3日間旅行に出かけていた。
晩秋の那須は、枯葉がひたすら舞い落ち続け、暖炉に燃え立つ炎が冬の気配をくっきり照らし出す。
昨日の昼ごろから、予報どおりの雨になり、一晩中降り続いた。
今日の昼近く、どうにか雨は止み、予定していたりんご狩りに向かう。
那須から低い土地へ下っていくと、まだ木々は鮮やかに色づいて目を楽しませてくれた。
新緑の頃と紅葉の季節は、山や里が美しく多彩で、自然の豊かさに心が癒される。
一本の木に、一枚の葉に、なんと幅のあるグラデーションがかけられていることか!
自然のパレットに、及ぶべくもない自分の力量・・・
車窓から眺める景色に、感嘆の声を上げていると、あっという間に目的地に着いた。
「りんご狩り」は、初めての体験。
こんなものだろうと簡単に想像できるが、実際たわわに赤い実が鈴生りになってぶら下がる様を見ると、単純に体の内側から感動が湧き出てくる。
その存在感は、圧倒的強さを持っている。
りんごの木が立ち並ぶ園内を、ひたすら歩き回り、おもむろに写真を撮り続けた。
ここでも色が、満ち溢れ輝いている。
まるでクリムトの風景画のようだ。
自分が本来の目的を忘れ、無我夢中でりんごの美しさに酔いしれている間、皆は忘れることなく丸々と大きな赤いりんごを収穫していた。
もぎりたてのりんごは、瑞々しく甘くさわやかな果汁をたっぷりと含んで、食べた瞬間にその命が自分の体に染み渡るのを感じたのは、気のせいだろうか。
そして、自分もりんごの木を育てたいと、一瞬思ったが、土地柄不適切だったと、すぐさま諦めたのであった。
柚子がなっているだけでも、目と口を楽しませてもらっていくことに感謝。