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映画・演劇のレビュー

『ブラックナイトパレード』

2024-12-25 07:05:00 | 映画
『レッド・ワン』を見たついでにせっかくのクリスマスだからもう1本クリスマス映画を見ようということで、一昨年公開された福田雄一監督作品に白羽の矢を立てた。公開時には「こんな映画をよく作るな」と呆れてしまって、もちろん見る気はなかったけど、配信だしタダだからと調子に乗ってしまった。108分の浪費。わかっていてもついつい確認してしまう愚かな自分を笑うしかない。昨年見た『新解釈 三國志』のあまりのバカバカ . . . 本文を読む
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『レッド・ワン』

2024-12-25 03:04:00 | 映画
クリスマスイブの夜、暇なのでクリスマス映画でも見ることにした。今年の11月公開されたばかりの映画である。クリスマス映画がなぜ11月なんかに上映されるのか、と不思議に思ったが、その作品が早速このクリスマスシーズンを当てこんでAmazonプライム・ビデオで配信スタートしている。劇場公開は配信のための試写会状態である。ここ数日、盛んにTVスポットも入っていた。膨大な宣伝費用を投入して配信映画が公開される . . . 本文を読む
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松田いりの『ハイパーたいくつ』

2024-12-25 02:59:00 | その他
今年の文藝賞受賞作で角田光代が褒めているから読み始めたのだが、この手の作品は乗れない。ダラダラ書かれたどうでもいいことを読みながらイライラしてくる。だから何なんだ、と思う。真面目に働け,アホって感じ。お話はほぼない。妄想が炸裂してどんどん加速していく。会社に行きたくない。仕事したくない。チームリーダーは優しすぎるからウザい。どこまでお前はワガママなんだ、と腹立たしい。そうこうしているうちにさらに妄 . . . 本文を読む
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『推しの子 -The Final Act-』

2024-12-24 15:25:00 | 映画
配信されているドラマシリーズ全8話を受けた劇場版映画である。タイトルに『-The Final Act-』とあるようにこれが完結編。とはいえ映画単体では楽しめない作品っていいのか、とも思う。今の時代配信視聴を前提にして、というのはもう当たり前なんだけど。映画はお話の始まり部分を捕捉する。ドラマの第1話で敢えてカットした部分を見せることでお話のスタート地点を再確認するところから始まる。既にドラマを見て . . . 本文を読む
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千早茜『眠れない夜のために』

2024-12-24 08:27:00 | その他
10の短文小説。眠れない夜に何をどうするかを描く。深夜の台所。夜の街、森、廃墟と化した遊園地。眠り続ける妻。明日の引越しのためにダンボール詰めをする夜。眠れない夜には何故か雨が降る。10の断片は失われた記憶。こんなことがあったかもしれない。もうここにはいない人。ここにいるのに遠い人。たったひとりの静かな夜。寝静まる街。知らない誰かとふたり歩く。それは現実ではなく、夢かもしれない。おぼろげな記憶は一 . . . 本文を読む
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山田詠美『もの想う時、ものを書く』

2024-12-24 08:25:00 | その他
山田詠美のエッセイ集。これは2000年代に各紙誌で発表されたエッセイ、文庫解説、芥川賞選評を一冊にした本。あらゆるジャンルをタイプ別に網羅している大部な一冊。最初はウォーミングアップも兼ねた膨大な量の短いエッセイの集大成。新聞に載っていた短文を一気に読む。楽しい。そこからは確かに山田詠美って人、その人柄さえもがしっかりと伝わってくる、気がする。彼女の書く文章は彼女その人。次に亡くなられた方たちへの . . . 本文を読む
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『太陽と桃の歌』

2024-12-23 22:20:00 | 映画
これはある大家族の物語。変わりゆく世界の中で変わらないままを望むのは難しいことなのだろうか。新しいことが正しいわけではない。だけど、古いものに固執していても前には進めない。冒頭の子どもたちの遊ぶ姿を見てこれはきっと傑作に違いないと思った。打ち捨てられた廃車の中で3人はドライブする。いやなんか敵と戦っているみたい。リーダーの少女と少し歳下の双子の男の子たち。カメラは狭い車から出ない。フレームの外に出 . . . 本文を読む
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『お坊さんと鉄砲』

