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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

時限クーポンで年金を支給する・・・ちょっとした思い付きのメモ

2015-05-20 08:50:00 | 時事/金融危機
 

■ 年金のキャッチボール ■

「金は天下の回りもの」と言う様に、お金は人の手から人の手に渡る事で経済を活性化させる事が出来ます。例えば箪笥に仕舞い込まれた現金は経済に貢献出来ないのです。

バブル崩壊以降の年金と国債の関係は箪笥預金に良く似ています。高齢者は銀行に預金を溜めこみ、銀行はこれを国債で運用し、国は国債で得た資金で年金を払っていました。老人が将来の為と年金から貯金した資金は、国との間でキャッチボールされ経済を刺激出来ません。

国民年金だけでは生活出来ないから貯金を切り崩している様なケースはこれに当りませんが、厚生年金を支出以上支給されているケースや、息子家族と同居して、年金がほとんど貯蓄になっているケースは多々あるはずです。

■ 年金をその月に全て使ったらどうなるか? ■

高齢者の方が年金を貯金する理由は将来必要となる介護や医療費や入院費を準備する為です。ところが、そのうちの少なからぬ量が老人が亡くなった時に残っているはずです。遺産として家族に相続されます。

この、経済に貢献出来ない資金を強引に経済に注入したらどうなるでしょうか?

例えば支給される年金を時限クーポン式にして、手元に置いておくと毎月5%ずつ減額する様なシステムを導入したらどうなるでしょうか?

1) クーポンは毎月5%ずつ価値が減る
2) クーポンと現金の交換は出来ない
3) クーポンは電子マネーとして管理される
4) クーポンで通常の支払は全て可能で、税金の支払いも出来る

こんな制度を導入したらどうなるっでしょうか?

もともと月々、年金を使い切っている人達にはほとんど影響は有りません。一方、年金を貯金に回していた人達は年金を使わざるを得なくなります。要は死蔵されて経済を活性化出来なかった資金が消費に回るのです。

旅行に行っも良いですし、近所で美味しい物を食べても良い。当然医療費として支払っても良い。こうして一旦、老人の手を離れた資金は、老人よりも消費性向の高い若者世代の手に渡る事で、2次的、3次的に経済を刺激する事が出来ます。

■ 高額所得者の年金の減額や税制改正よりも公平性が高いのでは? ■

年金財政がひっ迫する中で注目されているのが高額所得者の年金の減額です。ただ、これは公平性を盾に取られると実現が難しい。相続税で調整する方法が始まっていますが、これも様々な抜け穴があっり確実に効果を上げる事が難しいし、即効性に欠けます。

その点、全ての年金を時限クーポン化すれば平等性は確保され、消費拡大の即効性も高まります。

■ 使われなかったクーポンや減額する分は国庫に納めて福祉資金にすれば良い ■

仮に毎月5%ずつ減額するクーポンが使われなかった場合、減額分は国庫に収まる様にして、それを福祉予算に補てんする方法も有効かと思います。年金だけで生活出来ない人の補助金やや、高齢者医療非の不足分の補てんに充てたりする事も可能です。

■ 政府通貨では無く、あくまで「マイナス金利の円」として発行する ■

年金時限クーポンを地域振興券の様な政府通貨として発行すると、通貨制度が混乱します。あくまでもマイナス金利が発生する日銀券として発行するべきです。こうすれば通貨マフィアの期限を損ねる事も少ないでしょう。

「管理が大変だ」と指摘を受けそうですが、電子マネーにすれば問題は有りません(多分)。高齢者もお店で小銭をジャラジャラとやるよりは余程便利です。

■ 年金が普通の円である必要は無い ■

年金は現在の労働世代が安い賃金の中から支払っています。或いは国債発行を通して私達の子供の世代にまでツケとして残されます。この様に、現役世代が犠牲を払って支える年金が、貯蓄で死蔵されたり、あるいは金融市場でギャンブルに投じられるのは勿体無い。

それよりも実態経済に還元されて内需の拡大に貢献した方が、企業収益も拡大し、現役世代の所得も増えます。結果的に税収が拡大し、財政も安定します。

要は、現役世代や国庫の負担の上で生み出される年金は、貨幣的にマイナスのアドバンテージがあっても、結果的にそれが景気拡大に繋がるのなら問題は無いのでは無いか?

■ 金融政策におけるマイナス金利よりも弊害が少ない ■

「マイナス金利の通貨」ならば、リフレ派の主張と変わらないでは無いかというご指摘もあるでしょう。

しかし、通貨全体にマイナス金利を発生させてしまうと、国内投資に対する金利収益を不当に下げてしまい、結果的に投資資金の海外流出を招きます。現状の日本がその状態で、日銀が国債市場から炙り出した資金の一部は、米国債投資などに姿を変えています。(それが目的ですが)

■ 老人と国のキャッチボールに実態経済を挟む事で景気回復を狙う ■

何だか書いていて私も頭の中がスッキリまとまっていませんが、要は、年金と預金を通して発生していた老人と国とのキャッチボールの間に、強引に消費を割り込ませて実態経済を刺激すると考えれば良いかと思います。

■ 異次元緩和では国債から炙り出された資金は実態経済を刺激出来ない ■

「異次元緩和で日銀が国債から預金や年金を締め出しているのだから同じでは無いか」とのご指摘もあるかと思います。

しかし、異次元緩和の目的はマネタリーベースを増やす事ですから、国債から締め出されてた民間の資金は日銀当座預金に積みあがって、再び国債を購入する資金になっています。リスクだけが民間の金融機関から日銀に移っただけです。

