りきる徒然草。

のんびり。ゆっくり。
「なるようになるさ」で生きてる男の徒然日記。

りきるアーカイブス〈9〉/四〇六号室

2011-07-22 | Weblog
人間も40歳を越えると、自分の内外にいろんな変化が否応に
起こりはじめるんですね。

自分自身で言えば、色々と物事を考える力や引き出しが増えた
けど、その一方で体力が落ちはじめたことを痛感したりとか(笑)
肩こりや腰痛も持病のようになるし、あと、老眼の足音も近付き
つつあることも感じはじめたり。

周りを見回しても、友達の中には、起業したり親の後を継いで
会社の社長になったヤツもいれば、40歳を過ぎても無職のヤツも
いるし、家庭が破たんしたヤツがいれば、不条理な借金を背負い
こんだヤツもいるし、心や身体が壊れたヤツがいれば、すでに
亡くなってしまったヤツもいますしね・・・。

良し悪しにつけて、人生の苦みが少しずつ口の中に広がりはじめてる
ことを実感しながら日々を過ごしている・・・そんな感じがするんです。

そういった30代後半から40代にかけての人間模様を書いた作品と
しては、以前にもこのブログで紹介した「中古家族」という小説が
あるんですが、この「四〇六号室」は、そんな人生のど真ん中の
世代を、もっとクローズアップさせた作品だと自分では思っています。

クローズアップさせた・・・といっても、40代、いわゆる“アラフォー
世代”の辛さや酷さをこれでもかこれでもか、と書いたわけではなく(笑)、
今読み返しても、文体や構成が、それまでの作品と違って客観的で、
淡々と物語が進んでゆく、自分で言うのもなんですが、不思議な作品に
なってますね。
その要因は何なのか自分自身ではハッキリとは分かりませんが、その
ひとつに、物語の中での主人公とタイトルにもなった「四〇六号室」
との関係があることは確かだと思います。
こんな物語の作り方は、初めてでした。
新しい書き方を会得したからか、執筆中は、自分でも興奮してましたね(笑)

「四〇六号室」というのは、実は僕が学生時代に過ごしたアパートの
部屋の番号なんです。
この小説の中にも20歳の頃の主人公のエピソードが出てくるけど、その
空気や20歳の頃に僕が思っていた心情は、作品の文中で主人公が吐露した
心情そのままだったと思います。

“命の重さは、今よりはるかに軽かった”という挑発的な言葉を書いてますが、
僕は本当にそう思います。
命の重さは、若い頃の方が絶対的に軽い。それは良い意味でも悪い意味でも。
だからこそ、30代40代50代・・・と、時間を重ねるに連れて人生の苦みは口の
中に広がり続けるし、それに対して折り合いをつけて生きてゆく知恵もまた、
増えていくのだと思う。

この小説は、今年の6月に上梓した、僕の作品の中では最も新しい作品ですが、
この2ヶ月間、僕が発表した10作品の中で、アクセス数を常に1位か2位をキープし
続けています。
作品を発表するごとに、ヘビーな作品になりつつある中で、おそらく最もヘビー
かも知れないこの作品が、常に上位に位置していてくれることは素直にありがたいし、
嬉しく思っています。

上梓した時の日記にも書きましたが、この作品の装丁も僕がデザインしたんですが、
ものすごく気に入ってるんですよ。
この小説が持つ、独特の空気感を上手く表現できたような気がしてます。
いやぁ、我ながらよく創ったなって、自分で自分を褒めてあげたいです(笑)

「四〇六号室」の電子書籍サイト→http://wook.jp/book/detail.html?id=211874
コメント
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