ハイブリットカー トヨタ「アクア」
往年のスターレットを思わせるスタイリングですが、
ハイブリットシステムを搭載して、200万を超える価格は??
この形で、スポーティーなガソリン車で安ければ、
86が買えないお父さん達に結構人気が出たと思うのだけど・・・。
■ ハイブリットは売れても赤字経営のトヨタ ■
トヨタの赤字体質が深刻化しています。
「日経平均20年振り9週連続安とトヨタの借金」 (NEVADAブログ2012.06.01)
http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/archives/4209407.html
<引用開始>
- 前略 -
日経報道ではトヨタは1兆8000億円の現預金を持っており、資金も潤沢という報道をしていますが、これは片手落ちの報道となります。
では負債はないのでしょうか?
一言も書いていませんので、殆どの方はトヨタは無借金と思っていますが実際は膨大な借金を抱える会社になっているのです。
<連結>
短期借入金(負債) 3兆4506億円
長期借入金(負債) 6兆 422億円
合計 9兆4928億円
これだけの負債を抱えているのです。
実際に負債となればもっと増え、総額で19兆5844億円となっています。
(決算発表資料)
- 後略 -
<引用終わり>
■ ハイブリットは儲からない ■
私は兼ねてからハイブリット車への傾倒が、
トヨタの命取りになるのではないかと予測しています。
安価で販売する事を主眼に開発されたホンダのインサイト潰しの為に
トヨタが三代目プリウスの価格を、不正なまでに引き下げた時から、
トヨタの失敗は確定していたとも言えます。
ハイブリット車はガソリンエンジンとモーター&蓄電池を使用します。
言うなればガソリンエンジン車と、電気自動車の「あいのこ」です。
当然、駆動系に2傾倒の動力を抱え、
ガソリンタンクと蓄電池を抱え、
エンジンとモーターの動力伝達のパラレル化を実現する為に複雑なギアー必要とし、
さらに、回生ブレーキの制御や、動力制御に複雑なプログラムが必要となります。
当然、開発費も係り、実際に車の原価もガソリン車の比較にはなりません。
さらに、資源も大量に消費します。
その様はコスト高の車を、破格の値段設定で提供してしまったトヨタは、
この時、既に破綻の道への一歩を踏み出してしまったと私は見ています。
「トヨタは大丈夫?」 (2009.05.19)
http://green.ap.teacup.com/pekepon/62.html
「再度プリウス」(2009.05.20)
http://green.ap.teacup.com/pekepon/63.html
「景気回復後の市場は別に姿に・・・」 (2010.10.05)
http://green.ap.teacup.com/pekepon/142.html
「トヨタは大丈夫か?・・・板ばさみのハイブリット」(1010.10.07)
http://green.ap.teacup.com/pekepon/145.html
「超低燃費車の逆襲」(2010.10.08)
http://green.ap.teacup.com/pekepon/146.html
「実効燃費でみた省エネ車」 (2010.10.09)
http://green.ap.teacup.com/pekepon/147.html
■ 高級車でしか利益の出ないトヨタの体質 ■
そもそもトヨタはリーマンショック以前も高級車でしか利益の出ない体質でした。
住宅バブルで高級車のレクサスが北米市場で売れていたリーマンショック以前は、
飛ぶ鳥を落とす勢いで利益を伸ばしていました。
ところがリーマンショックでその経営環境が一変します。
高級車が売れなくなったのです。
ホンダやスズキは小型車でもしっかり利益の出る体質です。
日産もゴーン体性の厳しいコストカットで、
アジア向けの小型車にターゲットを絞っていました。
■ 破格の価格設定で勝負を掛けた創業家の御曹司 ■
景気の悪化から高級車が売れなくなった北米市場と国内市場で、
トヨタに残された差別化がハイブリットでした。
ところが、ホンダがインサイトという低価格なハイブリットを投入して、
トヨタの牙城を崩しに掛かります。
当時、トヨタの経営再建を任されていた創業家の豊田社長は、
三代目プリウスを破格の価格で販売するという賭けに出ます。
これにより、インサイトの売り上げはがた落ちになり、
一見、トヨタのプリウスの一人勝ち状態に見えました。
■ 利益のほとんど出ないプリウス ■
プリウスはきちんとした車です。
物量も技術もギッチリと詰まった次世代車です。
当然コストもそれなりに掛かりますが、
をれを業界の事前予測の50万円下の価格で販売したらどうなるでしょうか?