さらに、国内需要が低い状況下では、炙り出された資金は金利に釣られて海外に流出してしまし、国内経済を活性化出来ません。

その点、年金を消費に確実に変換すれば、確実に需要を生む事が出来ます。

■ 老人の反対で「民主的」に否決されても、日本の民主主義の問題点を明確化出来る ■

多分、年金支給を時限クーポンにしますなどと言ったら老人の反乱が起こるでしょう。この場合、彼らの一番の武器は選挙に訴える事です。

大阪の例を見るまでも無く、現在の日本の選挙で最大の影響力を持つのは老人です。ただ、世代間格差を問う選挙になれば、若年層の投票率も高まるはずです。

選挙の結果、老人が勝利しても私は構わないと思います。何故なら、この国の支配者が老人である事が明確になるからです。

■ 「インフレ税」よりも明確ではは無いか ■

現在の異次元緩和を続けていても、いずれ日本の財政は破綻状態になり、それなりのインフレ税を私達は支払う事になります。

その時、インフレ税は国民に平等に発生する様に見えて、実は労働者の賃金はインフレを後追いして上昇するのでインフレの効果は年金生活者や資産家に強く発生します。

これは国家的な再配分の非常に巧妙な数段で、実は平等性は現役世代に対しても意外にも高い。そして、一番の利点は誰も責任を負う必要が有りません。

高齢化の影響で日本の財政が破綻状態になったのだから仕方が無い・・・。こうする事で責任の多くを「高齢化」に押し付ける事が出来ます。

しかし、一方で財政破綻の経済への影響は甚大です。これは現役世代にも大きな影響を与えます。

私としては知らず知らずの内に国に所得移転が発生するインフレ税の実施の前に「年金時限クーポン化」の様なポジティブな悪あがきをしても良いかななどと考えています。経済の実権としては面白いのでは無いかと・・・。


ただ、老人たちの資金を虎視眈々と狙う金融マフィア達には絶対に認められない政策だと思いますが・・・。

労働力が自由に移動する世界・・・日本の将来は労働市場の開放に掛っている

2015-05-18 09:50:00 | 時事/金融危機
 

■ ブードゥーエコノミクスのシャーマン達の言説は空しい ■

三橋貴明氏を始めとする「普通では無い経済学」は、「ブドゥ。エコノミクス(呪術経済学)」という呼称がピッタリと嵌ります。

大元はパパ・ブッシュが「サプライサイド経済学」を批判した言葉ですが、「お金を供給すれば需要が拡大する」という主張は、当時のアメリカでも否定的に捉えられていました。しかし、四半世紀が経過した現在、世界は異常な金融緩和を実施しており、まさに「呪術」に支配されています。

特に「自国通貨建ての内国債は破綻しない」と主張する三橋貴明氏らの主張は、彼らが神輿に担ぐクルーグマンですら認めない経済学?の異端中の異端です。クルーグマンは「国債金利はある時点を境に跳ね上がる事が有る」と普通に認めていますし、「日本の人口動態は悪過ぎる」と発言して、日本の長期的な財政や経済の成長には悲観的です。

しかし、「呪術」の恐ろしい所は、人々の弱みに付け込んで洗脳してしまう所にあります。普通に考えれば、日銀が日本国債を全額買い取る様な事態は「財政破綻」以外の何物でも有りませんが、「ハイパーインフレでは無い」と強弁する事で、日本の将来を悲観していた一部の人達に「まやかしの希望」を与え、彼らを「呪術」の虜にしています。

■ 短期的改善が拡大永続するという経済では有りえない事を前提とした「呪術」 ■

彼ら、ブy-ドゥー・エコノミクスのシャーマン達の用いるトリックは至って簡単です。極端な金融緩和や財政拡大によって短期的に発生する経済の改善を、これが永続し、拡大し続ける様な錯覚を与える事で彼らは信者を増やしています。

実際には財政出動は短期的かつ限定的な経済改善効果しか無い事は既に経済学の常識ですし、異次元緩和の様な極端な金融政策は、後々のバブルを生む事で、さらに経済を悪化させる事は歴史が証明しています。

さらに、少子高齢化という解決不能な構造要因を抱える日本経済は、プラス成長を維持する事が根本的に難しく、2%のインフレ率達成は「悪性インフレ」によってのみ可能な事を彼らは巧妙に隠しています。

■ アベノミクスの「第三の矢」を否定してフリーランチを食べ逃げしようとする卑しさ ■

アベノミクスに意味が有るとすれば、それは「第三の矢」の実現にあります。

「規制撤廃と構造改革によって経済効率を高め、経済成長を実現する」という「成長戦略」を三橋氏らは認めていません。

「誰の為の規制緩和か」を考えたら「アメリカの為」「資本家の為」「グローバル企業の為」以外の何物でも無い「第三の矢」を否定する事は一見正しい様に思えます。

しかし、日本の製造業の労働生産性は既に相当高いレベルを達成しており、これ以上は技術的なイノベーションでも起きない限り大幅に高まる事は有りません。そこで、資本と労働力の流動性を高める事で、ブレークスルーを達成しようとするのが「第三の矢」です。

企業は能力の乏しい正社員を一人解雇すれば、そのコストで有能な社員を一人雇えます。あるいは将来有望な若者を二人雇用出来るかも知れません。これは企業側から見れば大幅な生産性の向上につながるかも知れません。

