人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

円安で内需は刺激されるのか・・・構造的変化が気になる。

2014-04-11 12:42:00 | 時事/金融危機
 

■ 昨日の記事にいただいたコメント ■

昨日の円安と経常収支の悪化の記事に対して「muff」さんと「MT」さんからコメントを頂きました。

興味深い内要なので、掲載させて頂き、素人考えながら考察してみたいと思います。
尚、muffさんが誤解されている様なので訂正しておきますが、私は禁輸関係では無く、陰謀論好きな、しがない建築関係のデザイナーです。ですから、私の書いた事で投資などされるときっと失敗しますので、皆様もご注意を。

<昨日の記事のコメントから引用>」

投稿者:MT


円安のメリット・デメリットを貿易収支に結びつける根
拠はありません。大切なのは、円安になった時に国内総
所得GDIが増える方向に働くか、抑える方向に働くかです


GDIは「GDP+交易利得」として表されますので、円安がGD
Iに働く経路は2つあります。

一つは、円建ての生産要素の価格(たとえば工場や人件
費)を割安にすることで生産を増やす、言い換えれば設
備投資や労働者に対する需要を増やし、GDPを増やすとい
うものです。この需要の内訳は輸出に限られません。家
計の消費などの形で表れることもあります。

もう一つが、ドル建て契約の比率が高い輸入品が輸出品
より値上がりすることを通じて交易利得を悪化させると
いうものです。

さて、では現状および今後当面の間、この2つの効果の
うちどちらが強く働くかというと、圧倒的に前者です。
というのも、為替と交易利得の推移を比べてみればわか
りますが(交易利得のデータはhttp://www.esri.cao.go.
jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2013/qe134_2
/__icsFiles/afieldfile/2014/03/06/gaku-jk1342.csvの
ようにGDPと同時に発表されています)、関係性はかなり
軽微です。これは、交易利得は輸出と輸入のドル建て契
約の比率の差の部分しか働かないためです。一方、為替
とGDPの関係性は強く、これは円安によって国際的に見て
賃金が割安になった労働に対する需要の高まりの効果が
高いからです。もはや失業率が下がりようが無くなる3%
台低めになるまではこれが続きます。

というわけで円安になって経常赤字がどうなっているか
は、我々の生活水準に関係する国内総所得GDIとはあまり
関係がなく、そして円安によってまだしばらくは労働者
への需要が増え、失業率が改善してGDPが増えるためにGD
Iも増えるため、円安は悪性インフレを引き起こしている
とも、これから引き起こしそうだとも言えません。





投稿者:muff

人力 様、

お久し振りです。

悪性インフレや円安に対する御考察、「輸出立国から輸
入国へ・・」についてマクロ経済指標からそれを追った
影響度合いは確かにその通りでしょう。
しかしながら、日本の現状で何が起きてしまったか? 
その為の影響度合いを把握する為にはミクロ経済から見
た経済構造の把握が必要かと考えます。

人力様は、金融業界の方でしょうから、日本の製造業の
厚み(昔の)を良く御存じ無い為に、単純過ぎるモデル
で話されている様に見受けます。

先ず、戦後から昭和の後半まで有った、「日本経済の二
重構造」の特質と得失を考えてみる必要が有ります。

この大企業から下請けの中小企業、更にその下に有る家
内工業から内職仕事までの大ピラミッドの功罪をどの様
に見るかです。
昔は、例えば大企業で1千億円の製品輸出に対して、そ
の半製品加工分や部材仕入分は国内の下請けから内職ま
で多段階で回る事になり、その付加価値の多くが国内に
落ちたものです。

で、それが消費市場に回って、インフレの元となったと


しかしながら、人為的な円高政策と貿易政策に因り、そ
の様な下請け企業との取引は無くなり、かなりの部分が
海外に移転してしまいました。

→ 基本的には、ドル=円のレート変動の影響を受け難
くする生産構造の変更

従いまして、今は円安だろうが円高だろうが製品輸出高
とそれの仕入輸入額の差の分しか国内に付加価値として
落ちず、しかも、落ちた分のかなりの部分は大企業の内
部留保として国内に回らずと。

しかも、国内消費分の製品輸入分は海外への付加価値流
出した分ですから、その分の経済効果マイナス分と。

この、B to B の取引量の減少は小売業全体の売上増
では補いきれないものでしょう。

ですから、製造業の売上減少分や輸出減少分をサービス
業の振興で補うというのは無理な発想なのです。

まぁ、この逆が中国経済発展の呼び水と言えるでしょう
。もちろん、それに続く海外からの投資と無価値だった
国有地を高い不動産価値に変換したバブル経済政策、G
DP世界第2位の中国経済に膨張した主因ですが。

<引用終わり>


■ 円安で国債競争力が回復したか? ■

お二人の言われている事はもっともです。

1) 円安で円建ての賃金はドル換算で20%も低下した
2) 円建で投資される設備投資や人件費も割安になる
3) 輸出企業の業績が改善すれば、国内投資も活性化し雇用も増える

日銀の黒田総裁も同様の見方をしている様で、「従来の輸出主導でなく、強力な内需・非製造業主導で景気が回復していると指摘した。失業率もすでに3.7%まで低下しており、3.5%と試算される自然失業率に近い「ほぼ完全雇用状態」と指摘、「日本は今後米国並みのサービス主導経済になる」との見通しを示した。」との見解を示しています。

