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映画・演劇のレビュー

HPF2012 箕面東『そして手紙の宛先』

2012-08-13 06:51:50 | 演劇
 後半戦は4本。今年のHPEは2部構成のスケジュール。前半24本。後半4本で合計28本、もちろん28校の参加は過去最大らしい。たくさんの高校がHPFを目指し、力作を持ってくるのは、この企画が高校演劇部にとって魅力的なものだからだろう。リスクは大きくても、そのぶん得るものも大きい。単独公演で小劇場を借り切って、自主運営で1本の作品を作る上げ、入場料を取って(劇団の運営費には当てられないけど)興行をす . . . 本文を読む
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劇団ひまわり『スーホの白い馬』

2012-08-12 06:17:45 | 演劇
 劇団ひまわり創立60周年記念作品であるこの大作の関西版演出を任されたのは、若手演出家あしだ深雪である。彼女のキャリアや実力のほどは一切知らない。だが、こういう企画に大御所のような大人を持ってくるのは定番であるはずなのに、敢えて若い彼女に任せるという選択肢を選んだこの集団(というか、企業)の姿勢に共感を抱いた。いったいどんなものを見せてくれるのか、興味深々でABCホールに向かう。  2時間半の大 . . . 本文を読む
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『10+10』

2012-08-11 07:40:10 | 映画
「20位導演寫給台灣的情書」。20人の監督が台湾宛に書いたラブレターという意味らしい。このキャッチコピーのもとで、20人の台湾を代表する監督たちが5,6分というとても短い時間で1本の映画を仕立てる。一気に20本連続で見たから、お腹いっぱいのなるけど、どれも素晴らしい作品ばかりで、こういう作品が作れる今の台湾映画界って凄い。10+10とは、ベテラン10人、若手10人ということらしい。  ワン・トン . . . 本文を読む
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燐光群『宇宙みそ汁』『無秩序な小さな水のコメディー』

2012-08-10 12:13:50 | 演劇
 久々に燐光群の芝居を見た。以前は必ず見ていたのだが、最近は芝居自体を見るのが億劫になり、自分から進んで見に行くことが少なくなった。呼ばれたら行くけど、そうじゃなければ、ついつい見逃す。映画も同じだ。どうしても見たいものですら、時間の関係で見逃すことも多い。でも、今回この作品を見れてよかった。こういう刺激的な作品と、出会うと、自分自身のリフレッシュにもなる。  清中愛子さんの詩を構成、演出した『 . . . 本文を読む
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劇団壱劇屋『回想電車999』

2012-08-10 12:06:00 | 演劇
 先日のリンクスで壱劇屋を初めて見て、その洗練されたパフォーマンスにうならされた。これが長編の芝居の中でどう機能するのか、興味津々で見た。結果は中途半端で、物足りない。期待が大きすぎたのが問題なのだ。客観的に見ると、若手劇団としてこれだけのグレードを提示出来たなら、立派なものだろう。だが、如何せんお話の作り方が下手過ぎた。パフォーマンスはとてもおもしろいし、それが芝居とちゃんと連動したなら、かなり . . . 本文を読む
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宮下奈津『窓の向こうのガーシュウィン』

2012-08-10 11:25:15 | その他
 自分に対して自信を持てない19歳の女性が主人公。彼女は未熟児として生まれてきた。両親は経済的な理由から彼女を保育器に入れることを拒否して、育てた。発育不全のまま、なんとか成長し、でも、心と体に障害がある。耳がちゃんとは聞こえない。雑音が混じる。だから人とちゃんと話せない。ある日父親は出て行ったまま帰らない。そして、19歳になった。  訪問介護の仕事に就くが、当然上手くは出来ない。そんな彼女がひ . . . 本文を読む
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コキカル『シュレーディンガーの女』

2012-08-08 23:42:10 | 演劇
 演劇というよりもこれはパフォーマンスだ。作、演出の桐子カヲルさんはエッセイのような感じです、と言う。お話で見せるのではなく、おしゃべりや、朗読、ダンス、芝居のカタチを借りて、自分の思うさまざまなことをつらつらと展開して見せる。チラシには「演劇のカタチを引用した「女子会」にほかならないのです。」とある。言い得て妙。コキカルの初めての長編ライブ作品。1時間ほどの長さはとても心地よい。  6人の女た . . . 本文を読む
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沖方丁『天地明察』②