一方で、解雇された元正社員は同じ所得が得られる職に就ける確立は低く、さらに新たに雇用された社員の雇用も将来的には保障されてはいません。労働者は雇用の流動性というメリットとデメリットの両方を受ける事になります。しかし、現状の日本よりも平等性が高いとも言えます。

現在の日本はゆるやかに衰退する安定状態にあり、これを成長に転じるには、構造改革や規制撤廃は不可欠ですが、それは痛みとリスクを伴います。アベノミクスは財政拡大とリフレ政策で大判振る舞いする事で、「第三の矢」という痛みを伴う改革を実現する事を目的としていますが、「第一の矢」と「第二の矢」というフリーランチだけを食べ逃げしようとする三橋氏らの言動は卑しさ以外の何も感じません。

これはかつての「お花畑左翼」が漂わせていた「卑しさ」に共通します。いえ、彼らはより身勝手に進化して現代の左翼の姿なのかも知れません。

この点においては、同じリフレ派であっても、アベノミクスをセットで受け入れようとする「ひろのひとりごと」さん達には、ある種の誠実さを感じます。

■ 「呪術」で現実は変えられない ■

三橋氏の支持者達は、自分達を「保守」と自称しますが、彼らの行動は「おねだり左翼」の行動に極めて近いものがあります。もらえる物は有りがたく貰うけれど、払うのは全体にイヤだし、失うのもイヤ・・・そう声高に主張します。

労働市場の開放や移民にも彼らは否定的です。

日本の人口動態を見れば近い将来、移民なり外国人労働者を受け入れなければ日本の財政や福祉政策は確実に破綻します。2030年には1.8人の労働者が1人の高齢者を支える社会になりますが、税率が40%程度でなければ支え切れません。

これを「無限に国債を発行して日銀に買い取らせれば大丈夫」と言ってのける三橋教は「呪術」以外の何物でも有りません。


■ TPPは労働市場の開放を実現する ■

三橋教の特徴は「では、お前が対案を出してみろ」とすぐに口にする事です。「オレ達は日銀が国債を買いまくれば良いという案を既に出している」と勢い付きます。

案なら既に安倍首相が「第三の矢」として提示していますが、彼らの未来に「財政破綻」の文字は無いのでガン無視です。

三橋教信者は「移民など認められない」と主張しますが、安倍政権の推し進めるTPPは将来的には労働市場の開放を実現するでしょう。

既にEUは加盟国間の労働市場を開放しており、国境も解放しているので国境を越えた通勤(越境通勤)などというものが存在します。スイスの人がフランス国内に毎日通って仕事をしていたりします。

ドイツを始めとするヨーロッパの先進国は日本同様に高齢化による労働力の不足に悩んでいまいた。かつて「移民」による労働力の補てんで国内に貧困層を抱えてしまったこれらの国は、EU域内の労働力と資本の移動の自由化でこの問題を解決しつつ有ります。

確かに能力次第では外人に職を奪われるリスクを伴いますが、全体的に不足する労働力を補うメリットはリスクを上回ります。

■ 既に日本では多くの外国人が働いている ■

かつては日本国内の労働力の移動で、日本は経済成長を達成しました。青森の若者が東京に働きに出る事で労働力を確保していたのです。彼らの税収は青森に還元される事で、国内のバランスが保たれていました。

しかし、これからの日本では国内では労働力を確保しきれませんせんから、外国人労働者に頼らざるを得ません。既に、日本国内ではコンビニやファーストフードなどは外国人労働者無しでは経営が成り立ちませんし、一部の製造業でも日系ブラジル人などの労働力に依存しています。

現在、外国人が日本で労働する場合は、一部の知的労働しか認められていません。コンビニやファーストフードやスーパーのレジの外国人は研修や留学名目で来日して、日本で労働に励んでいます。これは意図的に法律の抜け穴を作って労働力不足に対応しているとも言えます。

彼らは日本で労働し、消費もするので、日本の経済に少なからぬ貢献をしています。ただ、一定の期間を過ぎたら帰国しなければなりません。

■ 「東京に出て働く」というのと「日本に行って働く」というのが同義になる時代 ■

多分、TPPが締結され、次第に労働市場が開放されると、青森の若者が「東京に出て働く」というのと同じ位の感じで、アジアの若者が「日本に行って働く」と口にする時代がやってくるでしょう。

夜中のシンガポールやフィリピンの国際空港は、入国する建築作業員のインド人や、山の様なお土産を持ったフィリピン人の家政婦でごった返しています。彼らの労働市場は既にグロール化しており、周辺国のみならず、アラブやアメリカやヨーロッパで仕事をしている方も大勢居ます。基本的に英語が話せる彼らは英語圏の生活に言語的苦労は有りません。

これはら日本は世界の国々と安い労働力を奪い合う関係になりますが、円安で彼らの収入が低下する日本は不利な戦いを迫られます。

■ 「治安」と「平等」が日本の魅力になるだろう ■

日本にアジアの人達が働きに来る場合、「治安」と「平等」はキーポイントになります。

日本は世界でも有数の治安の良い国家です。女性が働く場合、或いは子供や家族を連れて日本に住む場合、「治安」は大きな魅力になります。

一方で日本人は外国人慣れしていないので「平等」に彼らに接する事が苦手です。特にアジア人を自分達より低く見る伝統が有ります。ただ、中国人や韓国人、インド人などが増えている東京で、彼らをアカラサマに罵る日本人はあまり見かけません。電車で隣合わせても、大声で携帯で電話をする中国人を迷惑そうに見る事はあっても、罵声を浴びせる事はありません。日本人は戦後70年の反省期間にアジアの人達との適正な距離の取り方を身に着けてきたのかも知れません。

