長いテーブルの両端に座る男が二人。領土をどう分け合うか食事をしながら相談をしている。話が平行線になった時、片方の男が給仕にキッシュを持ってくるように指示する。するとその男がテーブルナイフを落とした。男はテーブルナイフを拾うためにテーブルの下にもぐる。テーブルの下にはピストルが隠されてあった。テーブルの下から向かいの男の胸を撃ち抜いた。
キッシュは暗殺の合図だったのだ。
その後食事のマナーとして、落としたテーブルナイフやフォークは自分で拾ってはならないということになる。
クアトロでも利害の絡む人と食事中に、キッシュが運ばれてきた時、テーブルナイフを相手が落としたら、すぐにクアトロの父を呼ぼう。クアトロの父が落としたテーブルナイフを拾います。
今日は、キッシュがメニューに無いので、安心してクアトロで食事が出来ます。
今年は台風が少なくリンゴが豊作だという。豊作だと値崩れがして生産者はがっかりだというのだから矛盾した話である。せっかく豊作のリンゴなのだから、色々と工夫して食べたいものである。
クアトロでこのところ評判のデザートに“焼きリンゴ/アイスクリーム添え¥600”がある。昨年の今頃にクアトロのママがお客様のリクエストに応えてお出ししたメニューなのだが、以来そのお客様は一年中焼きリンゴをクアトロで食べている。しかし、焼きリンゴが美味しいのは今の季節だろう。
酸味の強い紅玉のようなリンゴを縦半分に割り、芯を刳り抜き、その窪みにバターとブランデーとグラニューを加え、オーブンで15分から20分焼き、熱々のうちにたっぷりのアイスクリームを乗せる。寒くなってきたこの時期にはたまらない美味しさである。
運ばれてきた焼きリンゴはナイフとフォークでアイスクリームがとろりと溶けたところを熱々のリンゴに乗せて食べよう。アイスクリームだけを食べてはならないのだ。
この焼きリンゴを目的に来店する場合は、事前に予約するか、焼きリンゴ好きのお客様が来店しているか問い合わせることをお勧めする。
尚、焼きリンゴにクリスマス・リースは付いてこない。
※このクリスマス・リースはクアトロのお客様が作ってくれた。ワインのコルクを上手に使っている。クアトロによく似合うクリスマス・リースだ。とても嬉しいいただきものだった。さて、クアトロはクリスマス・コースとロースト・チキン(お持ち帰り)のご予約も承り中である。
東京を襲った直下型大地震。
新橋駅の地下から音が聞こえる。
ガーン、ガーン・・・
「2・5・2 生存者あり!」
豊四季を襲った寒波。
クアトロ・スタジオーネから音が聞こえる。
ガーン、ガーン・・・
「えーと、空席ありの信号はなんだったろう」
三連休に向けて美味しいものを用意したクアトロだが、寒波の影響かヒマそうである。
地中海産本マグロの中トロ。
福島産マコガレイ、山形産サワラ、勝浦産本カワハギ、常磐産アンコウなどの魚介。
ハズレだと云っておいても試して欲しいボージョレ・ヌーヴォー。
大当たりだと思うイタリアのノヴェッロ。
新しくなったパルミジャーノにスペイン産生ハム・ハモンセラーノ。
ガーン、ガーン・・・
ともかく救助信号を打つクアトロの父だ。
「パルミ5世とかパルミ6世とか、歴史に疎くて解らないのですけど」
パルミ5世とは、クアトロが開店以来使ったパルミジャーノ・レッジャーノの半月型のかたまりの5代目ということである。世界史を調べても登場しないのである。
「このパルミのかたまりはどこまで食べられるの」
「最後はどうなるの」
よく聞かれる質問である。
「最後は皮の部分を除いて粉にして料理に使います」
というのが答えである。
パルミ5世は役目を終え引退することになった。先日、クアトロの父によってノコギリで解体された。写真は半分に切った段階のものだ。外側はワックスが塗ってある。その皮の部分を取り除きフードプロセッサーにかけて粉末状態にして、パルミは料理に使われるのである。
パルミ6世も、まだ浅い穴の中でパルミ・ペンネとパルミ・リゾットの仕上げを始めました。
新酒とともに、パルミを使った料理が美味しいクアトロなのであります。