■ 世界各国は大量の国債を発行する ■
ヨーロッパ各国は3月中旬からロックダウンに入りましたが、ロックダウン解除は5月中旬以降、アメリカは5月下旬から6月上旬、日本は政府が大規模な抗体検査を実施しなかえれば6月末までロックダウンが続くでしょう。
ロックダウン後に通常な経済活動が即時回復されるかどうかは疑問です。抗体検査を実施した国では、抗体保有者から社会復帰する政策が取られるでしょうから、経済は50%程度の稼働率がしばらく続くと予想されます。
その場合、世界のGDPは確実に30%程度は落ち込むハズで、失業者も大量に生じますし、中小企業のほとんど、或いは大企業までもが経営危機に陥ります。
金融市場は当然パニックになりますが、仮にこれが発生しなくとも、各国政府は企業や個人に補助金や助成金をばら撒く事になるでしょう。そうしなければ餓死者が出ます。
当然、各国とも大量の「国債を発行してお金を作る」訳ですが、日本も50兆円以上の国債が発行されるでしょう。日本の場合は金融機関と日銀が阿吽の呼吸で国債を消化すると思われますが、米国債やその他の国の国債市場は混乱するハズです。ECBはマイナス金利で金融機関に資金を提供して国債を買い支えさせる。アメリカはFRBが直接米国債を買い入れる事になるので、国債価格の暴落(金利の上昇)は短期的な混乱の後は収まると予想されます。
但し、ブラジルやアルゼンチン、トルコyあオーストラリア、或いはロシアの国債市場は混乱するでしょう。これらの国は国債を海外投資家に売り付けていますが、大量に国債が発行されれば国債は当然暴落します。通貨も当然売られます。ブラジルはこうなる事態を予測していますから、大統領がコロナを恐れずに経済を回そうと主張しています。これらの国の景気が落ち込む中で通貨防衛の為に金利を上げる事は、国内経済を即死させるので不可能です。結局、これらの通貨の不安定な国は、中央銀行の国債の直接買い入れに進まざるを得ませんが、これは市場での国債暴落と為替市場での通貨の下落を伴いながら進みます。
■ 国債市場の混乱は金融市場に直結する ■
国債市場は供給過多によって大っな下落圧力が掛かりますが、最大の危機は米国債金利です。恐怖に駆られて世界中で米国債売りが始まると、FRBはこれを全部買い入れる必要が有る。
この時点で金融市場にはパニックが広がるハズです。だってどの位のドルがバラまかれるか分からないからです。為替市場も一気にドル安に進み、1ドル60円台の値を付けるかも知れません。
こんな状況になれば、日本の銀行が無事で居られる訳はありません。米国債やドル建てのリスク資産を大量に保有している日本の金融機関ですが、為替ヘッジをしているとは言え、そのレンジはせいぜり1ドル100円程度でしょう。これを越えてドル安が進むと、かなりヤバイ事になります。
この状況で、いくらノンビリした日本国民でも、流石に銀行にお金を預けておいて大丈夫かと心配になります。特に地方銀行に預けたお金が危ないという風評が広がるでしょう。
仮に、地方銀行で取り付けに近い騒ぎが発生すると、それは全国に瞬く間に伝搬して行く可能性が有り、経営の比較的健全な銀行にまで危機が広がります。
メガバンクとれ例外では無いという認識が広がれば、リソナ銀行やみずほ銀行辺りから預金引き出しが急増すると思われます。
■ 資本注入とペイオフはセット ■
こうなると、三菱だろうが、三井住友だろうが、ゆうちょ銀行だろうが、安全と思える銀行はどこにも無くなります。
この時点は国は銀行の窓口を停止し、銀行に資本注入を始めるハズです。但し、これには条件が一つ着くハズです。それは「ペイオフを行う事」。
ペイオフによって1000万円までの預金は保障されていますが、資本注入の時点で銀行は経営破綻したのだから、銀行の出資者も損失を共有すべきと言うはずです。そして、1000万円以上の預金に相当するしほん注入は行わない。
「預金者も銀行の出資者である」といのはリーマンショック以降、世界で共有されている認識です。これをベイルインと呼びます。本来は銀行の債権者も相応のリスクを負うという意味ですが、ペイオフの導入で預金者もベイルインの概念に含まれる事となります。
■ 1000万円以上の預金は保護されない ■
日本でペイオフが実施された当時は、個人も企業もマンションの管理組合もペイオフ対策を実施した。
ただ、リーマンショックの記憶が薄れるにつれて、危機感は薄らいでいます。個人や企業、マンションなどでも決裁用の当座預金口座以外の普通預金や定期預金に1000万円以上預金している方が増えているハズです。
国債危機や金融危機は発生するかは未知数ですが、その危険性が高まっている今、もう一度皆さん、ご自分の預金通帳をご覧になられて、1000万円以上の額が入っていないか確認された方が良いでしょう。マンションの理事長さんも要チェックです。
ペイオフ対策は確かにメンドクサイですが、「あの時やっておけば良かった」と思った時には後
祭りです。
尤も、大規模なペイオフが発動する時点で、通貨の価値がどの程度維持出来るかは疑問です。恐怖に駆られた人達が銀行に殺到した時点で、現在の銀行を中核とした金融システムは崩壊するのでしょう。
ところで、ペイオフ対策の金融機関選びですが、地方銀行はちょっとコワイ。メガバンクもみ〇〇はソフ〇バ〇〇の巻き添えの可能性も有る。ゆうちょ銀行は今でも半分国有と言えますが、リーマンブラザーズの様な「生贄」にされる可能性も否定出来ません。
お金を沢山お持ちの方は、どう分散するのかという、我々庶民とは次元の違う悩みをお持ちでしょう。え、とっくに対策は終わっているって・・・・これこそが金持ちが金持ちたる所以。