円安の効果は交易条件の改善を促し、外需の回復と、輸入品から国内生産の切り替えを生んで内需を拡大しする

■ 輸出量の減少は海外市場の縮小が原因? ■

アベノミクス以降、円は20%減価していますが、輸出量は減少しています。その原因はいくつか考えられます。

1) 輸出企業が利益を確保する為にドル建ての販売価格を下げていない
2) 海外の市場が景気後退で縮小している
3) 日本企業は生産拠点を既に海外に移しており、若干の円安で国内回帰は起こらない

多分、輸出量の原因はこの全てでは無いでしょうか。

特に、国内と海外の製造コストを比較した場合、日本の自動車工場が進出しているタイなどの人件費や投資コストは日本に比べて圧倒的に安く、20%の円安程度ではこの差を埋める事は出来ません。

さらに新興国の設備は比較的新しく、半導体などの分屋では旧型の設備を稼働させている日本の工場は既に最新の半導体を製造出来ない状態に陥っています。これに対して新興国には海外から潤沢な資金と技術が流れ込み、最新の設備を稼働させています。

円安でも輸出の伸びが鈍化している背景を、「海外の不景気」と切り捨ててしますと、日本の製造業の衰退の本当に原因を見落としてしまう可能性があるかも知れません。

■ 既に国内で製造業者が居ない分屋では輸入に頼らざるを得ない ■

円安になれば輸入品から輸出品の切り替えが起きるとの予測を少し外れている様に思えます。

繊維や衣料品などは既に空洞化が進んだ業界なので、円安で多少海外製品が値上がりしても国内製品に切り替える事は出来ません。

「安い海外製品と高級な国内製品」というジャンルが確立しているので、ユニクロやシマムラを国内生産に切り替える事はコスト的に不可能です。そして、ファーストファッションに限らず、百貨店で販売されている高級衣料品の多くも中国製や場合によってはベトナム製となっています。

白物家電においても、国産メーカーは中国で多くの製品を製造しています。国内よりも圧倒的に安く製造できるので、円安で輸入価格が上昇しても利潤率は国内製品を上回るはずです。家電店に行くと高級炊飯器などは「国内工場製」とワザワザ書かれていますが、あれは国内生産が高性能なのでは無く、中国人観光客が「日本製品」を欲しがるからに過ぎません。

この様に、空洞化が既に進行してしまった分屋で、海外から製造拠点を国内に移す事はなかなか難しい事の様に思われます。

■ 為替変動のリスクを考えたら容易に国内回帰は出来ない ■

国内メーカーが多少の円安で工場を国内に移転出来ない理由の一つに「為替変動」があります。

リーマンショック前後でも120円代から一気に80円代まで円高が進み、今度はアベノミクスで一気に100円代まで円安が進行しました。

1) リーマンショック後、円キャリートレードの逆転で一気に円高が進行
2) FRBが量的緩和に踏み切って円高が継続
3) FRBのテーパリング予測と、日銀の異次元緩和で円安が進行
4) 円キャリートレードの復活で円安が定着

だいたいこんなプロセスを辿っています。この間、中国の元はドルにゆるやかにペックしていますので為替は安定的です。

日本の製造業は既にグロバル企業ですから、為替がドルに対して安定している事は魅力です。日本の様に20%以上も短期的に変動する場合は、為替リスクをヘッジする必要が生じます。

現在は円安ですが、いつまた金融危機が再発してドル不安から円高に振り戻るかも分からない状況で、日本の製造業は容易に国内回帰の決断は下せません。

尤も、技術力の低い分屋では、既に国内生産すり理由も見当たりません。

■ 意外な物の輸出が増えている ■

工業製品の輸出が増えない一方で、意外なものの輸出が増えています。

食料品とガソリンです。

中国などの経済成長で品質の良い日本の農産物が人気なのはニュースなどでもご存じかと思います。

一方、ガソリンが輸出品?と聞くと意外な感じを受けます。

平成22年度の石油製品の輸出入

ガソリン ナフサ 軽油 灯油
輸入 1098、 27215、 444、 1053
輸出 2198、 0、 11046、 198
生産 58388、 20116、 42994、 19620


日本には沢山の精油施設があり、原油を輸入して化学原料のナフサやガソリンや軽油などを製造しています。それぞれの製品の需要がバラつきますが、原料からは決まった比率の石油製品が生成されるので、時期によっては輸出したり輸入したりしています。

注目すべきは軽油の輸出量ですが、日本では近年不景気で輸送量が減った関係で軽油が余っています。ヨーロッパはディーゼル乗用車が人気があるので軽油の需要が多いのですが、日本はガソリン車がほとんどなので以前より軽油は輸出されてきました。この軽油の輸出用が近年国内の需要低下で増えています。同様にガソリンも少子高齢化やハイブリット化、省エネ化の影響を受けて余り初めています。



http://info.yadoku.com/archives/7605より

日本においてガソリン消費量は2005年より減少を始めています。
自動車保有数も減少しているので、単純のハイブリットや軽自動車の影響だけでは無いと言えます。

一方で国産の軽油やガソリンは優れた精油技術によって硫黄分が少ないので、海外では人気があります。ただ、輸出価格は安いので、儲かるから輸出するというよりは、余ったから仕方無く輸出しているというのが現状では無いでしょうか。

