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エネルギー大国アメリカ・・・シェールガス革命

2012-06-06 04:14:00 | 時事/金融危機
 


Wikipedia より


■ シェールガスて何? ■

最近良く耳にするシェールガスという言葉。
従来の天然ガスとどう違うのでしょう。

天然ガスは海底の堆積層内の有機質が分解されて
メタンが生成される事によって作られます。

池や沼の水面に、時々泡がポコポコと浮いて来る事がありますが、
あれは魚のオナラでは無くて、
水底の汚泥の有機物が分解されて発生したメタンガスです。

メタンガスという意味においては、
私達のオナラもメタンガスですから、
天然がガスは「地球のオナラ」と言うことも出来ます。

さて、この地球のオナラですが、
かつての海底地層に大量に含まれています。
海底は砂か泥た堆積していますから、
堆積して圧縮された地層は、砂岩か泥岩になります。

上の図から分かるように、従来は比較的浅い所にある砂岩層から
天然ガスは産出されてきました。

砂岩は隙間が多いので、粒子の間とガスが自由に通り抜けます。
地下の地層には巨大な圧力が掛かっていますから、
砂岩の一部に垂直に井戸を掘るだけで、
圧力に押されて天然ガスが井戸から噴出してきます。
これが従来の天然ガスです。

一方、シェールガスは泥岩の層に蓄積されています。
泥岩は粒子が細かく、ガスが通り抜ける事が出来ません。
ですから、泥岩に垂直に井戸を掘っても、
ほとんどガスを生産する事はできませんでした。

■ シェールガス革命 ■

シェールガスは生産に掛かるコストが、
ガスの販売価格に見合わなかったので
資源としての価値はありあませんでした。

ところが近年、シェールガス採掘の技術革新が起こり、
シェールガスの生産コストが下がる事で、
にわかに資源としての価値が高まりました。

泥岩層に高い水圧を掛けて、泥岩を破砕し、
ガスを安価に産出できる様になったのです。


http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/4/4455/1108_out_c_increased_naturalgas_reserves.pdf より

さらに、泥岩層の中を水平に1Kmも3Kmも井戸を掘り進む技術も開発されました。
泥岩はガスを通さない岩なので、
垂直に井戸を掘ったのでは、井戸と泥岩の接触面積はあまり大きくありません。
泥岩層が薄いからです。

そこで水平に井戸を掘る事で、井戸と泥岩の接触面積は格段い広くなります。

この様な技術革新と、それによるガスの産出を「シェールガス革命」と呼んでいます。

■ 2017年に天然ガス生産世界一になるアメリカ ■

ロイターの記事によると、アメリカが2017年までに
天然ガスの生産でロシアを抜いて、世界第一位になるそうです。

「天然ガス生産、2017年までに米国が世界1位に=IEA」 (ロイター 2012.06.06)
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE85405Q20120605

ロシアは大量の天然ガスを産出し、
それをパイプラインで欧州に供給する事で、
資源大国となり、ソ連崩壊からの経済復活を成し遂げています。

アメリカでシェールガスの生産が拡大してゆけば、
天然ガスの生産量がいずれロシアを抜くというのですから、
アメリカは一躍、エネルギー資源大国になります。


http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4118.html より

上のグラフは2011年の世界の天然ガスの埋蔵量ですが、
アメリカや中国がシェールガスで大躍進しています。
尤も、このグラフは確認埋蔵量ですから、
現在、安価に天然ガスを産出するロシアは、
シェールガスの資源調査をする必要が無いのでしょう。
きっと、あの広大な国土には、シェールガス資源も大量に眠っています。

■ エネルギー大国アメリカ ■

アメリカ経済は石油をがぶ飲みしますから、
アメリカは世界最大の石油輸入国ですが、
実はアメリカは世界有数の産油国でもあります。


http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2011energyhtml/2-2-2.html より

上のグラフは世界の原油の産出量の推移を示しています。
アメリカとカナダをあわせた北米は、
世界の2割程度の原油をコンスタントに産出しています。


http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2011energyhtml/2-2-2.html より

一方、国別原油埋蔵量では、アメリカは2.1%に過ぎません。
これは、アメリカの原油資源が開発され尽くした事を意味します。

但し、原油の埋蔵量は多分に政治的な数字だと私は考えています。
資源は輸入できるお金がある時は他国から買うべきで、
自国資源は将来に向けて開発せずに備蓄すべきものです。