プリウスは売っても、売っても、利益の出ない車になってしまいます。
さらに、本来マークXなどに乗る所得層の人達が
「ECO」ブームに踊らされてプリウスを買う様になります。
利益がしっかり出るマークXから、利益の出ないプリウスへの乗り換えは
トヨタの経営をさらに圧迫した事でしょう。
当然、増産効果もあってプリウスの減価は下がりますが、
原材料費に関しては、あるレベルからは下がりません。
■ エコカー減税に救われるトヨタ ■
結局トヨタを救ったのは「エコカー減税」です。
プリウスが売れる毎に、国が税金からトヨタに補助金を払ったのです。
エコカー減税は他社も恩恵に浴していますから、
トヨタだけを責める訳には行きません。
しかし、トヨタはハイブリットの車種を拡充して、
エコカー現在対象車を増やす事で、売り上げと利益を維持する様になりました。
これに対して、マツダなどハイブリット技術の無いメーカーは、
エンジンの燃費向上や、アイドリング・ストップなど
正攻法でエコカー減税対策を行いました。
■ またしてもホンダにしてやられたトヨタ ■
ハイブリット市場でトヨタの一人勝が確定したかに見えた頃、
ホンダが又しても、安いハイブリット車を市場に投入します。
フィットHVは、インサイト同様に簡易的なハイブリットシステムなので、
コストは抑え目で、広い室内空間を確保するなど、
車としての使い勝手が良い車になっていました。
トヨタはこれに対してヴィッツをベースとしてアクアを投入します。
ところが、プリウスの前例があるので、アクアの価格設定は破格ではありません。
1.5リッターエンジンと2モーターを搭載したアクアは
フィットよりはきちんとしたハイブリット車ですが、
プリウス以上の燃費性能が無ければ、存在意味が希薄です。
そこで、車体を小型軽量化して燃費の数値を稼ぎました。
車高を低く抑える事で、空力特性の向上も図っています。
その結果、室内の居住性やラゲッジスペースが犠牲になってしまいます。
これで普通のコンパクトカーの値段ならば問題は無いのですが、
オプションを付けると200万を軽々と超える価格の
非常に微妙な車が出来上がってしまいました。
しかし、40Km/リッターというはユーザにアピールしました。、
さらには、廃止されていたエコカー減税が復活したおかげで
アクアの売り上げは好調で、納車待ちの状態になっています。
今回はトヨタも適正利益を上乗せした価格設定ですから
アクアの成功に、トヨタ幹部は胸を撫で下ろしている事でしょう。
■ 価格差を回収できないアクア ■
一方で、そろそろアクアの問題点が指摘され始めました。
フィットHVとの実売価格差が、ガソリン代の節約によって
5年では回収できないのです。
当然、一般的な小型車との価格差も5年では回収できません。
そろそろ賢い消費者が気付き始めていますが、
アクアは狭い居住スペースを我慢しても、
元が回収できない車なのです。
■ 世界では人気の薄いハイブリット ■
そもそもハイブリット車が売れていいるのは、日本とアメリカくらいです。
日本はエコカー減税と、エコブームで支持されており、
アメリカはドル安によるガソリンの高騰で、省エネ車が支持されています。
一方、ハイブリット車の燃費性能が、
ヒーターの使用やエアコンの使用で極端に低下するなど、
実使用状態では、カタログスペック程に省エネ性能が無い事も問題視されています。
ヨーロッパでは、クリーン・ディーゼルが省エネ車の主力です。
アウトバーンを高速で走行するヨーロッパでは
トルクの太いディーゼル車は従来から人気があります。
さらに、ディゼルエンジンは燃費が良く、軽油はガソリンより安価です。
近年のディーゼルエンジンは性能も良く、静粛性も向上しています。
一方、中国やインドなどの新興諸国は、
一般人に大事なのは車の価格の安さです。
暑い国では、どうせ窓など開けないのですから、
窓が開かない車もあります。
一方で中国の富裕層に重要なのは「イメージ」です。
彼らにはプリウスに乗ってエコを実践するイメージよりも
ベンツやBMW、アウディーといった高級車に乗っているというイメージが大事です。
この市場はドイツ者の独畳場です。
■ リストラの遅れがトヨタの命取りになる ■
トヨタはリーマンショック後、たとえ儲からなくても、
プリウスを増産する事で、製造ラインを維持する選択をします。
これは雇用を守るという意味からも、
経営者としては立派な判断です。
そして、景気が上向いたら、維持していたラインと人員をフル稼働して、
再び、生産量世界一の座に帰り咲くつもりだったのでしょう。
