大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

鳴かぬなら 信長転生記・5『妹と向かい合う』

2021-06-15 15:53:09 | ノベル2

ら 信長転生記

5『妹と向かい合う』   

 

 

 そこに座れ。

 

 リビングの床を指し示すと、一(いち)は大人しく正座する。

 俺は、リビングから続く六畳に座る。むろん胡座だ。

 

 リビングのソファーに座らせてはツンツルテンのスカートの中が見えてしまう。

 いまの俺は女だから、見えても構うことは無いのだが、俺の美意識に反する。

 それに、六畳の部分は畳の分だけ高くなっていて、図らずも上段の間になっている。

 位置関係は人間関係を現す。

 不肖の妹には、それを示すところから始めなければならない。

 一も呑み込んだので、素直に正座している。

 

「何故だ!?」

 

「追ってきた」

「何故死んだ?」

「あんたが死んだあと、勝家の嫁に出された。勝家の城を猿が攻めてきた。三人の姫を逃して、勝家と共に死んだ」

「なぜ逃げなんだ?」

「逃げたら猿しかおらん」

「猿は嫌いか?」

「嫌い」

「猿は、一に惚れておる。意に添わんことはせん」

「猿と同じ空気を吸うのも嫌」

「……茶を、いや、コーヒーを淹れてくれ」

「……うん」

 

 妹でなければ切っている。

 

『タメ口だから?』

 熱田大神、お前の居所は、庭の祠だ。

『いっちゃんのことは、わたしの責任でもあるから』

 好きにしろ。

『心で喋ること覚えたんだ(^▽^)』

 妹の前だ。

『やっぱ、妹には優しいんだ』

 祠、叩き壊すぞ。

『はいはい、もう黙るから。あ、冷蔵庫にイチゴケーキ入ってるから。じゃね』

 であるか。

「砂糖は四つ。冷蔵庫のイチゴケーキも出せ……いや、自分で出そう」

「糖尿になるよ」

「いまの俺は17歳だ」

「女子高生の信長だなんて、キモイんですけど」

 おお、冷蔵庫の中はスイーツがいっぱい!

 これだけでも転生した甲斐があるぞ。これ……と……これと(^▽^)

「二つも!?」

「食べずに死ねるか(^^♪」

「って、もう死んでるし」

 最初にモンブランを平らげ、砂糖四つのコーヒーを飲みながらイチゴケーキを食べるのだ。

「キモイと言ったか」

「う、ううん(聞こえてたんだ(;'∀'))」

「一こそどうした。なぜ、女のまま転生しておる」

「天下なんて、どーでもいいし。でも、熱田大神が転生するならあんたの妹って枠しか無いってゆーし」

「キャラが違いすぎるが」

「いい子ぶるのは止めたの!」

「ほう……」

「前世のあんたは、好き放題やってたじゃん。今度は、あたしがやるんだ!」

「……………」

「……………」

「……………」

「な、なんか言ったら!」

「……食っている」

「もう!」

「そういうかぶき方をしていたのは桶狭間までだぞ」

「い、いいじゃん。いまのあたしは、こーゆーの好きなんだから!」

「……………」

「……………」

「……………」

「な、なんか言ったら!」

「……食っている」

「もう!」

「二回目だ」

「な、なにが!?」

「まあ、好きにしろ」

 パンパン

「なに、手叩いてるの?」

「手を叩いたら、誰が出てくるのかと思ってな」

『はいはい、お呼びかしらあ?』

「あ、熱田大神!?」

「一にも見えるのか?」

『あんたたち仲良くなったみたいだし。で、用件は?』

「『一』では馴染めん、元々の『市』にしろ」

『うん、いいわよ。もともとドッキリのつもりだったし』

「「ドッキリか!?」」

『うん』

「それから、こいつは妹では無くて女中という設定にしろ」

「じょ、女中!?」

「この時代はお手伝いさんであったか」

「お手伝い!?」

「いっそ、メイドがいいか。うんメイド服が似合いそうだな……」

「いやだ!」

「では、人間に化けた宇宙人」

「……………」

「妖ではどうだ。熱田大神といっしょに祀ってやるぞ」

「無理!」

『妹というのはデフォルトなんだけどなあ』

「こいつは、妹を辞めたいそうだから、なんとかしてやれ」

「あ、あの……」

「そうだ、従姉妹がいい。そうしろ」

『仕方ないなあ……ここ変えると、他の所で歪が出てくるんだけど』

「い……市の頼みだ、聞いてやれ」

『分かった。じゃね……』

「…………………………………」

「な、なによ」

「……イチ」

「え?」

「イチ……ゴケーキ、食べないんだったら俺にくれ!」

 ズコ

 