■ 製造業から生産性の低いサービス業にシフトする先進国の労働者 ■

黒田総裁も言っている様に、日本では現在、製造業からサービス業への雇用の移動が顕著になっています。製造業で余った人達が、コンビニやスーパーやマクドナルドの店員になったりしています。これはアメリカでは相当前から見られる現象です。

サービス業の特徴は生産性が低く賃金が低い事にあります。日本でもユニクロやワtガミなどの雇用条件がブラック企業として注目されていますが、一般的にサービス業は同じ様な業態では差別化が難しく、他店よりも安い事で顧客を囲い込もうとします。結果的に人件費が抑制される傾向が強くなります。

製造業に比べて利潤率も低いので、当然賃金は低く抑えられます。

現在の日本は円安で雇用が国内回帰しているのでは無く、安いサービス業に雇用移動が発生して結果的に失業率が改善しています。これでは国民の所得は逆に減少します。

肉体労働の分屋でも、建設業など日当が2万5千円を越える様な職種が減少して、介護職員の様なサービス産業にシフトが発生しています。

■ 2012年度上期の景気改善は公共事業の効果で一時的 ■

実際に仕事をしていて私自身景気回復を実感しています。

建設業では、福島の復興需要で既に人出不足の所を、昨年前半に公共事業を増発したので人件費が跳ね上がりました。日本は長年「脱公共事業」で財政再建を目指していたので建築関係の労働者はピーク時の7割程度になっていたと思います。そこに自民党が大量の公共事業を発注したので、労働者が足りなくなったのです。

建築業界、特に土木業界はひさびさの公共に浮かれましたが、一方で人件費の上昇は民間工事の採算性を圧迫し、各ゼネコンの担当者は現場で赤字を出さない様に必死に努力しています。

小売業界も株高の影響で上半期は好調でした。ここで久しぶりに利益が出たので各社、しばらく手を入れていなかった店舗の改修を年度末にかけて相当やっています。折しも消費税増税と重なったので、こちらも業者を確保する事が困難な様相を呈していました。

ただ、小売店は「税金を納めるくらいなら店を改修して顧客を呼び込もう」とする業界なので、決算が終われば需要は一気に無くなります。

こうしてアベノミクスの効果は、補正予算による公共事業の増加と、株の値上がりによる波及効果で確実に実感されましたが、統計的には昨年前半で息切れしてしまった様です。

■ 輸入コストの増大と賃金の変化の関係が大事 ■

国内だけ見れば、公共事業の拡大や、金融緩和で強引なインフレが発生すれば物価も上昇しますし、遅れて賃金も上昇し始めます。要は、名目の成長は確実に発生します。

一方、円安の影響による物価上昇は確実に発生していて、そのスピードが賃金上昇を上回れば実質賃金は定価します。

さらには、円安の状況化でも製造業からサービス業という雇用の質が悪化が発生しているので、輸入コストの上昇によるインフレは益々庶民の生活を圧迫します。

■ 為替の均衡点は現状は100円~110円では無いか・・ ■

イザナギ景気越えと言われた先の実感無き好景気の時の為替レートが120円/ドル前後でしたが、その時よりも日本経済の輸入依存度が増しているので、現在の均衡点は100円から110円の間、要は現在の水準なのでは無いでしょうか。

もしこれが正しければ、日銀は為替水準の点においてはこの均衡点が円高に振れない限りは追加緩和には踏み出さないと思われます。黒田総裁が6月までの緩和を見送った事で市場は失望を隠せませんが、日銀は真っ当な判断を下したと言えます。

■ 資源や食糧を輸入に頼る日本において経常赤字の意味するもの ■

「経常赤字が善か悪か」と聞かれたら、この数字自体にはあまり意味が無いのかも知れません。特に、国債の海外保有率の低い日本においては、国債が売り込まれて財政破綻の危機から円が暴落するシナリオは現状では考えられません。

アメリカやイギリスやカナダやオーストらリアは万年経常赤字では無いかと指摘する方も大勢いらっしゃいます。

1) アメリカはドル輸出の裏返しとして万年経常赤字
2) イギリスはアメリカに寄生しているので万年経常赤字
3) カナダやオーストラリアは資源国で食料自給率も高い

日本の経常赤字を考える時、アメリカやイギリスは参考になりません。

カナダやオーストラリアの資源は元々タダですし、農業生産も太陽と大地の恵みでタダです。(厳密には採掘コストや農業生産コストが発生しますが)

これらの国は国土が存在する限り、半永久的に価値を生み出す事が出来ます。ですから経常赤字で外貨が流出し続けても、それがある程度の範囲であれば補充が可能です。

一方、日本は資源と食料の多くを輸入に頼っています。そして輸出品目の多くは工業製品です。工業製品の原料を調達する為には資源やエネルギーを輸入しなければなりません。

明治時代の生糸輸出に始まり、戦後の工業製品という様に、輸出品の付加価値が高くなる程、日本人の生活は豊になって来ました。要は、資源の少ない日本は海外から食料や資源を買って豊な生活を送っていますが、その源は経常黒字が生みだす外貨(ドル)です。

