人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

期待で買われる株・・・・実績で売られる株

2012-06-07 09:27:00 | 時事/金融危機
 

■ 株価が回復している? ■

ここ数日、株価が持ち直している様に見えます。
これは、ギリシャやスペイン危機に過剰に反応した、
反動とも見えます。

あるいは、ユーロ危機で悪化した経済を支える為に
そろそろ各中央銀行が緩和政策を実施するだろうという
期待の現われとも見えます。

■ 期待で買われ、実績で売られる株 ■

株に限らず、金融商品は期待で買われて、実績で売られます。
人より先行して仕掛けるから利益が出るのであって、
結果が見えてから売買に参加しても利益が薄いからです。

日経平均は日銀の買い支えで暴落は免れていますが、
TOPIXはバブル後最安値を記録して暴落状態の日本でも
そろそろ、追加の思い切った金融緩和に対する圧力が高まっています。

■ 株屋は条件反射で動いている ■

世界に溢れる過剰流動性は金利を求めて世界を徘徊しています。
少しでも利益の臭いを嗅ぎ取れば、大挙して押し寄せては去ってゆきます。

株にしても長期保有ではなく、短期の売買で利益を最大化します。
その最たる例がHFTで、コンピューターによる自動アルゴリズムによって、
高速で売買を繰り返し、小額の利益を大量に積み上げて利益を拡大します。

既に株の世界は、バーチャルゲームの空間と化し、
条件反射でスコアーが決定するシューティングゲームに酷似しています。

■ 日銀はカモられている ■

ダラダラと下落する日経平均を日銀が買い支えています。
これは世界の銀行の中でも類を見ない、
積極的な景気対策と言えます。

しかし、日銀は下落幅がある程度になると
自動的に買い入れを行っていると思われ、
この様に、動きが読める介入は、
ヘッジファンド達にとっては「カモ」と言えます。

売りを仕掛ければ、日銀が買い支えてくれるのです。
これはオイシイ。


■ 買い入れた資産が消失するかもしれない ■

日銀も年金資金も必死に株を買い支えています。
これは、危機が去って株価が値上がりすれば、
大きな利益を生み出します。
この事が、日銀の政策を正当化しています。

さらに日銀は特定の銘柄を買い支えているのでは無く、
流動性の高い225銘柄を抽出した日経225を買っていますから
一社や二社といった暴落や倒産リスクは回避出来ます。
これはサブプライムローンなどと同じ、大数の理論が働いています。

ところが大数の理論の落とし穴は、
破綻件数が数パーセントを超えた時に発生します。

例えば、世界金融恐慌が発生して、
日経225の銘柄の会社の何割かが倒産する様なケースでは、
日銀や年金ファンドの資金が大きく毀損する可能性も否定出来ません。

■ 今を生きる市場 ■

市場参加者は今を生きています。
今日の投資の方向と、明日の投資の方向が正反対でも、
利益さえ出れば、問題無いのです。

むしろ、投資の方向を固定すると、
ロンドンのクジラの様に、大きな損失を生みます。

しかし、日銀の株や不動産の売買は、
基本的に「買い」のポジションしか取りませんから、
初めから、損失を生み出す様なポジションと言えます。

損失は誰かの利益です。
これが海外投資家の利益であれば、
「ケシカラン」と腹を立てれば済む事ですが、
利益を得るものの多くは、国内の投資家が含まれる事がムカツキます。

売りの局面では、少なからぬ国内投資家も同調して売っているはずで、
日本国の経済を守ろうとする日銀の介入を、
口を空けて待っている日本人が少なからずいるという事になります。


■ 追加緩和期待で回復する? ■

追加緩和期待で回復する株式市場は、
追加緩和でしばらく株価が回復したら、
売り浴びせてボロ儲けするという事と同じ意味あいです。


結局、中央銀行が市場に直接介入する事は、
為替介入も含めて、既にモラルハザードであり、
そういった政策は、最終的には失敗して終わるのでしょう。