湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第8番

2016年08月27日 | ヴォーン・ウィリアムズ
○ボールト指揮LPO(ica/Ideale Audience Int.)1972/12/12ロイヤルフェスティバルホールlive(10/12?、10/18?)・DVD/BD

同曲の映像は貴重だろう。例え事故が多く録音バランスもカメラのスイッチングも良くなかったとしても。最晩年のボールトが矍鑠と、長い指揮棒でわりと細かいことをせずに、大きくリズムを割っていくさまは、それが楽団に落とされるとき威厳と鈍重の表裏をよく表している。ヴォーン・ウィリアムズ後期のオーケストレーション、裏でうごめく内声や突然喚くブラスにわけわからなさを感じていたに違いない、と一楽章の凝縮力のないアンサンブル(曲のせいもあるのだ!)や二楽章のまったく野暮ったいテンポや響きに想いを馳せる。一方、三楽章のような横の流れで聴かせるところ、一楽章での木管と弦による緩徐主題の美しい流れはさすが、低音部をしっかり響かせながら感傷的に聴かせる。まあ、一楽章、三楽章ともいささかさっさと早すぎるところがあり、ボールトが普通の指揮者のようにどんどん遅くなっていく「衰える指揮者」ではなかったというドキュメントにもなっている。冒頭から音程に不安もあり、楽団は音色はいいのだが不安定さもはらみ、見た目も結構堅く、それはなんとなくドガジャンで始まる四楽章でも不安を残す。素直でない晩年RVWの書法はボールトには余り好みではなかったのではないかとも想像される。適切な響きは出ているが今ひとつワクワク感がない。ラストはさすがに華やかに盛り上がるが。。ボールト得意の「ヨブ」とのカップリング。むしろヨブがメインというのは面白い。

なお、inta glioのCDならびにica直販DVDの記載データは10/12、Ideale Audience Int.がEMIアーカイブDVDを集成してBD化した中(弦楽器篇)に収録されている映像は10/18というデータが付記されているが、いずれも同じものであるとのこと。
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