医療体制で何の問題も無く対応が出来るだけの話です。
実は、8月に既に本土でもインフルエンザは蔓延して、
地域に診療所には、新型の患者が結構来院していた様です。
気の利いた医師は、新型との診断をせず、普通にタミフルを処方していた様です。
新型となると、報告やら風評やらで、診療が滞るからです。
行政も後追いする様に、発熱外来や指定医療機関制度を廃止しています。
■ NHKスペシャルを見た人達が、明日から又騒ぎ出す ■
私は天邪鬼ですから、右と言われれば、左を向いてしまいます。
そういう目で今回のNHKスペシャルを見ると、
各国の死亡者の数のバラツキは、その国の医療保健制度の充実度と、
医療技術の完備度、そして、今回のインフルエンザの対策の的確度の表れであり、
アメリカやメキシコは医療制度自体が大きな問題を抱えていると思えてなりません。
そして、確かに若い方で重症化するケースが稀にありますが、
殆どの人が軽症で済む事からも、過度の警戒は不要と思われます。
但し、重症化の徴候が見られた場合は、患者も医療機関も速やかに適切な処置が求められます。
今の所、重症化の原因は不明ですが、
非常に低い確率での症例なので、遺伝的要因があるのでは無いでしょか?
健康な若者で目立つ事からも、サイトカインの分泌に絡んでいるのでしょう。
さて、今回のNHKスペシャルは、
新型インフルエンザを、さも恐ろしい物の様に扱っていました。
タイトルからして、「新型ウイルス・未知の脅威」はやりすぎの感があります。
暗い表情のアナウンサー。
オドロオドロしい、背景音楽。
タミフルのコマーシャル効果としては、絶大に思いましたが、
はたしてご覧になれれた方は、どの様に感じられたでしょうか。
最後に、現在のこのページを紹介します。
新型インフルエンザの情報として、非常に有効なページだと思っています。
http://nxc.jp/tarunai/index.php?action=pages_view_main&active_action=multidatabase_view_main_detail&content_id=2756multidatabase_id=47&block_id=520
私も個人的なブログなので、無責任な事を承知で書いておりますが、
人の命が絡む事だけに、不快に思われる方もいらっしゃるかと思います。
そのような方は、ここから先は読まれないよう、お願いいたします。
先ず、お断りしておきたい事があります。
私は人の命は大切だと考えています。
しかし、一方、統計学的な生死は、冷静に判断すべきだとも考えます。
家内も医療従事者ですし、現場の医師や看護婦の方の苦労は色々と聞き及んでいます。
その上で、間違った政策や、過剰な報道が現場にさらなる負担を負わせるものであると考えます。
■ NHKスペシャルが新型インフルエンザを扱っていた ■
本日のNHKスペシャルは新型インフルエンザを特集していました。
私の様に、今回のインフルエンザが極めて軽症であるという噂を流す者に対する
警鐘の様な内容でした。
私自身、一部反省する点もありましたので
内容を検証していみたいと思います。
■ 若者で重症化する「新型インフルエンザ」 ■
さて、今回の新型インフルエンザで特異的な事は、「若者が重症化」する点です。
NHKスペシャル(以下Nスペ)では、最初に沖縄の14歳の少女の重症患者の例を取り上げています。
この少女は、ウイルス性肺炎を起し、現在も意識不明で人工呼吸器を使用しています。
映像で集中治療室の少女の姿を見ると胸が痛みます。
その次にメキシコの若い男性の例が示されます。
彼は発症後、地元の病院で肺炎と診断され抗生物質を投与されますが、症状は改善せず、
呼吸器系の専門病院に転院した時点では、手遅れの状態でした。
原因は、新型インフルエンザによるウイルス性肺炎。
しかし、この患者は多臓器不全も併発しており、
過剰免疫反応である、サイトカイン・ストームを起したと考えられています。
メキシコではこの様な症例が多数発生しました。
アメリカでも同様な若い女性の死亡例を取り上げ、
全米で600人の死亡者があったと伝えています。
● 今回のインフルエンザでは、サイトカイン・ストームと思わせる症状で重篤化する
若い人が少なからず発生している。
この点は今回のウィルスの特徴と言って良いでしょう。
● 重篤化以前の治療状況によって死亡率が異なる
Nスペが例に挙げていたカルフォルニアの死亡した若い女性は、
10日間高熱が続いた後に、病院に行っています。
日本では考え難いケースです。
国民皆保健制度の無いアメリカでは、病院に掛かれば高額な医療費が発生します。
その為、精肉工場で働いていたこの女性は、10日も高熱を出してからの受診になったと思われます。
その後、この医療機関では、同じ様な症例の患者が運び込まれた場合、
先ず抗ウイルス薬を先ず投与する事に決め、この処方は確実に効果を上げています。
■ チリでのインフルエンザ蔓延の状況 ■
次にチリでのインフルエンザ蔓延による医療機関の混乱を取材しています。
チリでは、ピーク時には患者が医療機関に殺到し、
5時間以上も待ったり、病院の外まで患者が溢れ出したと伝えています。
さらに、医療体制の整った首都サンチャゴに患者が空輸されてきたと伝えています。
ところで、チリの医療体制はどうなっているのでしょうか?
