大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

真夏ダイアリー・15『ガールズ&パンツァー』

2019-09-20 07:07:07 | 真夏ダイアリー
真夏ダイアリー・15 
『ガールズ&パンツァー』    
 
 
 
 
 江ノ島クンの『ガールズ&パンツァー』についての講義はすごかった。
 
「戦車を使った武道である戦車道が華道や茶道などとと並び女子高生の嗜(たしなみ)みとされている世界を描いた物語で、兵器である戦車を美少女達が部活のように打ち込むという、ミリタリーと萌え要素を併せ持つ作品なんだ」  
 この説明までは、単なるオタクかと、すこしガッカリしたけど、このあとがスゴかった。 
「むかし、小松左京が『日本アパッチ族』を、筒井康隆が『時をかける少女』を書いていたころは、子ども相手のSFとバカにされた。当時は士農工商・犬・SFと言われた時期で、だれも、今のSFの隆盛を予想さえできなかったんだ」
 
「お茶にしますけど、ミルクになさいます? それともレモン?」
 
 そこで、副部長の福田麻里さんが、お茶を入れてくれた。 「one for you.one for me.one for the pot……」 と、にこやかに呟きながら。 
「なにか、オマジナイですか?」  玉男がバカ丸出しで聞いた。
「イギリスで紅茶を入れるときの作法だよ」  省吾がフォロー。 
「たいそうなものじゃないです。玉男さんが、おっしゃるようにオマジナイ。まあ、人数より一杯分多めにお茶葉入れたほうが、おいしくなるってコツでもあるんですけど」 
「昔は、こんなものサブカルチャーで切り捨てられたんだけど、オレたちは、そういうとこにも目を向け、広い意味で、日本文学の有りようを考えてみようと思うんだ」 
 で、十分ほどのDVDのダイジェストを見せてもらった。わたしでも十分のめり込めそうな内容で、「ホー」と感心していると、麻里さんが、コミックを机に並べてくれ、わたしと穂波は、しばし読みふけった。その間、本職の文芸部さんたちは、サブカルチャーとか限界芸術だとか、ムツカシイ言葉を並べて論じ合っていた。
 
 帰り際に記念写真を撮った。 そして交流記念ということで、わたしたち四人で真新しいサイン帖にサインした。
 
「やっぱ、あいつら、真夏が目当てだったな」  駅への坂を下りながら、省吾が呟いた。 
「え、そうなの!?」 
「サイン帖新しかっただろ。写メもみんなで撮りっこしたけど、本命は真夏だ」 
「それって、なんだかヤナ感じ」  穂波が文句を言った。 
「いいじゃん。あの子たち、とっても紳士的だったし」 
「あ……そう」 
 サラっと言った言葉への反応には戸惑いがあった。この三日あまりで、わたし変わった……それとも、わたしの周囲が。多分その両方……。
 
 夜、夢の中にエリカが出てきた。あいかわらず薄桃色の衣装で、ニコニコ明るく笑っている。
――そうか、いま満開だもんね――  
 
 できることならエリカと喋ってみたかったけど、やっぱりエリカはお花。黙って愛情をくれるだけなんだ。 
 寝る前に、お母さんがついでのように言った。 「年末、二人で一泊旅行しようか……?」 「……保留」  わたしは、お母さんの心遣いは嬉しかったけど、その心遣いが痛たましくって、ついツッケンドンな物言いになってしまった。心も体も発展途上。われながらモドカシイ……そう寝ながら身もだえしたら、エリカが優しく頷いてくれた。
 
「え、大洗のことだったの!?」
 
 リビングのテーブルから落ちかけていたパンフが目について、思わず声が出た。 「そうよ、まあ、アンコウ鍋ぐらいしかないとこだけどね……」 「いくいく、ここだったら行くよ!」 「真夏、アンコウなんて食べたことないでしょ?」 「おいしいに決まってるよ。お母さん、ここ行こう!」 「いいけど……なんで?」 「帰ったら説明する。まずは朝ご飯だよ-ん!」
 