日本が多少経常赤字になったとて、これまでに蓄えたストックがあるからしばらくは大丈夫だというのが常識的な意見でしょう。

1) 世界的な金融危機が発生して日本人の海外の資産価値が毀損する
2) 米国債が暴落して外貨準備が消し飛ぶ
3) 円の下落によって日本人の国内の富が縮小する

私は非常識なので、どうしても上記の様な状況が気になってしまいます。日本の経常赤字が問題になる時があるとすれば、それは危機が発生した時では無いかと思う心配性の人力でした。

尤も、その結果、円が大暴落したらそれこそ交易条件が大幅に改善して製造立国日本の復活となる訳ですが、私達の生活も昭和30年代からやり直しとなるのでしょう。



本日はMTさんとmuffさんに頂いたもっともなご意見に対して、私の頭に何か引っかかっている事を文章にしてみました・・・。素人なので詳しい事は分からないのですが・・・。

結論すると、「円安による交易条件の改善効果を上回る、構造変化による悪影響が日本では起きてしまったのではないのか?」という事になるのかと。

いつもの妄想だと思って下さい。

今年は種から育ててみました。

2014-04-10 11:20:00 | エコロジー
 

毎年お馴染みの春爛漫シリーズ。

今年はベランダで種から育ててみました。
ストック、キンギョソウ、カスミソウ、ワスレナグサ、ルピナス、クリサンセマムと蒔いてみました。

大きな鉢に「混植・直播」と苗用ポットに播いて生育を比べてみました。



大鉢の「混植・直播」はご覧の通り、キンギョソウとストックが光を求めて熾烈な争いを繰り広げていましたが、切花用のストックが3月に入ってからラストスパート。3月中旬から咲き始め、かれこれ一ヶ月楽しめています。

ストックが終わる頃にキンギョソウが咲き始め、さらに何処からとも無くルピナスがニョキニョキというのが私の計画ですが、どうなる事やら・・・。





ストックに関しては市販の切花と同等ですね。もう買う必要はありません。
鉢植えだと花も長持ちします。



実はワスレナグサが健気にも下の方で葉を広げており、ひっそりと青い花を付けています。




球根は初めてスイセンを植えてみたのですが、これ正解でした。4月に入っても花芽が見えず、あれ、スイセンって翌年から咲くのかな?と思っていたら、ここの所の暖かさで一気に花芽が伸びて開花。






チューリップも今年は蕾がなかなか出てこなくて、「あれ、水切れで分球しちゃたかな?」なんんて思っていたら、サクラの開花と同時に一気に蕾が出てきて、あれよあれよと言う間に満開です。


と言う訳で、今年は売るほど花に囲まれた春を迎えています。

悪性インフレが始まっている・・・異次元緩和のもたらしたもの

2014-04-08 05:39:00 | 時事/金融危機
 

■ 日本の経常収支 ■



財務省
https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg2013cy.htm


日本の国際収支が単月で経常赤字を計上したというニュースをご存じの方も多いでしょう。
上のグラフが財務省が発表した2013年度までの日本の国際収支の推移です。2013年は年度としては黒字を計上していますが、単月では赤字化している月もあ¥ります。

経常収支は次の内要で構成されています。

1) 経常収支 = 貿易収支 + サービス収支 + 所得収支 + 経常移転収支
2) 貿易収支=輸出入の収支
3) 所得収支=直接投資+株式投資+中長期債投資
4) サービス収支=輸送収支+旅行収支+その他サービス収支
5) 所得移転収支=資金援助+資金協力

6) サブプライムショック前の2007年は24兆9千億円の黒字
7) リーマンショック後の2010年でも17兆8千億円の黒字
8) 2013年は3兆3億円に黒字幅が減少

■ 貿易赤字の原因は天然ガスだけでは無い ■



原発を停止させた事で天然ガスの輸入量が増大して貿易収支が赤字化したと書かている記事が多いのですが、これは少し説明不足です。

1) 2010年の天然ガスの輸入量は70,008(千トン)
2) 2013年の天然ガスの輸入量は87,491(千トン)・・2010年比25%増

3)  2010年の天然ガスの輸入額は3,471,847(百万円)
4) 2013年の天然ガスの輸入額は7,056,795(百万円)・・2010年比203%増

5) 輸入量が2010年比で2%減少している原油は、輸入額では51%の増加
6) 2010年の為替レートが88.06(円/ドル)、2013年が96.91(円/ドル)で10%の円安

上のグラフからも分かる様に、原発停止で天然ガスの輸入量は25%増えましがが、輸入額は203%も増大しています。その間、円は10%切り下がっています。

これらの事から、天然ガスの輸入額の上昇は天然ガスの輸入量の増加に加え、高いガス価格と円安のトリプルパンチである事が分かります。




上のグラフからも分かる様に2010年頃からリーマンショックの影響が薄れ資源価格が上昇傾向になりました。これは需要の増加よりも緩和マネーの流入が原因と思われます。

アメリカはシェールガスの影響で価格上昇はゆるやかですが、ヨーロッパや日本では顕著に上昇しています。そして、原発停止で天然ガスの輸入量が増大した日本は高いスポット市場などでもガスを調達する為に、調達コストが大幅に増大しています。