☆ 主な登場人物

  •  織田 信長       本能寺の変で打ち取られて転生してきた
  •  熱田大神        信長担当の尾張の神さま
  •  織田 市        信長の妹(兄を嫌っているので従姉妹の設定になる)

 

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かの世界この世界:191『屋島の戦い・3・扇の的』

2021-06-15 09:27:46 | 小説5

かの世界この世界:191

『屋島の戦い・3・扇の的』語り手:テル   

 

 

 一丁艪の船には水手(かこ)と女官が乗っていて、ゆるゆると進んでくる。

 

 海の平家と浜の源氏の間に至ると、船足が停まり、女官がすらりと立ち上がる。

 口が開いたかと思うと、静かに舞い始めた。

 謡曲か何かなのだろうけど、口の動きだけでは令和の高校生には分からない。

 いや、たとえ聞こえても源平時代の謡曲など分かりようもないんだけど、さすがは源氏の武者たち。

 女官の口の動きと舞の所作で分かるようで、静かに見いっている。

「これが戦なのか?」

 呆れたような感心したように、タングニョーストは静かに腕組みをする。

 ヒルデは柵ギリギリのところで、腰に手を当てて女官の舞を注視する。

「揺れる船の上で足を取られることもなく舞っている、なかなかのものだ……」

 ケイトも食べかけのうどんを箸に挟んだまま腰を浮かし、うどん屋の女亭主は、そんな我々を後ろで見ながらニコニコ。

 見事に舞い終ると、舞扇を閉じて帆柱の赤字に白丸の扇を示した。

 ヒルデとタングニョーストは、器用に柵の上に飛び乗り、揃って小手をかざす。

「ほう、あの扇を射落としてみろというわけだな」

「700ヤードはあります、ゴルフで言えばパー5のロングホールをホールインワンで決めろと言うようなものです」

「アルテミス(ギリシア神話の弓の女神)でも無理だろ」

「ウル(北欧神話の弓の男神)でも尻込みします」

「欧州の勇者は、感想を言うだけでもカッコいい……」

 イザナギさんは苦笑いして頭を掻いた。

 国生みの男神としては、いささか威厳に欠けるんだけど、初代日本のお父さん的な力の抜け方は好きだ。

 

 浜の源氏の軍勢は、この徴発を受けて、少しざわめいていたが、やがて、一人の武者が現れたかと思うと、ジャブジャブと馬にまたがったまま海に乗り出した。

「あれを射落とそうというのか!?」

「姫、暴れては、柵から落ちます!」

「構うな!」

 タングニョーストはタングリスの入った背嚢を担いでいるので、暴れられてはかなわない。

 イザナギさんとケイトが手を差し伸べて背嚢を預かろうとするが、タングニョーストは困りながらも――けっこうです――と手を振る。

『やあやあ、遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ! 我こそは、那須の国の住人にして御家人の末席を汚す、那須与一宗隆なり。今より、あの軍扇を射落とすものなり、源平いずれの方々も、両の眼(まなこ)豁然と開いて御覧じろ。もし、この与一、一閃にて射落とすずんば、腹掻っ捌いて高松の浜の魚の餌になろぞ。いざ、平家の女官殿、尋常に勝負勝負!』

 ウオオオオオオ!

 見事な名乗りに、源平双方から感嘆の声が上がる。

「か、カッコいい!」

「手に汗を握ります!」

「こんど、ラグナロクで、あれをやってみよう!」

 ヴァルキリアの主従は興奮の絶頂になった。

 

 キリキリキリ……

 

 丘の上のここまで弓を引き絞る音が聞こえる。

 与一がいっぱいまで弓を引き絞ると、源平双方のみならず、丘の上の我々も呼吸を忘れて見入ってしまう。

 うどん屋の釜の湯気さえ停まったかと思う瞬間、与一の矢が放たれた。

 

 ヒョーーーーーーー

 

 鏑矢は、獲物に飛びかかる鷹の声のように音を引いて飛んでいく!