この遠慮しがちな無視は、日本で働くアジアの人達にとって決して居心地の悪いものでは無いかも知れません。これは「消極的な平等」と呼べるものかも知れません。

■ 国境が希薄化する時代の国内の対立軸 ■

10年、20年というスパンで日本の将来を展望した時、日本の経済成長も財政も外国人労働者に追う所が大きくなると思います。むしろ、それ無くしては日本の将来は暗い・・・。

2015年 -  2020年   250万人減少
2020年 -  2030年   740万人減少

これは日本の人口の減少予測ですが、今後20年間で1000万人近くが減少します。これに高齢化による社会の効率低下が加わりますから、これで経済が実質成長する事がいかに難しいかは容易に想像が付きます。

TPPを皮切りに外国人労働者の受け入れ議論が活発化すると思いますが、これは日本人の今後の対立軸になってゆく可能性があります。

EUを例に取るまでも無く、現代の社会は「国民国家」の衰退期です。国家とか国民とか国境という概念が経済成長の妨げになるのなら、それは積極的に取り払われて行きます。

国民が国家に貢献する理由の最大な物に、「外国の攻撃から国民を守る」というものがあります。しかし、安保法制が実現する「集団安全保障体制」は、守られる国民と国家の関係を希薄にします。一部の人達は、国境を越えて自由に職を求め、住処を変えて行く時代がやってきます。

その様な時代にあっても「保守的」な人や「反動的な人」は常に存在します。ヨーロッパではネオナチを筆頭にフランスの国民戦線などの支持者達がそれに相当します。彼らは移民や外国人労働排斥を声高に訴えます。これらの人達の多くが、外国人労働者と仕事を奪い合う関係にあるからです。

日本においても今後の政治的な対立は、グローバル派と反グローバル派の間に生まれて来ると思われます。

これは一見「保守」と「革新」の対立に見えますが、一見「保守」に見える人達は、三橋教信者の様なフリーライダーが多くを占める事になります。

「税金が増えるのは嫌だけど、規制改革で競争が高まるのもイヤ」という現実逃避の若者。
「年金が減るのは嫌だけど、フィリピン人介護士に世話をしてもらうのもイヤだわ」という老人。これらの人達がこれからの日本の抵抗勢力となってゆきます。

一方で、本気で日本の財政や社会の継続性を考える人達は、「外国人労働者に魅力的な国」とは何か、「外国人が日本人と摩擦無く生活出来る方法は無いのか」を真剣に考えるはずです。多分、海外経験などが多い人達がこちらのグループに入る事になると思われます。

結局、国や国民に縛られた「旧人」と、国家の概念から解放された「新人」の対立が、これからの日本や世界で激化して行くのでしょう。



外国人労働者の受け入れには多くの治安や国民感情の問題が有る事は私も理解しています。しかし、日本人の若者に大結婚ラッシュが発生して、さらには「子供は3人は絶対に欲しいは、出来れば4人が良いかしら」といった意識改革が起きない限り、外国人労働者の受け入れは不可避な現実となってゆくでしょう。


あるいは、日本得意のロボット技術が労働力不足をを解消するのか・・・・その場合は100年後には日本人はほとんど生息しない国になりそうですが・・・。

世界的にリフレ政策は「静かなバブル」を作っている・・・姿無き黒き白鳥

2015-05-16 09:27:00 | 時事/金融危機
 

■ 既にバブル状態の不動産 ■





庶民の私達には実感が有りませんが、現在の日本は既にバブル状態にあります。

「・・・?」とお思いの方がほとんどでしょうが、実際に東京中心部から始まった地価上昇は千葉や埼玉など周辺にまで広がっています。

「今までが安すぎたのだからその反動だろう」という反論もあるかと思いますが、バブル崩壊の直後を除けば地価や不動産価格は需給バランスによって決まっているはずです。上のグラフは東京の新築と中古マンションの価格推移です。

2006年から2007年に掛けては海外の投資マネーが流入してミニバブルが発生していまいした。この頃の需要を支えていたのは団塊ジュニアと呼ばれる世代です。ある程度実需を反映したミニバブルだったのです。

冒頭のグラフでは、現在の新築マンション価格はミニバブルの頃の水準を抜いています。




http://www.fan-invest.co.jp/report/index.php より

上のグラフは最近の首都圏のマンション価格の推移と投資利回りです。

1) 低金利を背景にした居住用マンションの購入
2) 相続対策としてのマンション高級
3) 中国を始めとしたアジアの投資マネーの流入

昨今の首都圏のマンション価格の上昇の要因は富裕層の相続対策や、国内外の投資マネーの流入です。得に「相続税対策に有効」という噂が広がりタワーマンションが高齢な富裕層に良く売れました。首都圏のタワーマンションは2014年をピークに供給量が減っているので、マンション価格は上昇を続けています。

問題なのは、これらの投資物件は賃貸物件として貸し出されて運用されますが、賃貸価格は「住む」という実需以上には膨らまないので首都圏の賃貸価格はそれ程上昇していません。結果的に投資用に購入した物件の投資利回りが低下する事になります。

業界では首都圏のマンションバブルは既に終わりに近づいていると噂されています。

■ 異次元緩和はミニバブルしか作れず、そしてそれも何れは崩壊する ■

当ブログではアベノミクスの開始当時から、「異次元緩和では資産市場でのミニバブルしか作れない」と主張して来ましたが、株価が2万円を超えたり、首都圏のマンション価格が上昇した事でミニバブルは実現したと言えます。

