長男のアメノオシホミミには嫌がられ、次男のアメノホヒを遣わしましたがうまくいきませんでした。
三度目の正直!
アマテラスは、オモヒカネの献策で、血筋にはこだわらず、自分の子ではないイケメンのアメノワカヒコを遣わしました。
ワカヒコは、地上に着くや、幸先よく、熊に襲われそうになっていたシタテルヒメを助けます。
シタテルヒメはオオクニヌシの娘で、ワカヒコは難なく、オオクニヌシの娘婿に収まることに成功しました。
「そろそろ、お義父さんのオオクニヌシにお会いして、きちんとご挨拶したいんだけど」
「挨拶は、結婚するときにしたじゃありませんか。父の所に行ったら、歓迎会やら宴会に連れまわされて疲れるだけだから、また今度。それより、新しいベッドが来たから、二人で試しましょうよ(^▽^)」
「え、ベッドを試すって(#*´ω`*#)?」
「決まってるじゃない(#^_^#)、あ、な、た……」
「わ、わかったよ、シタテル……(#'∀'#)」
気持ちの上では、一刻も早くオオクニヌシに会って、取り入るか、力づくで打ち倒すかの判断をしたいワカヒコですが、中つ国でも一番と謳われるシタテルヒメに言われては断れません。
「坊ちゃま、姫を襲っていたクマですがね……」
高天原から付き添ってきた乳母のサグメが内緒話をします。
サグメは、正式には天佐具売・天探女と書きます。命(みこと)の敬称が付かないので、神さまよりも一級下の巫女的な女だったと思われます。ちょっとひねくれた婆さんで、あることないことを告げては人を惑わす性悪女です。
一説では、天邪鬼(あまのじゃく)の第一形体であったとも言われています。
ワカヒコは、慣れない中つ国(地上)にまで付いて来てくれた乳母だと信じています。
「なんだ、サグメ?」
「婆やは思うんですよ。あの熊は、姫さまに横恋慕していた男のなれの果て。恋しい恋しいという気持ちが高じて熊に変身してしまったんだと」
「なるほど、意馬心猿という言葉もあるよな。恋しい女を目の前にしたら、馬か猿みたいに野生にかえってしまうって」
「そうでございますよ、アマテラスさまの意に沿うという坊ちゃんのお心は見上げたものでございますがね、禁欲的になり過ぎては、いざという時には、それこそ意馬心猿……」
「ん? どうなると言うんだい?」
「猿のようになって姫に挑んでは、爪や歯で姫を傷つけてしまうでしょう。万一、あそこが馬や熊のようになっては、姫のお腹を突き破ってしまうことにもなりかねません」
「そ、そうなのか!?」
「はい」
「じゃ、姫から誘われた時は、躊躇してはいけないなあ」
「まことに……」
というやり取りを妄想するのですが、まあ、こんな感じであったのでしょう。
ワカヒコは寝る間も惜しんで、姫に挑みかかります。
「どーゆーことですかあ!?」
中つ国の攻略が進展しないことにいら立ったアマテラスはワカヒコの様子を窺って頭に来ます。
「えと、それでは、雉の精のナキメを遣わして戒めましょう(;'∀')」
アマテラスはオモヒカネの進言に従って、メッセンジャーのキジメを送ります。
ナキメが地上の宮殿に着いた時も、ワカヒコと姫はベッドの中で励んでいる最中です。
「高天原からの伝言! 伝言!」
そう言うと、ナキメはアマテラスの声で詰問します。
「アメノワカヒコ! 身内でもないそなたを地上に遣わしたのは、中つ国の下品な神々をまつろわせて、高天原に従わせるためです! それを、オオクニヌシに会うこともせずに、朝っぱらから、なんというザマですか! 反省しなさい! 反省!」
「ちょ、なによ、この雉、気持ち悪いんですけど!」
邪魔された姫は機嫌が悪い。
「こ、こんな雉、知らねえよ! ええい、こうしてくれる!」
プシ!
ワカヒコは、アマテラスに持たされた弓矢で、ナキメを居殺してしまいました(-_-;)。