この結果、原発事故前の2010年に比べ、天然ガスの輸入額は2013年には3兆6千億円近くも上昇してしまいました。

しかしこの間の経常収支の減少額は18兆6千億円余りですから、15兆円近くは天然ガス以外の要因で貿易赤字が拡大した事になります。

■ 製品輸出が減り、輸入が増えている ■


http://blogos.com/article/81369/?p=6 より

上のグラフは輸出額と輸出量の推移です。アベノミクスによる円安によって輸出量が増えると思われていましたが、輸出量は減っています。一方、円建の輸出額はドル高によって水膨れしています。

輸出量が減った理由には、海外の景気回復な緩やかな事と、新興国の台頭が挙げられるでしょう。日本よりも競争力のある新興国の製品が日本のシェアを喰っているのです。

さらには、中国などには円建輸出も多いので、日本からの備品や素材の調達をその他の国の製品に変える動きもあるでしょう。


http://blogos.com/article/81369/?p=7 より

上の4つのグラフは「寄与度」を見る為に「前年比」になっているので、単純に各項目のい額や量に比較では無い事に注意が必要です。

輸出量推移


輸入量推移

http://blogos.com/article/81369/?p=10 より

前年比よりもむしろ単純の量の推移のグラフの方が現在の日本の置かれた状況を如実に示しています。

1) アベノミクス後に円安に転じても「電気機器」の輸出は減少し輸入が増加
2) 同様に車などの「輸送用機器」も輸出が減少して輸入が増加
3) 鉱物性原料の輸入はやや低下

この様に、現在の日本は代表的な輸出品目であった「自動車」と「家電品」の輸出が減少している事で、貿易黒字が減少し、貿易赤字が拡大しています。

■ 輸出立国から輸入国へ・・■

「日本の景気低迷は円高で輸出が振るわないからだ」「リフレ政策で円安にしろ」という主張は半分は正しく、半分は間違っています。

確かに輸出にとって「円安」は有利です。その結果輸出企業の利益は拡大しました。
一方で輸入にとって「円安」は不利です。その結果、輸入額が増大し貿易収支は赤字化しました。

確かに円安は輸出企業の海外移転を遅らせる効果はありますが、新興国の生産力や技術が向上する以上、日本の製造業は利益拡大の為に海外移転を加速します。結局、長期的に見れば、日本が輸出立国から輸入国に変化する傾向にあります。

■ 今は円安のメリットとデメリットがバランスしているが・・・ ■

現在は円安のメリットとデメリットはある程度バランスしています。ただ、今後、輸出が減り輸入が増えて来ると「円安のデメリット」が拡大してきます。

昨今の日本のインフレの主原因は景気回復では無く、円安による輸入コストの増大である事が明確になって来ています。

■ 経常赤字が定着して円安が進行するとさらに悪性のインフレが加速する ■

4月1日から消費税が値上がりましたが、これを切っ掛けとして様々な物の値段が消費税の増加分以上に根上がった事に皆さんはお気づきでしょうか。

缶ジュースなどが良い例ですが、ファーストフードなどでも安いセットメニューが消えたりしています。今まで、円安による仕入れコストの増加を企業努力によって価格転嫁して来なかった企業が、これ幸いと価格を引き上げているのでしょう。これ自体は企業として当然の行為で、利益を犠牲にし続ける企業はいつかは倒産します。

4月からの値上げラッシュを見ていると、日銀の掲げる2%のインフレ達成も夢では無いと思わるます。

しかし、私達庶民の所得は増えていませんし、消費税増税は必ず景気を後退させます。

日銀や政府は「インフレ=経済成長」的なキャンペーンを繰り広げていますが、現在の日本のインフレは「景気回復無き価格上昇」であり、単なる円安による輸入価格の上昇によって発生した「スタグフレーション」に過ぎません。

■ 日銀の追加緩和で株式市場は救われるが、庶民の生活は苦しくなる ■

消費税の増税による影響を緩和する為に日銀に追加緩和を求める大合唱が始まろうとしています。

しかし。異次元緩和のもたらしたものは、資産市場のプチバブルと、円安による悪性のインフレでした。

こんな事は分かり切っていたので、素人に私ですらアベノミクスのスタート前からさんざん指摘して来た事です。ただ、「景気は気から」なので、私とて多少の期待をしていなかったと言えばウソになります。しかし、現実はやはりシビアです。

はたして、この様な状況の中で日銀がさらなる追加緩和を打ち出すのか・・・現在の私の興味はこの一点に尽きます。

ここでさらに日銀が追加緩和を打ち出すならば、それはFRBのテーパリングの援護射撃の為に日本の庶民の生活を犠牲にする事に他ならないからです。

確かにテーパリングに失敗すれば世界経済は未曾有の危機に突入します。だからこそECBも重い腰を上げて量的緩和の実施を匂わせはじめました。


・・・・この世界はとっくに狂っているのです。

一方で皆で狂えばそれが正常となる訳で。
論理的な破綻が現実化しない原因は、意外にもこんな所にあるのかも知れません。




強風の館山強行軍・・・自転車は風に勝てるのか!?

