rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

グダンスク=グダニスク=ダンツィヒ

2010-11-06 18:50:16 | 本たち
「にじいろジーン」地球まるごと見聞録で、グダンスクを取り上げていた。
遅い朝食時、何気なくかけたテレビに映し出されたレストランの料理が、食いつくきっかけとなった。
レンガで造られた建造物が目立つ、赤褐色の印象の街。
バルト海に面して、運河が街に変化を与えている。

この街は、以前ダンツィヒといわれていた。
作家ギュンター・グラスの故郷だ。
映画化された「ブリキの太鼓」が、知名度が高い。
また、銅版画で北方的な密度の高い作品を作る。
本も版画も、ギュンター・グラスの強烈な個性が凝縮した、この地方特産の琥珀(針葉樹の樹液が、何万年もかけて固まった)のようだ。

ギュンター・グラスの本は、なかなかお目にかかれない。
安価でコンパクトな文庫になっているのは、「ブリキの太鼓」と「猫と鼠」くらいしか知らない。
今また読み直してみるのに、年を重ねて味わえるものがあるから、本棚から引っ張り出してみようか。







アドリア海の真珠ードブロブニク

2010-11-06 00:41:50 | 街たち
《世界ふれあい街歩き》、旧ユーゴスラビア、現クロアチアのドブロブニクを見た。
外界を完全シャットアウトし、画面に映し出される光景に、没頭する45分だった。

ここは、20年前からずっと憧れていたところ。
入り組んだ細い路地(路地の魅力は小悪魔的だ!!)、どこまでも続く階段、乾いた石造りの壁、そこに穿たれた窓たち。
白っぽい城壁、オレンジがかったテラコッタの屋根、碧い海、街を包み込む緑の山木。
何代にも亘り受け継がれ意識された美が、この街を造っている。

ただ、この美しさにうっかりと見落とされてしまう、深い闇の過去がある。
ユーゴスラビアが解体した、民族・宗教によって引き起こされた痛ましい内戦だ。

長い歴史の中で、民族や宗教・言語・習慣の違いで生まれた軋轢が、多くの争いを起こした。
“平和”を好まない人はいない。
第二次世界大戦後、つかの間の“平和”を享受した。
しかし、過去の遺恨を忘れ、さまざまな違いを容認しあい平和を保つのは、困難だったのだろう。
血で血を洗う陰惨な争いが起きてしまった。

今では外部からの力添えが加わって、内戦は終息しているようだが、戦いと犠牲に疲れ、しばし休息しているのかもしれない。

些細なことの積み重ねが埋めがたい溝を作るのは、経験で知っていることだ。
異民族が流入する多民族国家が抱える問題は、根深く、なかなか解決しがたそうだ。
他国の内戦が、対岸の火事でいるように思っていられるのは、そう長く続かなくなりそうな…

美しいドブロブニクを見ていると、人々が抱く負の念の骸を埋葬する美しく装飾された棺のように思えてくる。
それらをを弔いながら、この街を訪ね歩きたい。