では、これが「大バブル」に発展するかと言えば・・・答えはNOです。

何故なら、「実需」が現象し続けているからです。前出のマンション価格もそうですが、平成代バブルの時は持ち家率が低かったので多くの普通の人達がマンションを購入しました。2006年のミニバブルも団塊ジュニアという実需が背景に在りました。

しかし、人口が減少に転じ、特に若者世代の人口が加速度的に減少する時期に入る現在では「実需」は減少こそすれ拡大する事は有りません。結局、現在の投資マンションブームはどこかで終焉を迎えます。

■ 金利はリスクに見合うのか? ■

ここで問題になるのが、金利収益とリスクのバランスです。例えば、現物不動産投資やREITのの利回りがリスクに見合っているかどうか?

確かに銀行金利はタダ同然なのでREITの3%の金利は魅力的に見えます。しかいREITの利回りは確実に低下しています。実はREITのリスクは分配金の低下だけではありません。REITはリーマンショックの原因になった住宅担保証券と同様に市場で売買される金融商品です。利回りが低下すればREITの価格の下がります。要は、何かをきっかけにリスクが急激に拡大する事があるのです。

さて、3%の分配金金利はこのリスクに見合うのでしょうか・・・。


■ 超低金利の問題はリスクに見合わない金利 ■

実は異次元緩和の様な過剰な低金利政策の問題点は、「リスクの過小評価」にあると考えています。

1)ジャンク債の様なハイリスク商品の金利が下がる
2)不動産REITなどミドルリスク商品の金利も下がる
3)銀行預金などローリスクの投資では金利が得られない

調達金利の低下がハイリスク市場の金利を不当に下げる一方で、銀行預金の金利低下が、ミドルリスク市場への資金流入を拡大して、この分野の金利も下がり過ぎてしまいます。

こうして超緩和的金融政策の永続化は、世の中のリスクと金利のバランスを崩してしまいます。この様な状況で金利の上昇が始まると、リーマンショックの様な信用収縮が一気に進行して市場では大暴落が発生します。

■ 銀行は採算が取れない案件に投資出来ない ■

銀行融資でも低金利が貸し出し低下を生み出します。金利体系が健全であるならば、銀行は融資のリスクに見合った金利が得られるはずです。借りる方も、市場金利が健全な水準であるならば、銀行に金利を払う事を勿体無いとは感じません。

しかし、超緩和的金融政策下では、「低金利で資金調達できるはず」という思いが事業者に生じます。しかし、実体経済の成長が弱い中で、事業への投資が収益の増加に繫がる可能性は高くはありません。様は市中金利がいくら低かろうが、事業が抱える本来的なリスクにそれ程変化は無いのです。結果的に銀行の融資担当者は常識的な金利を提示しますが、事業者はその金利では採算が取れないので投資を諦める事になります。

結局、銀行が融資するケースが担保が取れる案件に偏る事になります。異次元緩和によって地価が上昇したので、企業は担保額が増え、多少資金調達に余裕が出ました。ただその効果は限定的で景気を押し上げるものでは有りません。



■ 余剰資金は短期で金利が取れる金融市場に流入する ■


結局、日本にしてもアメリカにしても、中央銀行がジャブジャブと資金供給した所で、実体経済に金利リスクに見合う投資案件は限られています。

結果的に緩和資金は短期的な利益を求めて金融市場や株式市場で運用される事になり、これらの市場をバブル化させて行きます。

■ バブルが崩壊する度に政府債務が拡大する ■

グローバル化の時代には、どこかの国の緩和的金融政策はどこかの国やどこかの市場で必ずバブルを生み出しています。そして、バブルは必ず崩壊します。

リーマンショックを例に取るまでも無く、現在の金融市場は複雑の絡み合っているので、どこかのバブル崩壊は瞬く間に全体へと波及します。

こうしてリーマンショックの様な危機が再び発生した場合、政府も中央銀行もリーマンショック後と同様の対策しか取れません。大穴が開いた市場に多額の資金を突っ込み、破綻した金融機関に公費を突っ込んで一時的に国有化します。

これは民間の空けた穴を政府が埋める事になるので、政府債務は拡大します。一部の銀行などの損失を将来的な国民負担に摩り替えることになるのです。


■ リフレ政策の問題は一時的な成長と、将来的な危機のバランスが取れない事 ■


リフレ政策は経済にマイナスでは無いので、一時的には効果を生み出します。アベノミクスの開始時がそうでしたが、資産価格の回復は富裕層の消費拡大に繫がりました。しかし、それも継続的では有りません。「期待」は一時的なので資産価格の上昇が鈍れば富裕層の消費も鈍化します。

リフレ政策で安定的なインフレの達成が難しい事を日本政府と日銀が証明しつつ在りますが、その結果積み上がった将来的リスクは大きなものがあります。日銀はインフレ目標が達成されなかったとしても、どこかの時点でテーパリングに移らなければいけませんが、長期金利を抑制しながら国債買い入れを減らすという難しい問題に取り組まなければなりません。

■ 既に世界的に長期金利が上昇し始めている ■

4月から株式市場を始め世界の市場が不安定になっています。原因はドイツの長期国債の金利上昇でした。

ECBは量的緩和に踏み切り、欧州経済の低調やギリシャ問題もあってドイツ国債の金利は、5年債金利がマイナスになるなど非常に低下していました。それが4月から反転して金利が上昇し始めたのです。米国債も日本国債も長期金利が底を打って上昇に転じています。

