小さい人が、階段の壁に飾った烏瓜。
家の周りを散歩していて、雑木林に綺麗な朱赤を見つけた、その烏瓜だ。
小さい人は、その素晴らしい収穫物を、何処かに飾りたいと言った。
やはり去年に、小さい人が山椒の実を付けた枝を飾った竹篭が、そのまま壁にぶら下がっていた。
>階段の壁にぶら下がっている竹篭に、飾ったらどう?
小さい人は、しばらく烏瓜と格闘していた。
>できたよ~ ねえ、見てよぉ。
階段を下りかけたとき、カメラがないのに気づき、取りに戻る。
なかなか良い出来栄えだった。
これは、写すべき作品。
小さい人は、満足気に、写真を写す様子を見守っていた。
暮らしを飾るのに、特別なものを買ってこなくても、充分に楽しめるものが身の回りの自然にある。
ものが持っている控えめな美しさを感じ取れる心があれば、自ずと暮らしに彩を添えることができよう。
小さい人は、いわゆる雑草も素敵な花束にアレンジできる、そんな先入観なくもの本来の美しさを見出せるよう、見習いたいと思った。
それもこれも、全ては自然に恵まれた環境のなせる業なのだろうけれども。