スヴェトラーノフ指揮スウェーデン放送交響楽団(WEITBLICK)1979/1/28live・CD
録音年が79年ときいて驚いてしまったのだが、弱音に細心の注意が払われ、繊細な音響志向はドビュッシーだからということもあるが後年のスヴェトラーノフの志向そのもので、すでにこういう「バタ臭い」演奏を志向していたのか、という思いと、なら早くにもっと外で活躍できればよかったのに、と残念に思う。しんとした空間を作り上げるさいに、確かに後年ならもっと音をきれいになめして、必要以上に時間をかけて空間音楽的なものを作ろうとしたろうが、そのぶん音楽的なバランスはよい。ドビュッシーがこの曲でこころみた立体感をよくくみ取っている。ミュンシュよりドビュッシー的と言い切ってしまおう。おとなしく小さくまとまってしまうオケは、スヴェトラの魅力を全部すくいとるようにはいっていないが、緩急の急はそれなりにつき、派手に打楽器を打ち鳴らし剥き出しの管楽器は違和感ぎりぎりまで太く吹かせるところはロシアオケとの演奏を思い出させる。録音がやや丸みを帯びて茫洋としており、末尾の打ち鳴らしがすこしはっきりしないのは惜しいが、いや、立派な「海交響曲」である。