これは日本のVRショックの時と同様に、さすがに安全資産と言えどもどの国の国債金利も長期的には低すぎるという認識が生まれたのだと思われます。

昨今の国債金利は右肩下がりに低下していました(価格は上昇)。買ってしばらくしてから売れば確実に儲かる市場になっていましたが、これこそがバブル状態とも言えます。ふと気付けばドイツ国債の金利はマイナス、つられて日本国債の金利までマイナスになっていた・・・・。

さすがにこの状態がいつまでも続くとは思えないので、金利が下がり過ぎた長期国債を売り始めたというのが現在の状況でしょう。

米国10年債の金利も2%はさすがに低すぎます。金利の正常化も控えているので、バーナンキショック時の水準である3%に向けて調整し始めたのでしょう。

■ バブル状態を警告したイエレン議長の狙い ■

FRBのイエレン議長はIMFのラガード総裁との会談で、「株式市場も債券市場も高すぎる」と発言してバブルを牽制しました。

これは、年内中にも予想されるFRBの利上げに先立って市場の過剰なリスクを振り落としておこうという狙いがあると思われます。2013年5月にバーナンキがテーパンリング開始を匂わせて発生したバーナンキショックと似た効果を狙ったものと思われます。

これに対して債券市場は長期国債を中心に金利が上昇するという真っ当な反応を示していますが、株式市場は少し下げた後に、米国の雇用統計を好感して上昇に転じています。

利上げを前にして本来ならばリスクオフが起こるシーンですが、債券市場から株式市場に資金が上がれるリスクオンが発生しています。これにはイエレン議長も多少当惑しているのでは無いか・・・。

■ 単なる変動なのか、それとも終わりの始まりなのか? ■

緩和的金融政策の弊害として世界的にバブルが発生しています。しかし、それは私達の知っているバブルとは少し姿が違う様です。熱狂が無く静かなのです。

ただ、リスクに対する金利が不当に低下する事で、リスクの水面がどんどんと下がっています。今に「黒い白鳥」が水面下から頭を出すでしょう。

はたして昨今の市場の変調は、終わりの始まりなのか、それとも単なる調整に過ぎないのか・・・。熱狂の無いバブルは、特別な理由も無いままに静かに崩れ去るのかも知れません。ブラックスワンの姿すら分からずに・・・。

自衛隊法改正・・・次なる金融危機の序章?

2015-05-15 02:02:00 | 時事/金融危機
 

■ 表面上は普通の国、普通の軍隊になっただけ ■

自衛隊法改正が話題になっています。

表面的に見れば、今までのガンジガラメの自衛隊法が異常なのであり、「普通の国、普通の軍隊」になっただけとも言えます。

戦後、「お花畑左翼」の方々は、「戦争を放棄し、さらには軍隊を持たなければ戦争を仕掛ける国は無い、もし戦争を仕掛ける国があるのなら国連が制裁してくれる」という非常識を信じてきました。

しかし、子供のケンカを例に取っても、弱いヤツはターゲットにされ争いを避ける事は出来ません。国家間においても、適切な防衛力を持つ事こそが平和の基本です。「やられたら、やる返す」のが安全保障の大前提であり、それを怠る国家は標的とされます。

あらゆる普通の国家が、「我が国は平和を尊重し戦争を憎む」と口では言いながら、体の後ろでキツク拳を握っているのです。だから平和は保たれます。

■ 「アメリカの戦争に巻き込まれる」という心配 ■

多くの方が懸念しているのは「アメリカの戦争に巻き込まれる」事です。既に「巻き込まれる」という表現自体が受動的で、安全保障をアメリカと共同で確立するという本来の安全保障の概念を理解していない様にも感じます。

尤も、問題はタッグを組む相手にあります。アメリカは第二次世界大戦後、最も多くの戦争を起こしてきた国です。こんな国とタッグを組んだら不要な戦争に巻き込まれる可能性が有ると心配するのは当然と言えます。今回は法律の名前から「周辺事態」すらも消え、地球の裏側の戦争にさえ巻き込まれる可能性が高まりました。

■ 戦争は「やらせ」で始まる ■

法律的には「自国の国民や軍隊が攻撃された場合のみ」自衛隊の武力行使が許されます。ですから「戦争に巻き込まれる事は無い」と安倍総理は説明しています。

しかし、歴史を遡れば、戦争はいつでも「ヤラセ」で始まっています。皇太子が暗殺されたり、真珠湾が攻撃されたり、トンキン湾で魚雷が発射されたり・・・。

要は戦争の口実など簡単に作れるのです。例えば、イラクで日本人ジャーナリストがISIL(イスラム国)に拉致されたら、「国民の生命が危険にさらされた事」になります。平和維持活動に従事する自衛隊をISILに攻撃させる事も容易でしょう。

この様に戦争が必要な時、そのきっかけは簡単に作られてしまいます。これは盧溝橋事件で日本軍が使った手段でもあります。

「戦争の必要性」の前に法律はあまりにも無力です。

■ 法治国家のアメリカですらシビリアンコントロールは厳密には機能していない ■

日本は現在まで憲法や自衛隊法を恣意的に解釈して、自衛隊の活動範囲を拡大してきました。今回の法改正は「恣意的解釈」を止めて、きちんと法制化する正当な動きであるとも言えます。