 

 フ

 

 音もなく扇が吹き飛んで、それに、一瞬遅れて命中の音。

 

 トス

 

 ひらりひらりと舞いながら扇は海面に落ちて、やっと、源平両軍から歓声の声やら船端やら箙(えびら)やらを叩く音が、高松の海と浜と空に満ちた。

「か、かっこいい! めちゃくちゃカッコいいぞ!」

 ヒルデは、柵の上で飛び上がったりバク転をし、涙さえ浮かべて感激した。

 タングリスも惜しみなく拍手を送りながら、間隙を発した主人を眩しく見ている。

 ケイトもうどんの鉢を持つ手はそのままに、脚を震わせている。

「よし、今日は、うどんの無料奉仕だよ!」

 うどん屋のカミさんが吠える。

 吠えた、その顔をよく見ると、荒れ地の万屋のペギーだったりした。

 

☆ 主な登場人物

―― この世界 ――

  •  寺井光子  二年生   この長い物語の主人公
  •  二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば逆に光子の命が無い
  •   中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
  •   志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

―― かの世界 ――

  •   テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
  •  ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
  •  ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
  •  タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係
  •  タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
  •  ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
  •  ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態
  •  ペギー         荒れ地の万屋
  •  イザナギ        始まりの男神
  •  イザナミ        始まりの女神 

 

 

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ライトノベルベスト『緊急プレッシャー』

2021-06-15 06:35:14 | ライトノベルベスト

イトノベルベスト

『緊急プレッシャー』 




 寸止めの手を掴まれて、すごい目で睨まれた……。

 あの時の緊急プレッシャーが蘇った。

「三林くん、遅刻!」

 カワイイ顔して、新任のミカちゃんが、穏やかに言った。

「マジかよ……?」

 頭を掻きながら、甘えたヤンキー風に返した。

「遅刻は、遅刻!」

 カワイイまんまで、ミカちゃんは厳しく言った。

 瞬間むかついた。

 で、右手で顔面目がけ、一センチの寸止めを食らわした。

 普通の女の子なら、悲鳴をあげるか、逃げ出すか、顔を背け手でガードする。あるいは、その全部をやって泣き出すか。最低でも目はつぶる。国語の藤バーでも目はつぶったぞ。

 でも、このミカちゃんは、しっかり目を開けて、カワイク言った。

「寸止めは、立派な対教師暴力よ……」

 で、気がついたら、寸止めの手を逆手にねじり上げられた。

「痛いよ、ミカちゃん!」

 で、そのまま生活指導室に連れて行かれた。

 スポーツ新聞読んで椅子に両足載っけてた梅沢のオッサンが、気を付けした。

「お嬢さん、三林が何かしましたか……」

「顔面寸止め。腰が入ってなかったから、最初から分かってたけど、一応懲戒規定にかかりますから、梅沢先生」

 そう言って、突き放されたところを、梅沢のとっつぁんが腰払いで、スプリングの突き出たソファーにフンワリ、グサッと投げ倒された。

「ミカ先生は、オレの師匠のお嬢さんで、合気道の四段だ、失礼こきやがって!」

 生指部長の梅沢に、新聞紙を丸めたので、ポコポコどつかれた。

「い、痛いっす。梅沢先生!」

「大丈夫よ、体に傷が出来る前に、新聞がボロボロになるから」

「じゃ、お嬢さん。ボロボロになるまでやらせてもらいます!」

「ひええええええええええええ!」

 十五年前の思い出を、瞬間で思い出していた。


「C国潜水艦、魚雷発射管注水つづく!」

 先任水測員の山田一曹が、はっきりした声で言った。

「これで、全門の注水か……」

 艦長が、ゆっくり穏やかな目のままオレを見た。

「水雷長、水雷要員配置」

「水雷要員、配置つけ」

 そう命ずると、二秒で返事が返ってきた。

「水雷要員、配置よし」

「隔壁閉鎖」

「隔壁閉鎖……よし」

 緊急プレッシャー。海自始まって以来の潜水艦戦……か。

「C国潜水艦、発射管開く」

 山田一曹が、静かに、しかし脂汗を流しながら言った。

「急速潜行、急げ」

「急速潜行、急げ」

 操舵手の、徳田一曹が復唱と同時に、艦を急速潜行させた。

 体が艦首方向に傾き、反射的に直近の機器にしがみつく。

 この反射神経だけは、ミカちゃん先生に負けないだろう。

 艦は、一気に水深○○○メートルまで潜行した。乗組員全員の緊急プレッシャーを載せたまま……。

「なってあげてもいいよ。水雷長のお嫁さんに」

 いずもの主計課の、水口みなみ三曹が答えた。

「い、いま、なんつった?」

「報告の聞き返しは、幹部の恥!」

 そう、オレは、観艦式の展示訓練のために、いずもに乗艦したときから、水口みなみ三曹に一目惚れした。

 で、昨日のC国との一件のあと、呉に入港し、艦内の整理をした。そしてデッキに出て、いずもが入港しているのに気づいた。なんたって海自最大の護衛艦だ、ドンガメのおれ達の艦より、よほど目立つ。

