湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ヴォーン・ウィリアムズ:オックスフォード哀歌

2018年12月01日 | ヴォーン・ウィリアムズ
ウェストブルック(ナレーション)ウィルコックス指揮ジャック管弦楽団他(EMI)

CDは抜粋としてコンピレーション・アルバムに収録されたことがある。ヴォーン・ウィリアムズの中でも秘曲の位置づけで(録音は比較的ある)音響的には「野の花」によく似ている。しばらくは無歌詞合唱が音楽をリードし、暗くも異界的な雰囲気が保たれる。しかしこれは戦後作品であり、ナレーションが入ると(野の花のヴィオラソロとは違い)詩文の内容を明確に伝えてくる。さらに合唱に歌詞が入ってくる。まったくオペラティックに主張する(構想的に歌劇にしようとしていたのはよくわかる)。そうなると野の花の幻想は失われ、南極交響曲の即物的神秘に近づいてくる。ホルスト、さらにはウォルトンを思わせる。かつての作風が持ち合わせなかった音響的な冒険は音楽を立体的にする反面、冷たく突き放したような職人性が気になる。今ひとつ刺さってこない。この曲が評価されないのはそのあたり作風が安定しないところにあるとも思うが、詩文あっての作品なので、あくまでオーケストラや合唱は伴奏なのである。演奏はリアル感がある。それは後期ヴォーン・ウィリアムズには向くが。。
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ヴォーン・ウィリアムズ:チェ... | TOP | ラヴェル:ピアノ協奏曲 »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | ヴォーン・ウィリアムズ