2014-04-07 04:13:00 | 自転車/マラソン
 

■ 風はますます強くなり・・・■



昨日からの続きです。

道の駅「潮風大国」は海岸に面しています。その海岸の状況はというと、岩に当たって砕け散る波頭が強風で真横に吹き飛ばされて行く有様・・・。

多くの自転車乗り達が続々と「潮風大国」に非難して来ます。自転車ラックが有るのですが、風で自転車が吹き飛ばされるので皆さん芝生の上に自転車を倒して駐輪します。目が合うだけで皆さん苦笑いです・・・。

■ 「花摘み」畑に癒される ■





「潮風大国」の道の向かい側は観光の「花摘み」畑が広がります。観光客の自動車が結構駐車しています。ポピーとストックが満開でした。



「潮風大国」の中には巨大なイケスがありました。職員の方がタモ網を持ってヒラメを捕まえようと奮闘している最中でした。





新鮮な魚介類を売るお店が並んでいます。プチ魚市場と言った感じでしょうか。

■ 再び向かい風に挑む・・・ ■

「潮風大国」で1時間程休息して折れた心を再び奮い立たせ、野島崎を目指します。

目指しますが・・・進まない。風速15m/s以上って、まさに壁です。私、平地でフロントをインナーに入れたのも初めてですが、知らない間にリアもローの25tに入っていました。これ10%の斜度の坂道と一緒。さらには、ダンシングしなければ進まない状態に。

たまにペダルがフっと軽くなるなと思うと上り坂だったりします。上り坂が向かい風を遮るのです。ところが、下り坂は風が吹き上げてくるので、力を入れてペダリングしないとなかなか進まない・・・。もう、「マジかよ」なんて独り言が出てしまいます。



珍しい神社を見つけたので写真を一枚。
しかし、周囲を防波堤に囲まれた神社って珍しいですね。
波の荒い日は、ここまで波が押し寄せるのか、或いは元禄津波の様な津波に備えての事か・・・?

■ 野島崎は立ち寄らずにスルー ■



ようやく野島崎の灯台が見えて来ました。風に吹き散らされる潮で霞んで見えます。



野島崎灯台に就いたのが15:30。
17:00までに館山駅に着きたいので、ここは寄らずにパスします。風が強すぎて観光客もまばら・・・。



野島崎を過ぎても風は一向に止まず、岩場に砕ける波は、「東映か!!」って突っ込みたくなる感じ。尤も、波の高さは台風などに比べればカワイイものなのでしょう。

ところで東映映画のオープニング映像のロケ地は何処?



ちょっと気になって調べたら、千葉県銚子市の犬吠埼でした。この映像、「荒磯に波」という立派な名前が付いているそうです。ちなみにロケ地を聖地巡礼しているブログを見つけまました。勝手ながらリンクを張らせて頂きます。

http://blog.livedoor.jp/a26z3594/archives/51736253.html

■ 進まない・・・ ■

野島崎を過ぎた辺りが本日の強風のハイライトでした。二人組の自転車乗りが強風に挑んでいましので後ろに着きたかったのですが、ここは心を鬼にして前に出ます。しばらくして振り返ると後続は無し。前を引いたつもりでしたが、こんな強風では風除けにはならないみたです。

館山市内へ向かう県道86号を右折したい欲望に耐えて海辺のフラワーラインを進みます。左手が砂丘になる辺りでは、強烈な横風。

向かい風より良いかと思いきや、何と砂粒が猛烈な勢いで吹き付けて来て痛い事この上なし。目にも砂が入るし、気を抜くと道路に堆積した砂に車輪を取られそうになります。

ここからは写真はありません。カメラが砂だらけになってしまうからです。

国道410号線で内陸に入りたくなる気持ちも必死に堪えて、洲崎の灯台を目指すべく、海岸をひた走ります。ここからは右手が山になるので、風も幾分和らぎますが、上り坂が始まります。

再び砂丘地帯で砂嵐攻撃を受けた後、洲崎に向かう登り坂に取りついてやっと一息。

■ 洲崎神社、パナイっす ■

洲崎灯台を過ぎれば追い風になる事だけを考えてひたすらペダリングしますが、右手に洲崎神社がちらりと見えて、思い切りUターン。

何か非常に「そそられる」ものがあります。



立派な鳥居の奥に見えるのは、なんと長ーーーーい、石段。



何故だか近所の子供達が石段を何往復もしています。中学生と小学生です。「兄弟?」って聞いたら「従妹です」と元気に応えます。房総の子供達、ハンパ無いっす!!



私はビンディングシューズなので慎重に上りますが、MTB用のシューズなのでどうにか登る事が出来ます。最近、靴裏のクリート(金具)が良い具合に擦り減って来たので、だいぶ歩きやすくなりました。

石段を登り切って振り返ると、そこには東京湾の入り口の景色が眼下に広がっていました。これは絶景です!!





江戸時代に建てられた御社が木立の中に建っています。なかなか立派な造りです。あまりの景色に良さに、奮発してお賽銭は500円にしました。これは、道中の安全に感謝して。



本殿の裏山の桜も見頃です。
神社の境内の山全体が千葉県の天然記念物に指定されています。上部はヒメユズリハ、下部はスダジイなどの高木が上層を、ヤブニッケイやヤブツバキが中間層を、トベラやイヌビワなどが低層を成す、人の手の入らない常緑照葉樹の貴重な天然林です。

■ 映画「帰郷」のロケ地かと思ったけれど・・ ■

一瞬、西島秀俊の主演映画『帰郷』のロケ地かなと思いました、後で調べたら「瀧斑神社」という富浦の神社がロケ地でした。確かにこんなに長い石段は無かったし、社務所も普通の民家だった・・・。