 わたしは『ガールズ&パンツァー』にひっかけて、気持ちを引き立てた。『ガールズ&パンツァー』は、きのう学院でサラっとレクチャー受けただけだけど、大洗が舞台になっていることは、頭に入っていた。それをテコにして元気に返事した。
 ――がんばるね――
  満開のエリカに気持ちだけ伝えると、ベ-コンエッグをトーストに載っけて、パクついた。
 
「へー、なるほど……」
 
 放課後、図書室のパソコンで『ガールズ&パンツァー』を省吾たちと検索。昨日以上に盛り上がって、図書の先生に叱られる。ネット通販は、図書館のパソコンでは検索できない。ままよと、日課の三人野球をキャンセルして、ゲーム屋に直行。『ガールズ&パンツァー』のはなかったけど、プレステ2対応の戦車ゲームの中古を買った。もともと車のゲームは大好き『GT5』ではA級国内ライセンスをとるところまできている。
 
 わたしは、まず自分をハメてみるところから始めてみた……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宇宙戦艦三笠・6 [トシが知った怖い話の続き]

2019-09-20 06:57:40 | 小説6
宇宙戦艦三笠・6 
[トシが知った怖い話の続き] 


 
「なんだよ、怖い話って?」

 みんなが、朝食のテーブルから、突っ立ったままのトシに顔を向けた。
「それが……ピレウスを目指しているのはボクらの三笠だけじゃないんです」
「え、ほんとかよ?」
「世界には、三笠以外に保存されている戦艦は20隻ちかくあって。そのほとんどが三笠と同時にピレウスを目指しているようなんです」
「え、他にも残っているのなんてあるの?」
「そういや、ミズーリがハワイで残ってたな……」
「アメリカは、ミズーリを入れて8隻が記念艦で残ってます。中国はレプリカだけど定遠が。それに、戦艦じゃないけど遼寧が出てきています」
 リョウネイ?
 どうも、樟葉も美奈穂も、こういうことには疎いようだ。オレは説明を加えた。
「ウクライナから買った、航空母艦だよ。でも、どうして空母が?」
「現代の戦艦にあたる海軍勢力は空母だって理屈らしいっす」
「そう言いながら、ハリボテの定遠までかよ。なんか矛盾してんな」
「テイエンって?」
「100年以上前の日清戦争で、日本が沈めたドイツ製の中国の戦艦だよ。他にもとんでもないのがありそうだな」
「はい、韓国が独島を、イギリスがヴィクトリーを……」
「ヴィクトリーって、ネルソンが乗ってた帆船かい!?」
「一応は、動態保存で、軍籍にも残ってますから。今でも艦長は現役の海軍士官が任命されています」
「ほかには?」
「なぜだか、ドイツのビスマルクも……?」
「ビスマルク? あれは沈んでるはずだぞ」
「艦体は、わりにしっかりしているようで、海底で原形をとどめている、船霊がまだ憑りついているんだそうです」
「でも、それだけの船が出てるんなら、心強いじゃないの」
「そうなんですけど……先にピレウスに着いた船の国が、その……新しい地球のヘゲモニーを握りそうなんです」
「え、じゃあ、中国なんかにとられたらたいへんじゃないか」
「で、どうしても三笠が一番にピレウスに着かなきゃならないんです」
「う~ん……そうだ!」

 みんなの視線がオレに集まった。

「とにかく朝飯を食おう。腹が減ってちゃいい考えも浮かばないよ」
 ようやく、本格的に朝食になった。
 朝食は、各自のテーブルの上に、各自の好みに合わせたものが載っていた。おれがガッツリと味噌汁、ごはん、目玉焼きに納豆。樟葉と美奈穂はイングリッシュマフィンとトーストの違いはあったが、パンとスクランブルエッグ、ヨーグルトのセットだった。
 
「もう一つ夢を見たんですけど……」
 オレが納豆飯をかっ込んでいるときに、トシが小さな声で話し出した。
「なんだ、いい夢か、悪い夢か?」
「……それが、よく覚えていないんです」
「どういうことだ?」
 樟葉がオッサンみたくシーハーしながら聞いた。
「なんか、とても緊張して……でも楽しい夢でした」
「トシの楽しいは、なんだかマニアックな感じがするな」
「そんなことないっすよ。ごく普通に緊張して、楽しいことだったっす」

