○ワルター指揮コロムビア交響楽団(CBSsony)CD
なるほど整えられた演奏で生気が薄く(リズムどりがいいので無いとは言わない)録音も当時最高峰のステレオとはいえ、今の耳からすると少し聴き劣りがするくぐもったところもある。安定した解釈はライヴ性がなく完全に地に足をつけたものではある。しかし音響を現代的に整えることなくごちゃっと押し通すところもあり(もちろんかつてのライヴ録音に比べればかなりきちんと整理された響きも多いのだが)、根底にはやはり古い管弦楽の演奏様式があるように思う。いわゆる録音用の混成楽団ならではの求心力の無さは2楽章の舞曲で弦が崩壊スレスレにまで至ってしまうところに象徴的に聴かれるが、晩年のワルターの非常に落ち着いたテンポ設定と割合と隈取の濃いリズム表現の間で若干奏者が戸惑った結果と聴くこともできる。悪い部分ばかり書いたが、これは「安心して聴けるマーラー」であり、ファーストチョイスにも向いているとさえ言える。ブーレーズに同時代性のなせる臭気を加えたような演奏、とでも書いたほうが適切なのかもしれない。○。
※2006-12-20 18:15:18の記事です
なるほど整えられた演奏で生気が薄く(リズムどりがいいので無いとは言わない)録音も当時最高峰のステレオとはいえ、今の耳からすると少し聴き劣りがするくぐもったところもある。安定した解釈はライヴ性がなく完全に地に足をつけたものではある。しかし音響を現代的に整えることなくごちゃっと押し通すところもあり(もちろんかつてのライヴ録音に比べればかなりきちんと整理された響きも多いのだが)、根底にはやはり古い管弦楽の演奏様式があるように思う。いわゆる録音用の混成楽団ならではの求心力の無さは2楽章の舞曲で弦が崩壊スレスレにまで至ってしまうところに象徴的に聴かれるが、晩年のワルターの非常に落ち着いたテンポ設定と割合と隈取の濃いリズム表現の間で若干奏者が戸惑った結果と聴くこともできる。悪い部分ばかり書いたが、これは「安心して聴けるマーラー」であり、ファーストチョイスにも向いているとさえ言える。ブーレーズに同時代性のなせる臭気を加えたような演奏、とでも書いたほうが適切なのかもしれない。○。
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