http://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/i/kyouiku/kokusai/chile/1/sono1.html
<引用>
私の専門は医療関係ですので、チリの医療についてお話しましょう。チリの医療機関は国公立と私立があり、保険制度もありますが、まだまだ十分満足のできるような水準ではありません。私立の病院は日本と同等かそれ以上かと思えるくらいの病院設備と人材を保有しています。ですが、そこを利用するには非常にたくさんのお金が必要なため、ほんの一部の富裕層にしか利用はできないのです。それでも入院期間は短く、保険の利用を抑えていることがわかります。一般の人々は国公立病院や診療機関を利用するのですが、そこでは、古い建物と設備不足から、十分な医療が行き届いているとはいえません。経過が良くなれば、すぐに
<引用終わり>
どうやら、チリでは医療保健制度が不十分なようです。
一般人が公立病院に殺到した様子が容易に想像出来ます。
さらに、重篤患者を首都に搬送した例が示されましたが、
地方に充分な治療が出来る医療機関が無ければ、日本でも同様の処置が取られるでしょう。
チリは南北に長い国です。救急車で遠方から搬送すれば、当然途中で患者は死亡します。
映像では、病院に殺到する患者、特に子供の患者を中心に編集していましたが、
チリの医療事情に対する説明は一切されていませんでした。
■ 沖縄におけるPICU(小児用集中治療室)の混乱 ■
チリの医療現場の混乱の報道の後に、
沖縄の小児集中治療室PICUの混乱の例を取り上げています。
沖縄は8月に感染ピークを一度経験し、各医療機関は大分混乱した様です。
特に、県立中部病院のPICUは6床しか無く、
通常でも心疾患の子供や、重症の子供でフル稼働に近い状態です。
しかし、そこにインフルエンザで重症化した乳幼児が搬入されえ来ます。
当然、PICUはキャパシティーを越えます。
季節性インフルエンザでも重症化する危険性が高いのは、乳幼児と老人です。
乳幼児はウィルスとの接触が無い為、抗体を持っていません。
体力の無い乳幼児は、季節性インフルエンザでも重症化する例は少なくはありません。
普段から満床気味のPICUにインフルエンザの流行が重なれば、
当然オーバーキャシティーになります。
最も、東京の大学病院などでも、PICUは6床程度が普通です。
それ以上あっても、小児科医も看護師も不足しているので機能しません。
ここで問題にすべきは、小児科医の不足であって、
PICUのオーバーキャパシティーは季節性インフルエンザの流行でも同様に起こりうる事です。
■ イギリスの試み ■
インフルエンザの感染ピークは、
初期感染者を1%減らすだけでも大きく改善するようです。
こんの点は私も勉強になりました。
現在、学級閉鎖が多数発生していますが、
こういった処置により初期感染者を減らせれば、
感染ピークを後ろにずらす事が出来、
さらにピーク時の感染者数も低減するようです。
イギリスではさらに進んだ対策が取られていて、
インターネットで患者が自己診断してインフルエンザと判断されたら、
本人でなく、家族か友人が最寄の医療機関で抗ウィルス薬を入手出来るそうです。
これは、感染を押さえ込むには有効な手段です。
感染者が医療機関への往復の際に、
あるいは医療機関でウィルスを媒介する可能性は充分にあるからです。
■ 沖縄では感染医療体制の変更が効果を表した ■
次に沖縄での感染医療体制の変更の事例を報告しています。
8月に感染ピークを迎えた沖縄では、一時医療機関が混乱した様です。
しかし、その後、大多数の軽症者を地域の診療所や病院が処置し、
中度や高度の重傷者を速やかに大型の医療機関に搬送する様に、制度を改めたようです。
この結果、大病院の混乱が解消され、重症患者の治療に専念出来るようになったそうです。
ちょっと待って下さい。
改善後の医療体制が、本来ならば普通の医療体制のハズです。
しかし、感染ピークを迎えるのが早かった沖縄では、
鳥インフルエンザの様な、危険なウィルスに対応した初期の医療体制、
即ち、発熱外来や、指定医療機関でしか新型インフルエンザに対応しない状態で感染が拡大しています。
この様な医療体制は、ウイルスが封じ込められている状態では機能しても、
ウィルスが蔓延した状態では機能しません。
幸い、今回のインフルエンザの場合、殆どが軽症で済む為、
従来の医療体制で何の問題も無く対応が出来るだけの話です。
実は、8月に既に本土でもインフルエンザは蔓延して、
地域に診療所には、新型の患者が結構来院していた様です。
気の利いた医師は、新型との診断をせず、普通にタミフルを処方していた様です。
新型となると、報告やら風評やらで、診療が滞るからです。
行政も後追いする様に、発熱外来や指定医療機関制度を廃止しています。
■ NHKスペシャルを見た人達が、明日から又騒ぎ出す ■
私は天邪鬼ですから、右と言われれば、左を向いてしまいます。
そういう目で今回のNHKスペシャルを見ると、
各国の死亡者の数のバラツキは、その国の医療保健制度の充実度と、
医療技術の完備度、そして、今回のインフルエンザの対策の的確度の表れであり、
アメリカやメキシコは医療制度自体が大きな問題を抱えていると思えてなりません。
そして、確かに若い方で重症化するケースが稀にありますが、
殆どの人が軽症で済む事からも、過度の警戒は不要と思われます。
但し、重症化の徴候が見られた場合は、患者も医療機関も速やかに適切な処置が求められます。
今の所、重症化の原因は不明ですが、
非常に低い確率での症例なので、遺伝的要因があるのでは無いでしょか?
健康な若者で目立つ事からも、サイトカインの分泌に絡んでいるのでしょう。
さて、今回のNHKスペシャルは、
新型インフルエンザを、さも恐ろしい物の様に扱っていました。
タイトルからして、「新型ウイルス・未知の脅威」はやりすぎの感があります。
暗い表情のアナウンサー。
オドロオドロしい、背景音楽。
タミフルのコマーシャル効果としては、絶大に思いましたが、
はたしてご覧になれれた方は、どの様に感じられたでしょうか。
最後に、現在のこのページを紹介します。
新型インフルエンザの情報として、非常に有効なページだと思っています。
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