ただ、法制化したら恣意的解釈は無くなるのかと言えば・・・多分無理でしょう。

「法治国家」と思われているアメリカが良い例で、海兵隊は大統領の直属部隊です。大統領が必要と認めるならば、海兵隊は議会承認無しに戦闘を始める事が出来るのです。議会は事後承認を与えるのみです。

「国民が選んだ大統領の判断は国民の判断だ」と言ってしまえば問題は無いのですが、これこそがアメリカ人が盲信する民主主義の落とし穴です。そもそもアメリカの大統領選挙でアメリカ国民は「大統領を選ばされて」います。

■ 戦争が遂行される様な状況では議会は形骸化している ■

そもそも、国家間の戦争が行われる様な事態が起きた時には議会は形骸化しています。

日本が太平洋戦争に突入した時も、翼賛体制によって議会は機能していませんでした。ただ、これは国民が選択した事とも言えます。

仮に、尖閣諸島に中国が侵略したとします。自衛隊は自国領土を侵犯されたのでただちに防戦します。この戦闘で自衛隊員に死傷者が出れば、世論は「打倒中国」で結束します。この様な状況下でも「戦争反対」の方は少なからず居るのですが、国民の大勢は「戦争止む無し」に一気に傾きます。

こうなると、議会など有って無きに等しい。国民が戦争を望むのだから、議会も戦争を望む事になります。

■ 将来的に自衛隊が戦闘する様な戦争が必要となるのか・・・ ■

今回の自衛隊法の改正はアベノミクスの本当の狙いだたっと思います。

1) アベノミクスによるデフレ脱却という餌をちらつかせて議会で安定多数を確保する
2) 自衛隊法改正を実施する

国民は景気回復という飴に釣られて、自衛隊法改正という果実を与えてしまったのです。メディアもこれを後押ししてきました。

しかし、問題は自衛隊法が改正される事よりも、それを必要とする「戦争」が起きるかどうかではないでしょうか?「陰謀論者」である私にはそちらの方が気になります。

■ アメリカはアジアの前線から撤退して行く ■

アメリカ議会の演説で安倍総理が日米の結束を再確認する一方で、米軍は静かに日本や韓国から撤退しています。

沖縄の海兵隊の本体はグアム移転が決まっており、その準備も着々と進んでいます。在韓米軍の撤退は2016年に実施される予定で、既に朝鮮半島有事の際の指揮権は米軍から韓国軍に移っています。

米軍は東アジアのみならず、世界中の最前線から撤退してゆきますが、これは2001年の国防計画見直しで明確にされました。これを「米軍のトランスフォーメーション」と一般には呼ばれています。

1)装備の軽量化(戦車からストライカー装甲車への変更など)によって、米軍は航空輸送により世界のどこにでも瞬時に戦力を投入できる体制を整える。

2)主力戦力を前線より後退させ、グアムなどに集結させる

在韓米軍の撤退も、沖縄海兵隊のグアム移転も全て「トランスフォーメーション」も実現に向けた動きの一環です。

短距離、中距離ミサイルの進歩は敵の前線基地を一気に無力化する事が可能となりました。韓国や沖縄に兵力を置く事はナンセンスな時代となっているのです。韓国や日本で米軍が戦争に巻き込まれ、大きな損害を発生しない為に、米軍は周到に戦力を後方に移動してゆきます。

しかし、これでは「見せかけの戦力」という安全保障上の重要事項が空洞化してしまいます。だから自衛隊法を改正させ、日本が通常な国と同等の「攻撃力」を持つ国である事をアピールする必要があるのかも知れません。

実際に自衛隊は世界で有数の規模を誇る軍隊です。自衛隊法改正で正面戦力の拡充が図られ、日本はアメリカからオスプレーを始めとする兵器を今後大量に購入するはずです。資金は日銀が輪転機グルグルで生み出します。

■ 自衛隊は中東で戦争をするのか? ■

実際的な問題として、自衛隊が戦争に巻き込まれる恐れの一番高い地域が中東でしょう。

アメリカはこれまで国民の血の犠牲と多くの資金を費やして中東での利権を守って来ました。しかし、アメリカは財政的理由から、この地域の戦力を縮小しなければなりません。これ自体を自衛隊が肩代わりする事は有りえませんが、いざ戦争となれば、米軍は機動的に中東に軍を投入する能力が有ります。(トランスフォーメーションの成果)

ただ、米軍の予算削減で戦争で最も重要な兵站輸送が手薄になる事は確かで、この部分に各国の協力を仰ぐはずです。自衛隊が中東に投入されるとすれば、アメリカ軍の兵站輸送の補助でしょう。

問題は、兵站路はゲリラの標的に成り易いという点です。ですから自衛隊法を改正して、そこそその装備で兵站路を防衛する必要があったのだと思われます。

自衛隊が中東で正面戦闘をする可能性が極めて低いと思われますが、ゲリラとの戦闘は十分に有りえるかと・・・。

■ 中国との全面戦争は起こるのか ■

アジアに目を転じれば、尖閣諸島で対立を深める中国との戦争が起こるのかどうかが重要になります。

これに関しては、フォークランド紛争の様な尖閣紛争は起こったとそても日中の全面戦争は有りえないとしょう。双方にメリットが無いと同時に世界の経営者にとってもメリットが無いからです。

ただ、尖閣有事という限定的な戦闘は起こり得ます。その目的は日中の分断と、新たなる冷戦の幕開けです。

ただ、尖閣紛争が起こる時は、新たな金融危機が起こる後になると思われます。要は、経済の崩壊による国民の不満を、世界的に戦争で解消するという常套手段が用いられるのでしょう。


