りきる徒然草。

のんびり。ゆっくり。
「なるようになるさ」で生きてる男の徒然日記。

りきるアーカイブス〈2〉/ホーム・スウィート・ホーム

2011-05-19 | Weblog
僕が電子書籍にアップロードしている小説は、すべて短編小説だけなんです。

それは、まだ電子書籍自体が今は黎明期だし、ダウンロードして購読してくださった
方々も、パソコンやスマートフォンやipadでガッツリ読む・・・というよりも、
おそらく時間つぶし程度の感覚なんじゃないか、と思ったから。
それに僕自身、まだ長編小説を書くだけの力がないしね(笑)

この「ホーム・スウィート・ホーム」は、そんな僕の短編小説の中でも、最も短い作品
ではないかと思います。
短編小説を2本だけを収めた作品です。

コンセプトは、「家族」ですね。

それも特別な家族ではなく、どこにでもあるような普通の30代~40代・・・ちょうど
僕の年齢(41歳)くらいの男女が営む家族の日常の断片を切り取った物語。

上述したとおり、2つの物語が収められているけど、その毛色はまったく違いますね。

1本目の「今宵、ワインで。」は、ほとんどギャグとジョークで組み立てたような
エッセイに近いスタイル。
自分自身で読んでみても“よくも、まぁ、こんなに面白おかしく書けたよなぁ”と思わず
自画自賛してしまった(笑)

2本目の「桃の香り」は、一転して真面目な物語で。
これは、実話をベースにした小説なんです。
数年前に、保育所から高校まで一緒だった幼友達が病気で亡くなってしまって・・・。
それまでにも、亡くなった同級生は何人かいたんですが、彼らはみんな交通事故とか
自殺とか、まぁ、そんな亡くなり方だったんですね。
暴論かもしれないですけど、僕は事故死や自殺は、仕方がないと思ってるんです。
事故で亡くなるのは、たまたまた運が悪かったのかもしれないし、自殺にしても、
その行為自体はその人自身が決めたことだし・・・。
どちらにしても、上述した亡くなり方は、亡くなるその直前まで元気だったことには
変わりがないわけですよ。

でも、病気は違う。

「病気」という言葉を、強引に別の言葉を換えれば、それは「寿命」という言葉に
なると思うんです。
その幼友達が亡くなったのは、僕らがまだ40歳になる直前だったと思います。
“40歳で寿命を迎えるなんて・・・ウソだろ?そんなことがあってもいいのかよ?”
幼友達の死が僕の耳に伝わって来た時、そんなどうしようもなく解せない気持ちが
僕の中でずっと渦巻いてて・・・。その気持ちは、今でもずっと胸の中にあります。

でもそれと同時に、確実に僕らは老いに向かいつつあるんだ、人生の“分水嶺”とでも
いうべき峠を越えたんだ、いうことも教えられましたね。彼の死によって。

彼とは、保育所から高校まで同じ学び舎に通ったけど、格別に仲が良かったわけでは
なかった。だから“友達”という言葉は使うことを、どうしても躊躇してしまいます。
こうなってから、さも親しかったように語るのは、それこそ故人に対して失礼ですから。

だから・・・というわけではないですが、この小説を書くことによって、同じ空気、
同じ風景、同じ町の中で生まれ育った彼に対して、僕なりの供養ができたら・・・と
思って書いた小説でもあります。

2つのまったく違うタイプの小説をおさめているのは、これはもう、完全に意図的です。
コメディタッチの小説とシリアスな小説をひとつの作品として発表することによって、
“北原りきる”というアマチュア作家の書く作品のスキルや方向性が、簡潔かつ明確に
分かってもらえると思ったから。
ある意味、この作品は、名刺代わりのような作品だと思っています。

だから、電子書籍サイトで発表していますが、この作品は無料で読むことができます。
できれば、まずこの作品を、僕からの挨拶代わりに、みなさんに読んでいただければ光栄です。

そうそう、これは余談ですが、昨秋、地元のテレビ局に“電子書籍で活動する作家”として
取材されたんです。
後日その放送を視たら、僕が書いた作品としてテレビ画面に映っていたのが、この作品
だったんですよ。
不思議でしたねぇ。自分の作品がテレビに映っているのを視る感覚って。
もっとも、それよりももっと不思議だったのは、テレビに映ってインタビューに答えて
いる自分自身でしたが(笑)

●「ホーム・スウィート・ホーム」の電子書籍サイト→→http://wook.jp/book/detail.html?id=207883

☆上述したその物珍しい映像を視たい方は、
YOU TUBEで「電子書籍の個人出版のテレビ」で検索してくださいませ。
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