竹中直人主演映画って久しぶりではないか。彼のようにアクの強い役者は主演としてはなかなか使いにくいはずだ。結局自分が作る映画でしか主演は出来ないなんてことにもなりかねない。最近のビートたけしも同じだろう。
今回の彼の役は、50代のオヤジ。自分がガンだと思い、死ぬ前に自分が本当にやりたいことをやってから死のうとする話。彼はもう一度バンドをしたい、と思う。しかも高校時代の仲間と再結成して、である。 . . . 本文を読む
『エンゲキングXシバイズム』と題された企画の第2弾である。「造船所跡地の廃墟じみた室内劇場で、自己満足に徹した4つの短編を上演!」というキャッチコピーのもと上演された作品群はそれぞれ魅力的で、看板に偽りはない。組み合わせの問題で、3作品しか見れなかったが、いずれもよく考えられた短編で、刺激的だった。
ウラナチの『居留守図書館』はワンシチュエーションの不条理劇。台詞も動きもほとんどないまま見せて . . . 本文を読む
バーチャルな世界で冒険を楽しみながら、そこに自分が生きる意味を見出すための目標をみつけていく。『西遊記』のキャラクターになり現実の砂漠を旅するというこの体験型システムはなんだか古くさい。ゲームの世界に入って冒険するなんていうネタはもうずいぶん昔にはやった今では「古典的なもの」だ。それを敢えて今頃やろうとした意図はどこにあるのか。まずそこから説明してもらいたい。システムは完璧なはずだった。なのに綻 . . . 本文を読む
イニャリトゥの脚本家として注目を浴びてきたギジェルモ・アリアガの監督デビュー作である。通俗的なメロドラマすれすれのお話を神話的なドラマのレベルにまで高めて見せてくれる。その手腕は確かなもので、それはそれで高く評価されてもいい。だが、ここには大切な「何か」が足りない。だから、見終えて素直には感動できない自分に戸惑うことになる。
理屈としてはわかるけど、これでは人の心の深くにまでは沁みてこない。 . . . 本文を読む