アンゲルブレシュト指揮ORTF、ガロン(語)ミショー(sp)他(SLS)1964/2/18live
本来なら五時間かかる曲だが、あまりに長々しく、管弦楽のみによる共同作業者カプレが編んだ交響的断章か、アンゲルブレシュトが編集した「オラトリオ版」が使われる。一時間半弱である。これは当然後者による。切り詰められたといっても語りが長く、フランス語のわからない者にはかなり忍耐を強いられる。音楽全般の印象はダイナミックであり、繊細な和声の部分より雄弁なメロディや派手なオーケストラが目立つ。だがそれはやはり声楽を伴うから、そういう音楽になるのだろう。曖昧な声楽など存在しないのである。語りや台詞をバッサリカットしたらさぞカッコいいだろうと思う。交響的断章は短すぎる。ドビュッシーは案外くどいこともある(ミニマル風でもなく)、アンゲルブレシュトはドビュッシーのオーソリティとして、これでも上手くハイライトをまとめたのだろう。演奏はアンゲルブレシュトがよくやる透明で客観的なスタイルではなく、適度に激しさを演じさせ、手練たところをみせる。精度はけっして落ちないが、良好な録音がたまに撚れるのは非常に気になる。モノラル。