 まあ、雲をつかむような話なんで、それっきりになった。

 朝食をすますと、取り立ててやることがない。
 三笠はオートで動いていて、特段、オレたちがやらなければならないようなことはなさそうだった。で、話は、いつのまにか互いの昔ばなしになっていった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

物語・ダウンロード・9《松田電器会長 松田孝之助》

2019-09-20 06:49:53 | ライトノベルベスト
物語・ダウンロード・9
《松田電器会長 松田孝之助》


 そこに立っていたのは、松田電器会長、松田孝之助であった。

「見ていたの?」
「いけなかったかい?」
「……手を見せてくれる。こう、広げて……ちゃんとあるのね……真実の口に食いちぎられていると思ったわ、お父さんの手」
「まだ、幸子のままなのかい?」
「そう、幸子のままよ、わたし。メモリーがどうにかなっちゃって、消去できないの」

 ロケバスが出発していき、幸子のノラと松田会長の二人が無機的な貸しスタジオに残される。

「話があるんだ」
「あまりしたくない……」

 スタジオと同じように無機的に去ろうとするが、父の一言で立ち止まる。

「ボクもアンドロイドなんだ……」
「うそ……」
「ほんとだ」

 外で風が吹いたのだろう、ダクトから、かすかにうめき声のような音がした。

「お父さんもアンドロイド……」
「本物は四十五年前に死んだ……カリスマだったから、ロボットの影武者でしのごうとしたんだ……後継者が育つのを待って交代する予定だった」
「四十五年待って……百二十五歳」
「……ボデイの能力はプラスマイナス二十歳だ」
「……そうでしょうね。わたしでもプラスマイナス十歳……いつまでも化けていられないわね。お父さん、ギネスブックにものっちゃったものね……」
「手を出して」
「あたしは食いちぎられていないわよ」

 父が何か小さなものを手渡す。

「なにこれ?……最高級のルーター!?……お父さんの!?」
「ああ、これがあれば、どんなブロックも解除できる」
「……でも、お父さん、ボケちゃうよ」
「もう、ボクにはいらないものだ」
「……だってお父さん、松田電器の……会社のむつかしいこと処理したり、決定したりできなくなるわよ」
「もういい。会長とはいえ百二十五歳のサラリーマンは不自然だ」
「そりゃ、百二十五歳の現役なんて不自然だけども。いいじゃない一人ぐらい、そんなスーパー老人がいたって」
「これじゃ、人が育たない」
「……人が育たない? そんなの人間のせいでしょ。幸子や、お父さんが責任持たなくても、人間がもっと努力すればいいことでしょ!」
「……そのためにも」

 会長は、ダクトからの風を受けただけでふらついている。

「……どうしたの、ひどく顔色が」
「……動力サーキットをブレイクした」
「死んじゃうわよ、お父さん!」
「……昨日キミと会って決心がついた」
「そんな、そんなの悲しすぎるわよ! わたしのハンガーに来て、わたしのマシーンにコネクトすれば、わたしの動力サーキットが使えるわ」
「もう……」

 音を立てて会長が倒れた。

「お父さん、しっかりしてお父さん!」
「……ボクの名前を聞いて覚えて欲しい。お父さんのほんとうの名前を」
「本当の名前……」
「……アダム」
「アダム……とってもいい名前よ!」
「覚えたかい?」 
「うん、忘れない。忘れないわよ」
「幸子の本当の名前は……?」
「本当の名前は分からない……今は幸子よ」
「じゃ、幸子。幸せに……」
「死んじゃいや! 死んじゃいや! お父さん! アダム……!」

 がらんどうなスタジオに、ノラの声だけがこだました……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高安女子高生物語・93〔テストの終わりと、その始まりと〕

2019-09-20 06:26:16 | ノベル2
高安女子高生物語・93
〔テストの終わりと、その始まりと〕 



 出来不出来にかかわらず、テストの最終日、終わった瞬間は嬉しい!