しかし、日本もアメリカも一向に景気が回復しません。
アメリカはそろそろ買い替え需要も活発化していますが、
韓国の現代自動車がトヨタのシェアーを大きく奪っています。
トヨタはエコカー減税のおかげで、大幅なリストラが遅れた為に、
逆に経営が脆弱化してしまいました。
規模が大きいだけに、一度収益モデルが崩れると赤字をたれ流す事になります。
これはトヨタだけでなく、パナソニックやソニー、シャープなどが抱える
日本の大企業に共通した病根です。
「補助金」という庇護政策で、日本政府は日本企業の競争力を奪ってしまったのです。
■ 補助金は税金を使って外人に安い商品を提供しているだけ ■
日本が、あるいは世界が鎖国していれば、
補助金も問題はありません。
限られた市場を、皆で共有する場合、
多少の高いコストも、結局は所得増加として還元されます。
ところが、世界市場を相手にする場合は、
補助金の受益者は、外国人となってしまいます。
一見すると、日本の企業が救われているのだから問題無いと思えますが、
日本企業は補助金で浮いたコストを、海外販売での値引きに当てるはずです。
これでは、日本人の税金を使って、外人に安い商品を提供している事と変わりありません。
補助金が無くなった時が、企業に命脈が尽きるときです。
後は、製造コストの低い海外に移転するしか延命は出来ません。
■ ガラガラポンからの再生 ■
結局、日本の製造業が復活する為には、
日本が一度破綻するなどして、円安が進行し、
製造コストの内外価格差が縮小する以外に方法は無いのです。
「同一労働、同一賃金」はフラット化する世界では避けて通れません。
ドイツの経済がかろうじて好調を保っているのも、
ユーロ崩壊の茶番劇で、ユーロ安を演出しているからです。
確かに一部の人達が言うように、日本にしか無い技術があれば生き残りは出来ます。
しかし、それは一部の企業に限られた話です。
日本の製造業の多くは、海外と同じ土俵で戦わざるを得ないのです。
ところで円安が進行するとどうなるでしょうか?
輸入物価は当然高騰します。
原油価格も穀物価格も高騰します。
中国からの安い製品も、何倍かの価格になるかも知れません。
これこそがインフレです。
デフレに慣れた私達には、想像が難しいのですが、
「のり弁当」が298円で食べられる時代の終焉がすぐそこに迫っています。
■ 海外資産の利益によて生きるイギリス ■
円が高いうちに、海外資産を買い漁っておくという主張も良く聞かれます。
確かに、円安になれば、大きな利益が出ます。
この政策を取っているのがイギリスです。
イギリスは大英帝国時代に築き上げた資本関係を、
高効率で回収する為に、機軸通貨をアメリカに譲り、
ポンドを切り下げながら、利益を拡大しています。
日本がはたして、イギリスの様に老獪な国家になれるかというと・・・
プラザ合意後に日本が取得した資産がどうなったか思い出せば、
だいたい予測が付くというものです。
さらに、今後予想されるのは世界規模に経済危機です。
海外で取得した資産とて、無事だという保障はありません。
■ 金融危機が勃発するとトヨタの内部保留が吹っ飛ぶ ■
実はトヨタの危機は自動車製造の危機ではありません。
運用されている強大な内部保留が金融危機によって一気に毀損する事で、
バランスシートが一瞬にして大きく崩れる事がトヨタのアキレス腱です。
実際にリーマンショックでトヨタの内部保留は、
巨大な損失を発生させ、それが決算に反映されました。
「巨大企業だから」とか「内部保留が沢山あるから」などというのが、
企業のウィークポイントになるのなら、トヨタこそが最も危険な状態にあるとも言えます。
巨大な恐竜は、環境の変化い対応できずに絶滅したので・・・・。
私はトヨタに個人的恨みはありませんが、
「大きい事は良い事だ」という前時代的な価値観が嫌いです。
クラウンを初めとする分かり易いヒエラルギーに安泰していた
トヨタの車のラインナップには、全く魅力を感じませんでした。
・・・その前に免許を持っていなかったのですが・・・。
エコロジスとでしたから・・。
多分、トヨタをなど日本の自動車メーカーは今後大きな試練に立たされるでしょうが、
それを乗り越えて、魅力的な車を作れるメーカーになって欲しいと願っています。
実はクルマは嫌いでは無いのです。
デザインとメカが融合したクルマという存在は
いつの時代も男子の憧れです。
携帯電話なんて甘っちょろいアイテムを捨て去って、
若者よ、クルマで街に出て、ナンパの一つでもやって来い!!
頑張れ、トヨタ!! 頑張れ、日本車メーカー!!