2024-12-23 17:38:00 | 映画
今年になってようやくパオ・チョニン・ドルジ監督のデビュー作『ブータン 山の教室』を見た。こんな凄い映画だとは思いもしなかったから驚いた。見る前はただの甘い映画だとたかを括っていたのだ。このまさかの傑作を劇場で見逃していた不覚を恥じた。だから今回は是非とも劇場で見る。今回もまた温かい映画である。だが前作同様、ただのハートウォーミングではない。ブータンの民主化は、王さま自らの提案で始まった。2006年 . . . 本文を読む
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覇王樹座『最後はハッピーエンドで』

2024-12-22 17:50:00 | 演劇
これで2年連続で年末に覇王樹座の学外公演を見ることになった。学生劇団だが、いつも気合いの入った芝居を作っているから、これを見ることが最近の年末恒例行事になっている。開演前に映画の予告編が10分くらい流れる。(もちろんオリジナルの架空作品だ。たぶん。僕はほぼ開場時間に入ったから2回も見ることになった)これは映画作りを巡るお話である。上演時間は100分。最初の前説では90分と聞いていたが、10分長い。 . . . 本文を読む
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近畿大学文芸舞台芸術専攻35期笠井組『友達』

2024-12-22 09:46:00 | 演劇
先日の『裸に勾玉』に続いて今期2本目の近大生の実習作品。エイチエムピーシアターの笠井さんの指導により安部公房作品に挑むのだが、これはいささか厳しい仕上がりになった。まず作品自体が古くなっている。今こんな話では驚かない。この喜劇を成立させるには役者たちにかなりの力量がなくては不可能である。しかもアンサンブルプレーだから、ひとりふたりで引っ張っていくわけにも行かない。これは個性的な面々がまさかの話にリ . . . 本文を読む
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小手鞠るい『晴れ、ときどき雪』

2024-12-22 05:31:00 | その他
小手鞠さんのかわいいラブストーリー。ジャンルとしてはYA小説になる。児童書から大人の恋愛小説までありとあらゆるジャンルの小説を手掛ける彼女は自由自在。次から次へと作品を量産できる。今回は10代の男女による5つの恋愛小説。それにしてもこんな小説を誰が読むのかな、(僕は読むけど)て思う。大人ではなく中高生をターゲットにしているはずだけど、今時の彼らは本を読まない。しかもこんなかわいいお話である。男の子 . . . 本文を読む
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劇団 太陽族『迷宮巡礼』

2024-12-21 14:52:00 | 演劇
今年は太陽族の芝居を3本とも見たことになる。ここ数年はあまり見れてなかったけど、久々に見た岩崎さんの2本の芝居は以前といささか趣きを異にする。だから今回もぜひ見たいと思った。認知症、介護を取り上げて岩崎さんがどういう切り口を見せるのか、気になった。社会派劇団として広い世界から今ある現実社会と向き合うのではなく、あくまでも個人的な問題に止める。しかも普遍にはしない。世界を広げない。それどころか閉ざす . . . 本文を読む
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桜木紫乃『青い絵本』

2024-12-21 07:06:00 | その他
最初の『卒婚式』がいい。こんな淋しさを抱えて生きていくのか。夫は、自分はまるで妻のことなんか考えもせずに生きてきたのか、と初めて知る。豪華列車「ななつ星」の旅は結果的に卒婚式になる。妻が切り出しことを知っていたけど、何も言わなかった。自分が信じたまま生きてきた。自分勝手な40年間。結婚から30年。子どもも手を離れて夫の両親も看取った。これからは自分の人生を生きることにする。そんな妻の決意を受け止め . . . 本文を読む
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中島京子『坂の中のまち』

2024-12-21 05:18:00 | その他
最初はあまり乗れなかった。短編連作かと思ったら6話からなる長編小説。富山から出てきた女の子、坂中真智(坂の中のまち)の大学生活が描かれる。東京に出て来た彼女は祖母の親友の家に下宿する。祖母の親友である志桜里さんは実は本当の祖母だった、という衝撃の展開がさりげなく提示される。第1話で。志桜里さんが産んだ子どもを祖母夫婦が引き取って自分の子として育てたから。こんなまさかの話から始まり、坂のまちを舞台に . . . 本文を読む
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清水晴木『天国映画館』

2024-12-20 00:17:00 | その他
天国にやって来た死者がここで自分の人生を描いた映画を見ることで新しい世界に旅立つことが出来るという設定。天国映画館は単館系のミニシアター。ここの支配人である秋山のもとで見習いをすることになった青年、小野田くんの物語。5話からなる。記憶を失った彼がここでの触れ合いを通して無くしたものを取り戻すまでのお話。各話には映画のタイトルがつけられている。もちろんその映画にまつわるエピソードも。取り上げた作品は . . . 本文を読む
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