「ウワー!」「終わった!」「ホエー!」「やったー!」と言う感激と、開放感と、達成感やらやけくそやらのため息とも歓声ともつかへんもので教室が満ちる。
 うちと美枝とゆかりのAMY三人娘と麻友とで、放課後カラオケに行く話が一遍にまとまった。その直後担任のガンダムが入ってきてホームルーム。終業式までの短縮授業の説明。
――なんでテストのあと休みにせんかなあ――
 両親揃って元教師いううちは、昔の学校は期末テストが終わったら試験休みがあったん知ってる。週休二日制になって授業時間が足らんいうので、期末テストのあとも授業をやるようになった。
 せやけど、週に二回7時間目の授業やったり、土曜に検定なんか持ってきて、実質的には不足分は消化されてる。うちは納得でけへんけど、元来「そのとき少女」。とりあえず、今日が楽しめて乗り切れたら、それでええ!

「えーーーと、このあと文化祭についての取り組みをせなあかんねんけど、安室、南、なんかあるか?」
「あ、もううちはサンバて決まってますから、企画書も生徒会からもろて書けてます」
「せやったな。ほな、なんか係とか決めることないんかい?」
 どうやら、ホームルームは30分ぐらいはやらなあかん縛りがあるみたい。
「細かいことは、いくつかありますけど、よそのクラスの出方も見た方が決まらんこともありますから……まあ、サンバのリーダーの決定ができた方が……ええかな?」
「あ、それ、あたしがやります!」
 麻友が立候補。あっさり決まってしもた。
「サブリーダーが、何人かいると思うさかい、あたしと美枝と明日香の三人で、さっそく今日からやります」
 カラオケに、サンバの実技講習いう名目が、あっさりついてしもた。

 結局、机を整理して、みんなで5分ほど掃除してしまいになった。よそのクラスよりも早よ終わってラッキーやった。

 食堂で燃料補給してる時に関根先輩からメール――今日はなんか予定あんのか?――
 ちょっと心が動いたけど、カラオケのスケジュールが決まってるんで――文化祭の稽古が入ってます――と返す。

 燃料補給して、すぐにカラオケに出張る。
「まあ、時間はたっぷり。サンバの前にテンション上げとこか!」
 セロテープと女子高生の屁理屈は、どこにでもひっ付くさかいに、うちらは三時間ほど歌いまくって、大フィーバー!
「ちょっとは、サンバもしとこか?」
 ゆかりが、そう言うたときは、もう4時前。
「じゃ、基本からいくわね」
 麻友が立ち上がって、基本のステップを示してくれた。ここまではよかった。次に体をスクランブルさせるような独特のシェイクの練習に入ったとき、美枝がしり込みをした。

「あたし……でけへん」
「美枝……」

 うちは、一瞬なんのことか分からへんかった。麻友は、いっそう分からへん。

「あたしが代わって言うわ。ええな美枝?」
「……うん」
「あたしらだけの秘密にしといてね……美枝……妊娠してんねん」
「「「………………」」」

 空が落ちてきたみたいなショックやった……!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小悪魔マユの魔法日記・39『フェアリーテール・13』

2019-09-20 06:23:48 | 小説5
小悪魔マユの魔法日記・39
『フェアリーテール・13』
  


 見交わす二人の目からが出てぶつかり、大きな💛マークになっていった……!

