キュロニアン・スピッツはリトアニアとロシアを結ぶ細長い砂丘でクライペダの港からフェリーで渡り、2車線道路をロシアの国境近くの町ナダ(Nada)まで行けるとキャンプサイトで聞いた。
早速港へ急ぎ、フェリー料金30ポンド近くを払い、ピストン運転しているフェリーに乗った。スピッツの内側クルシュ・マリオス(Kursiu Marios)は相当大きな内海で港のクレーンが林立している。時々巨大なタンカーや豪華客船が目の前を横切ってゆく。ここはリトアニアだけでなく、ロシアの船もクライペダの港からしか通ることが出来ない。
地図で見た限りでは細長い土地に道路が一本通っているだけの天の橋立のようなところを想像した。少し走ると自然公園入場料として20ポンド近くを徴収された。
道はまっすぐで回りは両側とも松林。カーナヴィをつけていないと両側が海に囲まれた細長い土地などとは絶対に思えない。砂丘などどこにも見えない。これでは今まで何百キロも走ったバルティック3国のどことも変わらない。
港から50kmのロシアの国境近くのナダの町は、昔はわびしい漁師町で、採った魚を燻製にしていたらしい。最近では観光が一番の収益、町は新しくきれいで、観光客がごった返している。ここはサイクリングか観光バスで来るのが一番らしい。何しろ車を駐車する場所が無い。ナダの町は一回りしたが、一度も下車することなく、あきらめてもと来た道を引き返した。
途中の松林の中にわき道があったから何が何でもと思って行って見た。この日は30度近くの暑い日で砂丘の向こうは海水浴客でいっぱいだった。なんだか拍子抜けで、あまりに自分の描いたイメージとかけ離れていてがっかりした。
途中の林の上に黒い鳥の集団を見つけ止まったところは,リトアニア最大の鵜と鷺の繁殖地で高さ10メートル以上の高い松の木のこずえに巣つくりしている。周囲は魚臭い匂いと鵜の鳴き声がものすごい。それにしても足に水かきを持つ鵜が木のてっぺんに巣作りするとは今まで知らなかった。見渡す限り一体何千羽の鵜がいたものか。これだけがスピッツでの驚いたこと。
このスピッツにはほかに3箇所の町があり、どこもきれいに装飾された素敵な建物が並んでいる。そして止まった町の駐車場の海岸の水が緑のどぶのようで興ざめ。ここは世界遺産に登録されている。ここの砂丘は一年に一メータ位づつ動いているという。