 運良く、みなみも半舷上陸していたので、呼び出したのだ。

 いずもはベッピンが多いが、ミナミは私服になると、アイドルで通用しそうなほどカワイイ。

 魚雷全門発射の勢いでプロポーズした。

 予想に反して、みなみは沈黙してしまった。

 もう緊急プレッシャーである。

 で、そのプレッシャーにまつわる思い出の古いのと新しいのが頭をよぎった。

 気がつくと、波止場を五百メートルほど歩いていた。

「答は決まっていたんだけどね。いずもの甲板一周駆け足しながら、一日の課業を確認するのがクセになってるの。だから、同じだけ歩いてから、答えようと思って」

「な、なんだ、そうか(^_^;)」

「暑い?」

「ドンガメの中ぐらいにな」

「ねえ、海軍カレー食べようよ」

「え、昨日食ったとこだぞ」

「分かんないかな。今日の婚約を忘れないために食べるんだよ」

 オレの緊急プレッシャーは、ようやく溶け始めた……。

 令和3年6月18日(金) 三等海佐 三林悟朗

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コッペリア・24『夢の秘密』

2021-06-15 06:06:15 | 小説6

・24 

『夢の秘密』  

 

 


 呼び出し音を四回聞いた。


 五回目で出た彼女の声には温もりがなかった。

「なにか、用ですか?」

「久しぶりだね」

 颯太は、できるだけ平静に話を切り出した。

 なんせ半年ぶりに聞く佐江の声である。

 …………………… 

 間が空いた。ほんの数秒なのだけど颯太には何時間にも感じられた。

「声が聞きたくて……」

 紡いだ言葉は、正直だが、ひどく平凡だった。

 佐江は、講師を始めたころの教え子である。

 佐江の卒業後、いろんないきさつがあって付き合うようになり、将来のことも約束していた。

 颯太は佐江のことをとても大切に思い。軽々とは電話しなかったし、メールという無機質な連絡の取り方もしなかった。

 週に一回手紙を書いた。

 手紙は考えて書ける。書いた後読み返しもできる。そうやって三度に一度は書いた手紙を破り捨ててもいた。佐江に対して押しつけがましかったり、こちらの思いが一方的すぎるものは惜しげもなく処分した。

 佐江は、そんな手紙を喜んでくれた。佐江の返事はデコメを差し引けば、そっけないものだが、颯太はそれでいいと思っていた。

 今の子は佐江にかかわらず、こんなものだと思った。

 実際、月に二三度のデートでは、ちょっと歳の離れた恋人らしい甘え方をしてきた。少しまどろっこしいとは思ったが、採用試験に合格し経済的な裏付けができるまでは、これでいいと思っていた。

 半年前から、何通手紙を書いても返事は返ってこなくなった。

 で、思い余って禁を破り電話したのである。

「……大事に思ってくれているなら、なんで半年も放っておいたのよ」

 この一言で颯太は、全てを悟った。

 この半年、颯太の手紙は佐江には届いていない。おそらく佐江の親が度重なる颯太の手紙を不審に思って開封し、それを読んだうえで佐江に渡さずに処分していたのだろう。ひょっとしたら、学校を通じて颯太のことを調べていたかもしれない。

 なによりも、佐江の心の中には颯太に替わる別の男が住んでいる気配があった。

――身を引くべきだ――

 佐江のことは、何よりも誰よりも大切だった。本当のことを言って佐江の心を煩わせたくはなかった。

 何を言って電話を切ったのかは覚えていない。

 でも切り終わったときには決心がついていた。

――佐江の前から姿を消そう――

 颯太は、佐江のことが大事だったから、好きだったから、それが一番だと思った。

 颯太は、その年度末に大阪を離れ、縁もゆかりもない東京に単身でやってきたんだ。

 そして偶然が重なり、同姓同名の立風颯太のオジサンが住んでいた、このアパートにきた。そして、オジサンの死後に届いた人形の栞を受け取るハメになり、こうやって人間のようにしてくれた。

 颯太は、平凡で取り柄もなく要領も悪い男だけど、人に対しては十分すぎる優しさを持っている。

 伸子夫人からもらった式神を使って、颯太の心の奥が、ここまで分かった。

 

 ハーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 空気人形だったら、ペッタンコになってしまいそうなくらいのため息が漏れる栞だった。

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