ところで、『帰郷』は私の一番好きな日本映画です。高校を卒業して田舎を離れた主人公(西島秀俊)が母親の再婚で帰郷した数日の出来事を描く作品です。再会した昔の彼女には一人娘が居ます。彼女は、何となくそれが彼の子だと匂わせます。当惑する彼が彼女の家を訪れると、娘が一人残されています。

いきなり娘かもしれない女の子を押し付けられて、母親は失踪・・・。西島は娘の記憶を頼りに母親が行きそうな場所を探し回ります。無邪気な娘と、必死な西島の対比が見事です。そして、娘が熱を出して西島が父性本能に目覚めた時、駆け付けた母親が語る真実は・・・。

映画は俳優が演じ、監督やスタッフが作り上げる虚構の世界です。しかし、極まれに、虚構と現実の区別が難しい映画が出現します。俳優が演じているという感じが全くしない作品があるのです。「帰郷」はまさにその様な奇跡的な映画の一本だと私は確信しています。



この映画のロケ地は千倉、館山、富浦と南房総一体に散らばっています。私が自転車で館山を目指すのも「帰郷」の中の風景を見たいからに他なりません。

■ 洲崎灯台を過ぎたら、追い風でGO! ■



洲崎神社からすぐ近くに東京湾の入り口を見張る洲崎灯台があります。ここからは道は下り坂、風は追い風!!

館山市内までは追い風に乗って35Km/hペースで快走。





あっと言う間に、海上自衛隊、館山航空隊前に到着。「館山航空隊3人娘」の居る基地ですね。(イタ車ならぬ、アニメ絵が描かれたイタヘリですが)

館山駅に着いたのが17:05分。

浦安からの距離は172Km
メーター読みの平均速度は、麻綿原からの5Kmの徒歩区間と向かい風強風区間の影響で23Km/h。まあ、これはあまり気にしません。

輪行バックに自転車を仕舞うのに手こずっていたら、17:15分の電車が発車してしまいました。次は18:08分まで待つことに・・・。これなら、岩井か勝山まで自転車で走っても同じ電車だったかも・・・。

仕方ないのでお土産屋に入ります。一度食べてみたいと思っていた「クジラのタレ」(干物)を買います。

後は電車で2時間30分掛けて新浦安に戻ります。
本日も良い一日でした・・・強風地獄ではありましたが・・・・。

帰ったら、塩だらけの自転車の掃除が待っています。

強風に戦意喪失・・・春の房総ライド

2014-04-06 05:10:00 | 自転車/マラソン
 

■ そうだ、館山に行こう!! ■

今週は忙しかったので、週末は気分転換に自転車でロングライド。
都内の桜は散り始めていますが、多分、房総の桜は今が見ごろ。養老渓谷周辺の里山の景色は最高でしょう。そこで、本日は房総半島を真っ直ぐ南下して、館山を目指す事に。これ、このブログの第1回目のコースです。

■ 東京湾で蜃気楼 ■

昨晩飲み過ぎたのか、本日は身体が重い・・・。自転車に乗れていない感じです。
気合いを入れる為に、幕張メッセの直線でスプリント。40Km/hオーバーで足に刺激を与えます。幕張大橋を一気に登って・・・足が終わりました・・・。

呼吸を整える為に検見川浜で一休み。実はこれがラッキーでした。



この写真、何だか分かりますか?
「蜃気楼」です。

「エーーーー?ウソーー!!」と思われるでしょうが、東京湾でも蜃気楼を見る事が出来ます。海水温の高い東京湾に冷たい空気が急激に流れ込むと海の表面近くの暖かい空気と、その上の冷たい空気の屈折率の違いががレンズ効果を生み出します。本来、房総の山並みが見えるのですが、山の頭だけが海面から浮いて見えます。

これ、「下位蜃気楼」と言って富山湾の蜃気楼とは逆の原理で発生します。富山湾の蜃気楼は立山連峰の冷たい雪解け水が富山湾に流れ込んで、海面近くの冷たい空気と、その上の暖かい春の空気によって発生する「上位蜃気楼」です。



東京湾の蜃気楼は、冬場の本当に寒い日に出現する事があるのですが、本日は4月というのに寒気が入り込んで3月並みの気温。海水温は高くなってきているので、季節外れの蜃気楼が現れたのでしょう。

いつもは検見川浜に立ち寄る事など無いのですが、二日酔いで思わぬ拾い物をしました。

■ 南房総の里山は「桃源郷」の趣 ■



八幡宿で国道を離れた時のメーター読みの平均速度は26Km/h台。そこから調子が上がって来たのでガンガン漕いで、養老渓谷ではメーター読みで27.6Km/hにリカバー。

途中、小湊鉄道が菜の花の中を通過するポイントには、朝早くから多くのカメラマンが三脚を構えていました。今が小湊鉄道の写真を撮るならベストシーズンです。

養老渓谷駅前のソメイヨシノの古木は、まさに桜の花で埋め尽くされていました。



本日は里山の春の景色を満喫する為に、麻綿原高原経由で鴨川を目指します。この時期の房総の里山は、水仙、菜の花、桜、モモ、モクレンなどが一気に咲き乱れ、さながら桃源郷の趣です。

