王侯貴族の食後酒ではなく、労働者のための食後酒はグラッパ。
グラッパはワインを作った後の絞り粕を蒸留したイタリアのブランデー。
高級ワインは一番搾りの美味しいところだけ使うが、まだ絞ればエキスを得られる。
それを活用して作られたお酒がグラッパの始まり。
ワイナリーの労働者が自分たちでは飲めない高級ワインの変わりに、バールでこのグラッパをクイッと一杯やって疲れをとっていた。
また、グラッパを食事の締めくくりに飲むと、胃が刺激され消化を促し、すっきりとする。
さらに、冬の寒い日などは、体を温めてくれる。
労働者や庶民の知恵とも云える食後酒である。
そのグラッパも今では、すっかりおしゃれなお酒になってしまった。
イタリア料理の締めくくりとして、エスプレッソと一緒にいただくおしゃれなお酒になった。
今では、イタリアのワイン・メーカーごとにグラッパを作っているとも云えて、メーカーの数だけグラッパはあると云っても良いようだ。
労働者の特権は取りあげられ、そのメーカーのブランド力を示す地位のお酒になっている。
コニャックのように樽熟させるものもある。
一本一万円以上とかはざらにあり、とても労働者のお酒とは云えない。
クアトロで、樽熟をしない庶民向けのプロセッコから造るグラッパを、食事の締めくくりにいかがだろう。