陰謀論者としては自衛隊法改正は世界的金融危機の準備に思えてなりません・・・。

新緑の養老渓谷・・・小湊鉄道でGO

2015-05-13 05:09:00 | トレッキング/旅行
 

■ 小湊鉄道で養老渓谷に行こう ■

いつもは自転車で通過するだけの養老渓谷ですが、この時期は新緑が見事なのでゆっくりと散策したい。土曜日は自転車をかついで川沿いの散策コースを堪能してきました。

あまりに新緑が美しかったので、翌日は母を伴って小湊鉄道で再訪する事に。粟又の滝へ続く遊歩道はコンクリートで整備されているので趣には欠けますが、高齢者も歩き易く手軽に自然散策を楽しめます。

自転車で浦安から最速で3時間で着く養老渓谷ですが、電車を乗り継いでも家から2時間半・・・自転車って意外に速い乗り物ですね。

小湊鉄道は電化されていないローカル私鉄です。のどかな田園風景の中を走る赤とクリーム色のツートンカラーの車体は写真映えも良く、鉄道マニア御用達の路線です。



五井駅を出発してからしばらくは田んぼの中をコトコトと進みます。ちょうど田植えのシーズンで水を張った田圃が太陽をキラキラと反射します。上総牛久を過ぎると車窓の風景がガラリと変わり、時折、里山の木々の中を走ります。



単線なのですれ違いは駅で行います。里見の駅では未だに「タブレット」を利用しています。「タブレット」は輪っかの形をした通行証の様なもので、それを持っていない車両はその区間に侵入出来ません。結果的に区間の車両を1つにコントロールする事で衝突を防ぐものです。現在は信号が有るので「タブレット」を利用している路線は少なくなりましたが、小湊鉄道では未だに使用しています。

実はこの「タブレット」は2013年に復活したものだそうです。小学生の通学の需要から列車が増発されるに伴い、牛久-上総中野間を2閉塞区間にする必要が生じました。本来なら人手の掛らない自動閉塞(信号)方式が安全でコスト面でも有利です。しかし、小湊鉄道は徹底したローコスト化で黒字を実現しているので、信号機設置のコストをケチったのでしょう。小学生を見守る為に駅に駅員を配置するならば、「タブレット」を利用した非自動閉塞方式が一番ローコストです。結果として鉄道マニアには嬉しい「タブレット」の受け渡しが復活する事になりました。

小湊鉄道は鉄道マニアの気持ちを良く理解している鉄道です。橋梁も防錆塗装の赤色で、これが電車の色と相まってノスタルジーを掻き立てます。



「飯給」と書いて「いたぶ」と呼びます。桜が見事な駅ですが、「世界一大きな公衆トイレ」が有る駅でもあります。(ネットで調べてみてください)



「月崎」の駅は絵本の中から飛び出して来た様な佇まいです。






昔懐かしい扇風機です。昭和50年代初め頃までは、旧国鉄でも冷房車は珍しかったと思います。満員電車で汗だくになりながら、扇風機がこっちを向くのを心待ちにするのですが、吹いて来るのは汗臭くて生ぬるい風でした。今の若い方には想像も付かないでしょう。



五井から時間程で養老渓谷の駅に到着します。いつもは自転車で来る駅ですが、ホームに降り立つと新鮮な気分です。



列車の時刻に合わせて「粟又の滝」行きバスが待っています。



終点の粟又の滝まで行かずに、「滝めぐりコース」の終点でバスを降ります。この方が最後に「粟又の滝」を見るので感動が大きい。集落の中を案内板に沿って歩いて行きます。



家屋が途切れると畑の向こうには新緑の山が広がります。畑の先に川へ降りて行く階段があります。それ程急では無いので高齢者でも安心して降りられます。



階段を下りると、いきなり別世界が広がります。集落と畑の目と鼻の先に、ここは上高地?といった渓谷の風景が広がります。







このシーズン、新緑が目に沁みます。



海底堆積岩の滑らかな岩床を流れる養老川は水量も少なく、水深も浅いので子供達でも安心して川に入る事が出来ます。川エビが沢山居るので、タモアミですくう事が出来ます。



カジカガエルの透明な鳴き声が響いていますが、こちらはツチガエル。



養老渓谷は200万年前の海底が隆起した「大田代層」を養老川が浸食して出来た警告です。凝灰岩、黄色砂岩、青灰色泥岩の互層を観察する事が出来ます。岩質は柔らかく簡単に浸食されるので、房総の川は深くて複雑な谷を刻んでいます。



川岸の山肌からは水が滴り落ち、いくつもの沢筋が養老川に合流しています。それらが小さな滝を作るので、2Km余りの間に大小いくつもの滝を見る事が出来ます。



ここが東京から電車で2時間とは思えない風景です。



滝めぐりコースのハイライトは「粟又の滝」です。滑らかな岩肌を水が滑り落ちる、日光の湯の滝の様な滝ですが、ボリューム感があってそれなりの見応えがあります。








実は「粟又の滝」は滝の上に登れてしまいます。ちょっとコケで滑るのですが、若者達が果敢にチャレンジしていました。


東京からアクセスできる渓谷と言えば、奥多摩や丹沢山系がメジャーですが、手軽さという点では養老渓谷は特筆に値します。70歳を過ぎて、ちょっと脚力に自信が無い方でも、自然を満喫する事が出来ます。


ローカル線の雰囲気を堪能できる小湊鉄道とセットで楽しめる、お手軽ハイキングでした。