粟又の滝へ行く道の途中、神社の桜の古木も必死に花を咲かせていました。ソメイヨシノの寿命は60年程度と言われています(環境によります)。成長速度が桜の中で最も早く、そして最も巨大に成長するソメイヨシノですが、病気に侵され易いという特性も持っています。現在、日本の各地で戦後に植えられた桜並木が枯れる現象が発生しています。

■ 天津小湊までの10Kmの山道は自転車を降りて春を満喫 ■


麻綿原高原への登りはダンシングで凌いで、フロントトリプルの3枚目は温存。メーター読みの平均速度は26Km/h。ここまで浦安から88Km。

ここからは天津小湊へ、「内浦県民の森」経由で10Kmの山下りです。いつもなら一気に下りますが、本日は自転車を降りて歩きます。・・・だって、1年で一番山歩きが気持ちの良い季節ですから、自転車で一瞬で通り過ぎてしまうのは勿体ないじゃないですか。

尤も、最近この道は倒木や落石で相当荒れています。





おまけにこんなトラップも2か所程あるので、自転車で下るには不向きな道です。



以前はもう少し整備されていたのですが、最近は予算不足なのか荒れたままです。県道や林道だけで無く、地方の国道の整備が行き届かなくなっている様に感じます。房総の国道も部分的な勘没や穴、路肩の荒れなどが目立ち始めていて、自転車乗り達は皆さん「最近、道が悪くなった」と言われています。老齢化が進行する日本は、こういう所から綻び始めています。

■ 山桜、スミレ、マムシグサ ・・・そしてサルに遭遇 ■





満開のソメイヨシノも素敵ですが、私は山桜も好きです。まだ新緑前の茶色の山肌に点在する山桜を遠目に見ると、山が春を感じているかの様に思えます。



上の写真はオオシマサクラ。ソメイヨシノの親と言われています。(もう片割れはエドヒガンザクラ)

道端にもそこかしこに花が咲いています。



これはアオイスミレ。この時期、極端に葉が小さいのが特徴です。




ウツギだと思うのですが。「卯の花」とはこの花の事で、「卯月」(4月)に咲く事が名前の由来とも。アジサイ科です。



これはキブシ・・・だと思う・・・。



これはクサイチゴ。



このちょっとグロテスクなのはマムシグサ。



モミジの新緑が目にしみます。

■ 内浦山県民の森の桜 ■





麻綿原から5Km下ると「内浦山県民の森」に到着します。都会の桜の名所は人混みで息苦しいくらいですが、こちらは広々とした芝生広場でのんびりと楽しんでいます。

■ 田植え前の田圃はカエルの大合唱 ■



田植え前の水を張った田圃ではカエルの大合唱。クルル、クルルというシュレーゲルアオガエルの合唱に、ゲワァ、ゲワァというニホンアオガエルの鳴き声が混じります。体は小さいのに結構鳴き声は大きいんです。

丁度、農作業に来ていたお爺さんとしばらく話をしましたが、最近はサルが悪戯して困るとの事。電気柵を飛び越えて田圃を荒したりするそうです。そういえば、先ほど5匹程の群れが道を横切って行きました。

サルの他にシカ、イノシイなども出没しますが、電気柵が効果を上げているとか。電気柵、さぞ電気代が掛かるかと思ったら、小さな太陽電池で作動するそうです。電流値は低いのであまり電力を消費しない様です。

最近では行川アイランドから逃走したキョン(海外の小型のシカ)が大繁殖して困ると言っていました。在来のシカは駆除されて昔より減っている様ですが・・。



■ 外房を左手に眺めながら一路館山を目指す ■



山を下りると眼前には天津小湊の海が広がります。朝は空を覆っていた雲も消え、快晴です。



鴨川で牛丼大盛で腹ごしらえして、前原海岸は素通りです。少し波が高いので、サーファー達がサーフィンを楽しんでいます。



太海へ向かう途中の妙昌寺。赤い山門の両側には錨が奉納されています。きっと漁師さん達の信仰を集めているのでしょう。



本日はリュックサックを背負っているので、娘に鴨川エナジーをお土産にしようと道の駅「
オーシャンパーク」に立ち寄りますが、何と売り切れ!!

ポスターも売られていますが・・・・自転車ではね・・・。

■ 風速15mの向かい風に行く手を阻まれる ■

近海捕鯨の町の和田町を越えた辺りから向かい風が強くなります。まあ、房総ライドは風との戦いですから、ここは上体を低くしてなるべく抵抗を減らします。それでも速度は25Km/hまで落ちます。

道の反対側を黄色のベストを着た人達がすれ違い始めました。どうやら千葉ブルべ400Kmの参加者の様です。まだ、前半100Km程度みたいですが・・・400Kmを一日で走り切る体力には驚きを禁じ得ません。



千倉に入ってからは風はさらに強まります。時おり、風速15m/sを越える強風です。こうなるともう笑うしかありません。一生懸命漕いでも時速14Km/hしか出ません。

繊維喪失・・・失礼、戦意喪失して道の駅「潮風大国」に非難。それにしても「潮風大国」というネーミングからして、ここら辺が強風地帯だという事は表していないか?駐車場の昇り旗もご覧のとおり。風にむかって歩くと押し戻されそうになります。

はてさて、私は無事館山に到達できるのでしょうか・・・・。
この顛末は、又明日。