rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

太陽の幕引き、月の舞台

2011-01-19 21:59:24 | 空・雲・星・太陽たち


暮れ往く日の名残り



明るい光を放つ月

中くらいの人が、
>今日の夕日は良さそうだよ
>>そうなのか、ありがとう
寒さを防ごうと閉めた雨戸が、空を遮っていた
ふと気が付き、時計を見ると、4時50分
しまったと思いつつ、雨戸を開けて外を見る
大丈夫、まだ間に合う
素早くカメラを手にして、外へ駆け出た
冷たい風が吹き付ける
いつものポイントでカメラを構えた
呼吸を止めてシャッターを切る
カッ・シャッ
太陽の残照と月の皓々
敵う筈もないが、その美しさを留めたいと思うのは、切ない片思いに似ている
だから、こうして駆け出さずにはいられないのだ

「ナルニア国ものがたり」C.S.ルイス

2011-01-19 16:40:38 | 本たち
熱が出て、学校を休むとき、密かな楽しみがあった。
それは、「ライオンと魔女」をじっくりと読み込むこと。
岩波書店のケース付ハードカバーの本で、二人の少女を乗せて疾走するライオンを囲むように、木に寄りかかった対のフォーンが配置され、一羽の鳥がその間にいる絵が印刷されている、子供心に特別な本に思えた。
なかには、素敵な挿絵が、ところどころに添えてあり、フォーンやケンタウルスを知らない子供に、想像の手がかりを与えてくれた。

話の設定も、興味をそそる。
ロンドン郊外の田舎はずれの古く大きなお屋敷。
空き部屋の衣装ダンス、しかも、別世界へつなぐ扉の役目がある!
神話に出てくる生き物たち。
これだけで、充分ワクワクさせてくれる。
また、随所に出てくる小道具や食べ物は、身近にない外国の名前がついている。
そこで、自分の知識を総動員して、一文字ずつ丁寧に読み進めると、いつしかぺペンシー家の5番目の兄弟姉妹の仲間になって、喧嘩をしたり助け合ったりしながら、どきどきハラハラの冒険を体験している気持ちになった。

物語の最後に、「ナルニア国の冒険は、ようやく始まったばかり」とあり、この本は、全部で7冊とわかったときには、うれしくもあったが、悲しみが勝っていた。
なぜなら、高価な本だったから。
親に買って欲しいとせがむのは、気が引けたのだ。

子供のときに読んだ本のうちで、「ライオンと魔女」だけは別格だった。
大人になってからも、時折本棚から取り出しては、読みふけった。
そして、これが映画化されると聞いたとき、今一度読み返そう思い立った。
もしかすると、当時の装丁でリバイバルされているかもしれないと調べてみたら、7冊セットで売られていた。
ついに「ナルニア国」の全貌を知る機会が来たのだ。

全巻読んでみて、どうしてこの本にこうも惹き付けられてきたか、分かった。
人間の心にある光と闇、善と悪の葛藤、罪と贖罪を大きなテーマとしているからだ。
児童文学として書かれた物語だから、説教じみていないのはもちろん。
7つの話の流れの中で、繰り返し立ち現れ控えめに語られている。

でも、大人になってみて、まったく疑問がないわけではない。
繰り返されることによって、「すりこみ」が起きる危険性。
悪いことが書かれているわけではないけれど、客観視できない子供にどうなのかと。
一気に7冊を読み終わって、船酔いにも似た気持ちの悪さが残ったから、気になったのだ。
気のせいかもしれないけれど。

そうはいっても、素晴らしく面白い物語であることに、かわりはない。
毒にも薬にもならないものは、印象に残らないで消えてしまう。
自分で感じ、考える心を養うためにも、読書は人生の師であり友であり伴侶である。
子供のときに、いかに本が楽しいと思えるかが、読書を続けるポイントになる。
C.S.ルイスの「ナルニア国ものがたり」は、自分にとって大切な本だといえるだろう。