アメリカが現在、ドルという最大の輸出品目がありますから、
これで、原油を世界から調達できるうちは、
国内の原油埋蔵量を低く見積もっている可能性が充分あります。

将来的に深海の油田や、オイルサンドからの原油採掘が可能になれば、」
原油埋蔵量は大幅に増加します。
そして、その様な原油を確認埋蔵量にカウントすれば、
アメリカの原油埋蔵量が飛躍的に伸びる事もあり得るのです。

■ エネルギー輸出国 アメリカ ■

アメリカの製造業は衰退しました。
オバマは輸出を増やすと発言していますが、
従来のアメリカの競争力のにある輸出品目は、
食料品と兵器と航空機くらいです。(ドルも?)

しかし、今後はシェルガスも有力な輸出品目になります。

■ 高く買ってくれる方が良い ■

アメリカは既にシェールガスの輸出を始めています。

日本もアメリカのシェールガスを輸入する予定ですが、
どうも他の国よりも日本はアメリカのガスを高掴みさせられています。

「シェールガス増産で米LNG安価に、日本の輸入価格引き下げ急務」 (ロイター 2012.02.06)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE81K29220120205?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0

これは日本の契約する天然ガス価格が、
原油価格を基準に決められている事が理由の様です。
近年、投機的な原油高の煽りで、
日本は高いコストで天然ガスを輸入しています。

これはアメリカのみならず、世界の上客となります。

輸出によって世界からお金を稼ぐ日本は、
エネルギー輸入によって、その利益を還元しいるとも言えます。

そこに行くと、ドイツはずる賢く、
あれ程、世界を相手に荒稼ぎしながらも、
ロシアとのガスの価格交渉はEUとして集団で当たっているはずです(憶測ですが)。
ユーロ危機によるユーロ安の演出といい、ドイツはなかなか姑息です。

■ 中東と縁が切れると、エネルギー政策をアメリカに握られる恐れ ■

国家の安全保障上、エネルギー政策は分散しておく必要があります。

原油、天然ガス、原子力という分散化も必要ですし、
調達地域を世界各地域に分散する必要もあります。

しかし、日本の原油輸入は極端に中東に偏重しています。
これは、アメリカの政策なのだと私は考えています。

中東産油国の多くはアメリカの傀儡政権ですから、
日本が中東諸国に払った原油代金の一部は、
アメリカ国債購入に使われています。

ところが、ここに来てアメリカが中東から締め出されている様に見えます。
「中東の春」や「イラク戦争」の結果は皮肉な事に
イスラム原理主義勢力の台頭を助長しています。

サウジアラビアの政権が崩壊すれば、
アメリカの中東支配もいよいよ終焉を迎ます。

ところが、アメリカ地震は原油も天然ガスも産出します。
特に天然ガス(シェールガス)は売るほどあります。

ではこれを誰に売るかと言えば、
やはり一番高い値段で買ってくれる客です。
・・・それは、やっぱり日本でしょう。

■ 原発廃止の裏で蠢くアメリカ ■

反原発派は、日本のメディアは原子力の危険性を正しく伝えていないと考えています。

私は日本のメディアは原発の危機を必要以上に煽っている様に見えます。

どちらが正しいかは分かりませんが、
確実に得をする存在があります。
・・・そうです、アメリカです。

日本で原発が再稼動できなければ
各電力会社は、天然ガスのタービン発電機を増設して対応せざるを得ません。

実はオイルショック以降、石油を使った新規に火力発電所建設は
世界的に禁止されています。

ですからこのまま原発が稼動しなければ、
日本はアメリカから天然ガスを買う必要があります。
それも、他国に比べて高いコストの輸入を要求されるはずです。

■ 世界情勢はエネルギーで動いている ■

世界情勢はエネルギーで動いていると言っても過言ではありません。

中東で起きている事や
日米関係、日中関係の変化を見ていると、
アメリカの次の戦略は、天然ガスの輸出とは無関係には思えません。

反原発の方々は、鬼の首を取った様にはしゃいでいますが、
寝首をかかれつつあるのが、自分達である事に気付かない様です。

エネルギーの世界は奥が深く、そして腹黒いのです。

因みに、武田先生は原子力村の人の様ですが、
その言動は、二酸化炭素問題やゴミ問題を取っても、
石油利権派に有利な言動が多い事には、注意が必要です。