2012-08-08 23:12:03 | その他
 滝田洋二郎監督の手で映画化されているということを、知った。というか、知っていたけど、まるで気にも留めずに小説を読んだ。キャスティングも岡田准一と、宮崎あおいが主役を演じるということくらいしか知らなかったから、小説を読んでいく上で、まるで先入観はなかったし、支障もない。詠み終えてから、しばらくして、雑誌で、映画のスチルや細かいキャスティングを知って、納得したり驚いたり、と楽しませてもらった。   . . . 本文を読む
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『遊星からの物体X ファーストコンタクト』

2012-08-08 23:00:48 | 映画
 ジョン・カーペンター監督が今から30年前に撮った映画のリメイクである。だが、ただのリメイクではない。最近流行の前日譚というスタイルを取る。あの映画の始まる直前の出来事、である。宇宙からやってきていた「何物か」、と最初に出会う瞬間を描く、と言いながらも、話自体は同じで、結果的にはリメイクなのだ。  厳密に言えば、前作だってハワード・ホークス監督作品のリメイクだった。というか、このストーリー自体が . . . 本文を読む
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超人予備校『すぺどら』

2012-08-08 22:58:40 | 演劇
 今回の芝居はなんと、『アルマゲドン』に挑戦した作品。チラシにもそう書いてあったけど、本気で、そんなバカなことをするとは、思いもしなかった。だってあの映画って、おバカな映画の見本のような作品で、世界中からバカにされ、黙殺されたハリウッド大作である。今時、そんな映画、どこの誰が見るのか。忘れ去られた作品だ。ミツルギさんはそんな記憶のかなたに葬り去られた作品を発掘してきて光を当てる。  巨大な隕石が . . . 本文を読む
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コトリ会議『もうひとつは君のぶん』

2012-08-04 07:40:19 | 演劇
 第10回公演になる。記念すべき作品のはずなのに、作、演出の山本正典さんはまるでそんなこと気にも留めない。いつもどおりで、そっけない。彼のこの野心のなさと、力の抜け方が、好き。がんばらない、のだ。しかも、それは「がんばらないことを頑張る」という、時たまいるような勘違いではない。彼はきっと何も考えてない。ただ、想いのまま芝居を作っている。それって本能みたいなものか。でも、本能というような大仰なもので . . . 本文を読む
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『カメリア』

2012-08-04 07:13:27 | 映画
 大好きなプサンを舞台にした3話からなる、オムニバス映画だ。劇場公開時から見たいと、思っていたが例によって、すぐに公開が終了し、DVDを待つことになる。ようやく、である。  各エピソードには、何ら関連性はないが、愛をテーマにして、プサンの魅力を描きこむことが条件。後は自由にしてもよい。各エピソードの上映時間はけっこう長くて40分から50分の間くらいか。全体で2時間20分以上という長さは、この手の . . . 本文を読む
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沖方丁『天地明察』

2012-08-04 07:10:20 | その他
 最初はこれから何が始まるのか、なかなか明確にならないから、ちょっといらいらさせられた。悠々たるタッチで始まるこの500ページに及ぶ小説は、ポイントが定まらず、冗長なものにすら思えた。しかも数学とか天文学とか、碁の話で、時代劇という僕の苦手なもののオンパレード。話が見えないのは、腹立たしいというふうに思うくらい、最近の僕は余裕がないようだ。  大丈夫か、オレ。そんな心配も抱えながら、読み始めた。 . . . 本文を読む
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『臨場』

2012-08-01 19:54:36 | 映画
 もうこの映画を見てから2週間くらいが経つ。別に書くのを忘れていたわけではなく、ただ、なんとなく、気分が乗らなかったのだ。職人監督、橋本一が、ちゃんと仕事をこなしている。悪くはない出来だ。  だが、僕はこういう大仰な映画は好きではない。主人公の何様か、と思うような、自分勝手で、わがままな行動も鼻につく。TVなら許されるのかもしれないが、現実世界ではありえない。一匹狼を気取っているのかもしれないが . . . 本文を読む
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青山七恵『すみれ』

2012-08-01 19:44:49 | その他
 この中編小説のもの足りなさは、中途半端な長さのせいだけではなく、主人公の15歳の少女と37歳の同居人の関係性を曖昧にしたまま、話が最後まで行くからだ。ストーリーのメリハリを、敢えて追わないという作り方になっている。彼女たち2人の感情を理屈ではなく、揺れ動く感情のまま、不安定に捉える。  少女の両親は、自分たちの友人で自殺願望があり、身の置き場のない女性レミちゃんを同居させ、彼女の面倒を娘である . . . 本文を読む
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