○ブルガリア弦楽四重奏団(harmonia mundhi)LP
落ち着いた比較的精緻な演奏で硬質な響きを整えた「安心して聞ける演奏」になっている。若い感じがするし決して技術的瑕疵が皆無ではないが、ショスタコの室内楽という、各楽器に独立した高度な技巧を要求する難関の導入口にあたるこの曲においては、やむない部分も多いとも思うのでトータルの聴感で○をつけておく。スケルツォの3楽章がショスタコらしさの最も表われた一つの要になっているがそこは非常に巧くやっており、第二主題のワルツを殊更に煽り立てることなくやっているのが現代風でショスタコぽさを感じさせていい。この曲は伝統的な弦楽四重奏曲の構造や要素を踏襲しながらも、極限まで装飾的な表現・音を削ぎ落とした極めて凝縮されなおかつ「必要な音しかない」曲となっており、ヘタするとたった二本の楽器の「不協和な和声進行」で、しかし確かに「旋律音楽」を進めなければならないような「かなり緊張を要求する」ものだ。そういったことを考えるとこの団体のやや生硬な終楽章などもしょうがないのかもしれない。いや、1、3楽章は素晴らしいし、耽溺しないが旋律の哀愁はほのかに香り続ける2楽章などもうまくできている。
落ち着いた比較的精緻な演奏で硬質な響きを整えた「安心して聞ける演奏」になっている。若い感じがするし決して技術的瑕疵が皆無ではないが、ショスタコの室内楽という、各楽器に独立した高度な技巧を要求する難関の導入口にあたるこの曲においては、やむない部分も多いとも思うのでトータルの聴感で○をつけておく。スケルツォの3楽章がショスタコらしさの最も表われた一つの要になっているがそこは非常に巧くやっており、第二主題のワルツを殊更に煽り立てることなくやっているのが現代風でショスタコぽさを感じさせていい。この曲は伝統的な弦楽四重奏曲の構造や要素を踏襲しながらも、極限まで装飾的な表現・音を削ぎ落とした極めて凝縮されなおかつ「必要な音しかない」曲となっており、ヘタするとたった二本の楽器の「不協和な和声進行」で、しかし確かに「旋律音楽」を進めなければならないような「かなり緊張を要求する」ものだ。そういったことを考えるとこの団体のやや生硬な終楽章などもしょうがないのかもしれない。いや、1、3楽章は素晴らしいし、耽溺しないが旋律の哀愁はほのかに香り続ける2楽章などもうまくできている。