習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『斬 KILL』

2009-10-11 07:42:44 | 映画
 押井守監督が総監修したオムニバス映画。このパターンは先に『真・女立喰師列伝』があるから、あまり期待はしないのだが、なんとなく押井ブランドというだけで手を伸ばしてしまう自分が悲しい。4話からなる作品だが、20分程度の短編はそれぞれ1対1の対決だけが描かれるシンプルな構造で、当然中身はない。ここまで内容のない映画ならそれはそれで潔いのだが、あまりに中身がなさ過ぎて20分すら退屈させるとは如何に。 . . . 本文を読む
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『ウエストゲート№6』(『6番出口』)

2009-10-09 22:10:12 | 映画
 台北の若者が集う繁華街、西門町を舞台に、4人の男女を中心にした青春群像映画。本国では大ヒットを記録したとてもかわいいドキュメンタリー『ジャンプ!ボーイズ』(日本では残念ながらあまり入らなかった)の新鋭、リン・ユゥシェンが初めて劇映画に挑戦した作品。  今回もドキュメンタリータッチの部分はなかなかおもしろいのだが、本題であるドラマ自体はなんとも言い難い。要するに、前半のただ楽しく過ごすだけのたわ . . . 本文を読む
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村上春樹『1Q84』②

2009-10-08 20:18:06 | その他
 予定通り4日間でBOOK1を読んでしまった。もっとゆっくり読みたかったのだが、そうはいかない。どうしても先が気になってしまって、ついついページをめくってしまうし、その結果スピードがあがる。仕方ないことだ。もちろん読書は基本的には通勤時間しかしない方針なので、電車が駅に着いてしまったなら、自動的に本は閉じるしかないのだが、それでもエスカレーターに乗りながら少し読んでしまったり、眠る前に30分くらい . . . 本文を読む
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女性芸術劇場 コンテンポラリーダンス公演『カラダの記憶カラダのゆくえ』

2009-10-07 21:28:54 | 演劇
2部構成で1部は関典子さんの『刮眼人形』。2部は千日前青空ダンス倶楽部『水の底』。休憩10分を挟んで合計1時間ほどの上演だが、ダンスのおもしろさが十二分に詰まったすてきな時間だった。ドーンセンターのこの試みはダンス・ビギナーの女性だけでなく、あらゆる層にアピールしたはずだ。身体を使うことの魅力が、ここには満ちあふれている。 関さんのダンスは、その無表情とは裏腹の激しいダンスにまず目を見張らさ . . . 本文を読む
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本若プロデュース『喫茶テキサスの陽気な日々』

2009-10-07 21:19:46 | 演劇
実にバカバカしい芝居だ。見ていてうんざりする。だが、このバカバカしさは嫌ではない。「うんざり」なんて書いてしまったが見ているうちにだんだん彼らのペースに乗せられて、それなりにこれを受け入れている自分に驚く。「作、平宅亮。演出、本若」とクレジットされているが、たぶんみんなでわいわい言いながら作ったのだろう。なんだか楽しそう。まぁ、芝居自体はいくら考えてもたわいないだけだし、残念だが、ここには何もな . . . 本文を読む
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村上春樹『1Q84』

2009-10-05 22:27:30 | その他
 ようやく読み始めました。出版された時、すぐに読みたかったのですが、なかなか機会がなく、ようやく昨日から、読みだしたのですが、もう止まらない。昨日からこっち僕はこの本の世界にどっぷり浸かってしまいもう抜け出せません。  仕事をしてても、青豆と天吾のことばかりが気になるし、もう無理です。だいたいふかえりのことも頭から離れないし。「見かけにだまされないように。現実というのは常にひとつきりです。」とい . . . 本文を読む
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楽市楽座『金魚姫と蛇ダンディー 2009ファイナル』

2009-10-05 21:26:02 | 演劇
 とうとうファイナルとなった『金魚姫と蛇ダンディー』の4回目の挑戦は、なんと完全野外での公演だ。いつもの円形舞台が、扇町公園の中にただあるだけなのである。テントもないし、囲いもない。もちろん屋根があるはずもない。周囲はいつもの公園のざわめきが包み込む。舞台の周囲には客席としてパイプ椅子が並ぶが、その外側ではサッカーをする人たちとか、通行人が自由に行き来する。小さな山となった所では芝生の上に坐り込み . . . 本文を読む
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いしいしんじ『ポーの話』

2009-10-05 20:38:31 | その他
 泥の川を遡った町はずれにうなぎ女たちが現れる。彼女たちのうちのひとりが川の中から真っ黒ででこぼこの塊りを拾い上げる。それが本編の主人公、ポーだ。彼女たちはそれを自分たちの子供として大事に育てる。  いしいしんじのこの長編はポーと名付けられた少年が、500年に一度の大洪水に流されて繰り広げる冒険が描かれるのだが、そういうパッケージングとは裏腹に、まるでドキドキもハラハラもしない淡白な旅が描かれる . . . 本文を読む
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『愛のむきだし』

2009-10-01 20:53:30 | 映画
『愛のむきだし』だなんて、なんだか強烈なタイトルだ。だが、強烈なのは、タイトルだけではない。怒濤の3時間57分である。よくぞここまで無茶苦茶するわ、と感心するやら呆れるやら。3月の劇場公開時にどうしても見たかったのだが、不規則な公開方法だったからなかなか時間が合わずに、結局見送ってしまった。ようやくDVDでだが、見れてよかった。  まぁ、実のところ予想したほどにはハチャメチャではなかったのだが、 . . . 本文を読む
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『ホルテンさんのはじめての冒険』

2009-10-01 20:34:49 | 映画
 この邦題はちょっとメルヘンチックで甘すぎて、この映画のイメージを正確には伝えない。これは『キッチン・ストーリー』のベント・ハーメル監督の待ちに待った最新作である。再びノルウェーに戻って自分のフィールドで自由に作った彼らしい作品だ。極端にせりふを切り詰めて、風景や情景だけで主人公の心情を寡黙に切り取る。(特に、冒頭の雪の原野を走る列車を俯瞰で捉えたシーンがすばらしい。)これって北欧の作家の特徴なの . . . 本文を読む
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泉啓子『晴れた朝それとも雨の夜』

2009-10-01 20:28:59 | その他
 中学1年から3年までの3年間、3人の少女たちの小さな3つのお話。とても微妙な年齢の、幼いけれども真摯な気持ちが丁寧に描かれてある。児童文学出身の作家によるティーン小説には時々すごくよくできたものがあって見逃せない。彼らがきちんと子どもと向き合うから、その姿勢は大人を描いてもぶれない。今ではもうなくなってしまったが、集英社のコバルト文庫の流れを組むジュニア小説の伝統はこういうふうに細々とだが今も続 . . . 本文を読む
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