「彼が狼男のままでいいの?」
 マユの一言で、ハートマークは赤ずきんと狼男の間に落ちてきた。
 赤ずきんは、それを子どもが大事なぬいぐるみを愛おしむようにだっこした。
「よくないけど……満月の夜だけ避ければ、こんなふうに、ただの男の子だから……ね」
 赤ずきんは、再び狼男に目をやった。むろんが出て、見返した狼男の目からもが出て、空中に、さっきと同じようなハートマークが浮かんだ。
「それじゃ解決にならないでしょうが!」
 マユの一喝で、ハートマークは再び、赤ずきんと狼男の間に落ちてきて、今度は狼男がだっこした。
 お揃いになったので、二人は、なんとなく嬉しそうになってしまい、なんだか、そのままバレンタインチョコのコマーシャルに使えそうな感じになった。

「いい、このまま狼男のままでいたら、満月の晩は、彼、なにするか分かったもんじゃないのよ。それに、このファンタジーの世界はおかしくなりはじめてるから、暦通りに満月になるかどうかも危ないわ」
「そ、そんな……」
 赤ずきんが、満月を想像したためか、あたりは急に夜になり、お日さまが満月に変身した。
「ガルル~、ガルル~……」
 狼男が、さっそく変身し始めた。マユは特大のビーチパラソルを出して月光を遮断する。
「ガルル~……ルンルンルン♪」
 狼男は、気の良い恋するアンチャンにもどった。
 その気の良さは、さっきのバツの悪さなんかふっとんでしまい。赤ずきんと二人で「てんとう虫のサンバ」なんか歌い出し、さすがのマユもあきれてしまった。しかし調子に乗って、二番の終わりまで唄ってしまった……。

  ……まあるい まあるい お月さま
 愛の光で ほほえんで
 森の月夜は ふけました♪


 とたんに、ビーチパラソルの中に、小さな満月が現れて、再び狼男は……。
「ガルルル~……」
「いいかげんにしなさい!!」
 マユの大声で、満月もハートマークも粉々に散ってしまった。

 生活指導のタコ部屋で、不純異性交遊をとがめる女先生と生徒のようになってしまったが、しばらくして、マユに名案が浮かんだ。

「ねえ、狼男さん。あなた国籍を日本にしちゃいなさい」
「え……日本人に?」
「いいえ、日本オオカミよ」
「日本オオカミ……あんまり聞かないなあ」
「そりゃそうよ、百年前に絶滅してる」
「……ぜ・つ・め・つ」
「うん、だから、あなたが日本の国籍をとっても狼男になることはないわ。日本人の頭には狼のイマジネーションがない。つまり狼男のイマジネーションも、せいぜいアニメか映画のレベルでしかない。ファンタジーの世界って、イマジネーションの世界だから、あなたはなろうと思っても成りようがないってわけ」
「それ、いいかも……」

 ということで、マユは魔界の役所に連絡をとり、狼男の国籍を日本に変えた。日本名もマユが考えてやった。

――流狼似 謙信――

「「うん、かっこいい!」」
 二人とも、大納得。

「でさ、最初の話なんだけど、二人、裸でなにしてたの……!?」
 マユは、オチコボレの小悪魔らしい質問を、頬を染めて聞いた。
「そりゃあ……愛する二人が裸ですることって……ねえ」
 赤ずきんは、そのマントと同じくらいに赤くなって、狼……いや、流狼似謙信に目配せした。
 これ以上ハートマークを出されては、たまらないので、二人の目から出てきたをすぐにたたき落とした。それにむくれたように、赤ずきんが、マユに言った。

「わかったわ。百聞は一見にしかず。ここでやって見せてあげる!」
「そうだ、問題解決祝いに、マユちゃんにも見てもらおう!」
 二人は、さっさと服を脱ぎ始めた!

「あ、あの、これって、一応ライトノベルで……ジュニア対象だから」
「だから、なんだってのよ!」
 赤ずきんは、そう言ってスカートを落とし、謙信はズボンを脱いだ。
「あ……ただの裸なら、驚きゃしないんだけどね、そういう行為に及ぶのは……」
 マユは、両手で顔を覆ったが、しっかり指の間から、見るものは見ていた。

 そして、二人の愛する者が、息を弾ませ始めたことは……。

「なによ、それって!?」

 二人が、やり始めたのは、激烈なアッチムイテホイであった。裸といっても赤ずきんは花柄のパレオ付きセパレート、謙信はひざ丈の水着であった。

「……やっぱ、ファンタジーの世界はおかしくなってる」

「これは、おかしくないのよ」

 いつのまにか、分かれ道のところにレミが立っていた……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする