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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

本当に怖いのは不測の事態・・・世界には危険がいっぱい

2013-04-24 08:45:00 | 時事/金融危機
 



■ ニセ情報に踊らされた市場 ■

上のグラフは23日のダウの値動きです。
米時間の13時頃に不自然に値下がりしています。

実はこの値下がり、ホワイトハウスが爆破されたというニセ情報によるもの。

AP通信のTwitteアカウントがハッキングされ、
ホワイトハウスで二度に渡り爆発があり、
オバマ大統領が負傷したとのニセ情報が2度に渡って流されました。

AP通信ハッキング被害、「ホワイトハウス爆発」偽情報で市場一時混乱  ロイター 2013.4.24

直ぐに訂正の報道が為されましたが、
市場は一時的に混乱し、一瞬ですが大きく値を下げています。

■ 避けられるリスクと、避けられないリスク ■

市場はリスクに溢れています。

多くのリスクは注意深く経済や政治の動向を注視していれば避けられます。
投資をしていない多くの個人にとっては、市場のリスクの大半はリスクにもなりません。

サブプライムショックやリーマンショックの様な市場の壊滅的危機も、
慎重な方達は回避された事でしょう。
アメリカの住宅バブルに警鐘が鳴らされていたのは
サブプライムショックの実に2年も前からの事です。
日本の雑誌などでも、SAPIOあたりの経済記事で、随分前から取り上げていました。
ただ、当時の日本人の多くは、サブプライムローンって何?っていう感じでした。

この様に、普通の経済や政治的リスクは、何らかの前兆があり、
リスクを取らなければ(儲かりませんが)、個人が甚大な被害を被る事はありません。
但し、危機による景気後退で、リストラされるなどといった間接的な危機は襲ってきますが。

一方、昨日のAP通信を装った偽情報に代表される様な、
何の前兆も無く。突発的に発生する危機は避ける事が難しい。

それこそ、オバマ大統領が暗殺されたり(不謹慎で申し訳ありません)
アメリカで911に匹敵する様なテロが起きたり(自作自演でも・・・)
アメリカの貧しい人達の暴動が発生し、瞬く間に全米に拡大したり、
突然、イスラエルがイランに核攻撃を仕掛けたり
こういったリスクは避けようがありません。

日本でいうならば、やはり地震が怖いでしょう。
東京で大規模の地震が発生すれば、日経株価も円も大暴落します。
富士山の噴火もインパクトがあります。

北朝鮮の暴発も注意が必要です。
北朝鮮はアメリカが好きな時にアジア危機を起す為の道具です。
ですから、アメリカ経済が行き詰って、戦争というケインズ政策を開始する場合、
北朝鮮は何の前触れも無く、ミサイルを日本に撃ち込むかも知れません。

まあ、殆ど発生しないリスクをキにしていては投資など出来ません。
ですから、多くの場合、このような避けがたいリスクは無視されます。

「だって、仕方なかったんだよ・・・・」で済まされる事なのでしょう。

■ 不測のリスクの確率はゼロでは無い ■

一般的にリスクとして見なされない不測のリスクですがリスクがゼロではありません。

今回のボストンの爆弾テロの様に、リスクの下地は充分に存在します。
発生確率の低いリスクは、日常的には発生しませんが、
それが明日発生するかもしれないという点では、巨大地震と同様のリスクです。

私はアメリカとドルの最大のリスクは暴動だと考えています。
リーマンショック後、アメリカの一般大衆は良く耐えたています。
それは、いつかは景気が回復するという期待を持っているからです。

アメリカはベトナム戦争後の不景気からも立ち直り、
不動産バブルやITバブルなどからも立ち直って着ました。
ですから、アメリカ国民は、失われた20年を生きる日本人より楽観的です。
景気回復の糸口さえ掴めれば、アメリカ経済は直ぐに回復すると誰もが思っています。

しかし、現在のアメリカには回復の原動力となるイノベーションが無い。
IT革命や、金融革命の様なイノベーションがアメリカ復活の鍵ですが、
今、アメリカで新たな産業は育っていません。

「シェールガス革命があるじゃないか」と言われる方も多いでしょう。
しかし、実態は「シェールガス開発バブル」であって、
採算性の乏しいビジネスは自然淘汰されます。

アメリカの抱えるリスクの元凶は、金融機関が抱える巨大な負債ですが、
経済の自律回復が困難な現状にあって、この解決はほぼ絶望的です。
現在のアメリカ経済は世界の中央銀行の「異次元な緩和マネー」によって支えられています。

この「異次元」が収束する時が、世界経済が崩壊する時です。
再度の金融危機が発生した場合、アメリカ国民の怒りは頂点に達します。
自分達の税金で金融機関を支援した結果が、金融崩壊では、誰でも怒り心頭です。

さて、銃社会アメリカの市民の怒りは、どういう事態を招くでしょうか?
一般の国では「暴動」で済む事も、
国民がアサルトライフルまで所持するアメリカでは、軍と市民の「内戦」に発展します。

■ 全てをウヤムヤにする為なら戦争というカードは簡単に切られる ■

国内の不満を発散させる最良の手段は戦争です。
島国であるアメリカは、中東やアジアから充分に離れているので、
これらの地域で戦争が起きても、自国の被害は最小限で済みます。

さらに、財政危機を理由に、「モンロー主義(不干渉主義)」に回帰して、
これらの戦争に巻き込まれる事を回避する手段も持ち合わせています。

「日米安保条約があるじゃないか」と言われそうですが、
軍の動員には議会承認が必要です。

海兵隊だけが大統領の判断で、議会承認無しに戦争を始められますが、
現在のアメリカの財政を考えると、積極的に戦争に参加するとは考え難いものがあります。

私は世界の経営者が次に行なう戦争は、中東戦争だと思っていました。
しかし、東アジアの緊張を見ると、どうもこちらも何かありそうな気配です。

■ 反戦はカッコ悪く無い ■

官僚の靖国参拝や、尖閣でも中国巡視艇と海上保安庁のにらみ合いなど、
世論を煽り立てるニュースが続いています。

ネットを中心に、韓国や北朝鮮、中国に対する強硬論も盛り上がっています。
憲法改正や、自衛隊の軍への昇格、そして、徴兵性などが普通に話題になっています。

ネットで煽り立てる人達は、徴兵されるのが自分や自分の子供という事を理解しているでしょうか?



戦争の原因はいつの時代も「経済」です。

現状は武器を輸出し、TPPで中国包囲網を形成する為の茶番劇ですが、
アメリカ経済に不測の危機が発生すれば、
それが即座に戦争に引き金に使われ無いとも限りません。


少なくとも私達は、踊らされて戦争を選択しない様にする必要があり、
中国、韓国とのパイプも太く保つ必要があります。
ここら辺は、小沢氏や鳩山氏に課せられた使命とも言えます。


民主党が弱体化しすぎると、ブレーキが効かなくなります。
そう、アメリカの共和党と民主党は、軍事的にはタカ派です。
こいいう極端に偏った二大政党制に陥らない様に、
今、日本国民に求められているのは、持ち前のバランス感覚です。


国民が率先して戦争を求める様な先の大戦前の様な愚行は
決して繰り返してはいけないのです。


世界は不測のリスクで一杯です。
私達は、冷静にリスクを回避する努力を怠ってはいけないのです。


<追記>

日本の核兵器を保有すれば、東アジアでは「緊張の上のバランス」が確立しますが、
アメリカがそれを望まぬ限り、日本はアメリカに頼らざるを得ません。
「お花畑平和主義者」が最も禁忌とする核兵器保有が、
一番安定して平和を生み出す事は皮肉としか言い様がありません。

インド・中国・パキスタン・ロシアは本気で戦争が出来ません。
お互いに核兵器を保有しているからです。
彼らは上海協力機構を形成し、かつてのワルシャワ条約機構の様な機能を持たせています。

それに対して、中東はイスラエルとアラブ諸国の間に核の不均衡が残され、
東アジアは、中国・北朝鮮と、日本・韓国の間に核の不均衡が残されています。

現在、この地域のバランスは「米軍の核」によって保たれています。
アメリカの実に巧妙な地域支配の方法ですが、
アメリカ国内の暴動などで、アメリカ軍が国内で手一杯になった時、
世界のバランスは、自然に崩れ去ってしまいます。

そういった意味においても、私達はアメリカ国内の情勢に
絶えず注意を払う必要があるのです。