大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

せやさかい・322『こら、さくら!』

2022-07-20 20:20:03 | ノベル

・322

『こら、さくら!』さくら   

 

 

 ヤッター!!

 こら、さくら!

 

 思わず出た声とガッツポーズしたら、即怒られて、教室中の注目を浴びてしもた(#^_^#)。

 メグリンは、大きな背中を振るわせて笑いをこらえてるし、留美ちゃんは自分の事のように恥ずかしがって赤くなるし。

「あはは、すんませ~ん(#^▽^#)」

 頭掻いて謝るんやけど、緩んだ顔は直ぐには直りません。

 

 なにをヤッターのかと言うと、中間テストの欠点を挽回したんです!

 

 今日は、終業式で、体育館での暑苦しい式が終わって、教室で成績表をもらったとこ。

 中間テストでは成績伝票だけやったんで、カッチリした成績表は、これが初めて。

 初めての成績表を二色にせんで、ほんまに良かった!

 なにごとも最初が肝心やさかいね。

 もうちょっと詳しく言うと、みんなの笑いには二つの山があった。

 最初は、うちの「ヤッター!!」やねんけど、それに被せてペコちゃん先生が「こら、さくら!」と反射的に怒ったこと。

 真理愛学院は、お行儀のええミッションスクールで、先生も礼儀正しい(体育の長瀬先生は例外、ほら、学校の玄関で怒られた先生(297回)、こわいオバハンや思たけど、めぐりんが発作起こした時(318回」)は、じつに頼りになる先生やった!。

 生徒を呼ぶときは、必ず「~さん」と呼んでくれはる。もちろんペコちゃん先生もそうで、生徒を下の名前で、それも、頭に「こら!」を付けて呼ぶことは無い。

 それが、瞬間カチンと来て、思わず口に出た「こら、さくら!」は、怒られた方も懐かしい中学の時の怒られ方。

 怒る方も起こられる方も、漫才のボケとツッコミみたいに呼吸が合うてる。

「い、いや、だからね、もう中学生じゃないんだからね……」

 先生も気まずそうにブツブツ。

「先生、聞いていいですか?」

 伊達さんが手ぇ挙げた。

「え、なにかしら?」

 一瞬で、みんなの担任月島さやかに戻って質問を受ける。

「先生と酒井さんは、中学でも担任と生徒だったって本当ですか?」

「え、あ、それは……」

 さっきのボケとツッコミと呼び捨ての「さくら!」を聞いてしもた生徒らに嘘は言えません。

「ええ、そうです。さくら……酒井さんは中二から二年間担任で、わたしも、ここに来て受け持ちの生徒の名簿見てビックリしたわ」

「ええ!?」「やっぱり!?」「アハハ!」「おもしろ~い!」と、教室中からリアクションをいただく。

 で、すかさず返した。

「先生、それは二人だけの秘密だったのに……」

 我ながら、サスペンスドラマみたいにお返しする。

 アハハハハハハ!

 教室中が大笑い。

「はい、次配ります、榊原さん」

 先生に呼ばれて、うちの次の留美ちゃんが成績表をもらいに行く。

 すれ違いざまにアイコンタクト。

 留美ちゃんも、おんなじペコちゃん先生の生徒やったんやけど、真面目な留美ちゃんは、そういうの苦手やさかいね。

 ――留美ちゃんの秘密は守ったよ!――

 アホは、うちだけでええんです。

 とっさに、そういう気配りができるようになったんですわ。

 いや、子どっぽいはしゃぎ方せんほうが大事やろて?

 はい、そのとうりです。

 今年も、無事に夏休みが迎えられました。

 

☆・・主な登場人物・・☆

  • 酒井 さくら    この物語の主人公  聖真理愛女学院高校一年生
  • 酒井 歌      さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
  • 酒井 諦観     さくらの祖父 如来寺の隠居
  • 酒井 諦念     さくらの伯父 諦一と詩の父
  • 酒井 諦一     さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
  • 酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
  • 酒井 美保     さくらの義理の伯母 諦一 詩の母 
  • 榊原 留美     さくらと同居 中一からの同級生 
  • 夕陽丘頼子     さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王位継承者 聖真理愛女学院高校三年生
  • ソフィー      頼子のガード
  • 月島さやか     さくらの担任の先生
  • 古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン

 

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やくもあやかし物語・149『チカコを捜す・江戸城』

2022-07-20 15:13:23 | ライトノベルセレクト

やく物語・149

『チカコを捜す・江戸城』   

 

 

 電波通信事業法が壁になっているらしい。

 難しい法律なんで、中学生のわたしにはよく分からないんだけどね。

 勝手に放送局作ったり、携帯電話の会社を作ってはいけないという法律。

 昭和59年に公衆電気通信法というのが改正されてできた法律らしい。

 通信事業の自由化のために改正されて作られた法律らしいんだけど、自由化のための法律が、なんで規制するのかよく分からない。

 自分の日常生活に関係なかったら、どうでもいいんだけどね。

 力のある法律は、時間がたつとオバケになって、オタクやファンタジーの世界まで影響を及ぼすんだって。

 いつも優しくシャキッとしている交換手さんが、ちょっとだけ悔しそうに言っていた。

 まあ、法律妖怪というか妖怪法律というか、そういうもんらしいです。

 

 そいつがね、神保城にやってきたんです。

 

「神保城と、その領内での携帯電話の普及は電波通信事業法によって、認められません!」と偉そうに言う。

「ここは、アキバのメイド王から小泉やくもがもらった異世界の領地です。リアル世界の法律の支配は受けません!」

 逓信大臣の交換手さんは、きっぱり断ったんだけど電波通信事業法は、グイッと顔を近づけてきて、交換手さんに言った。

「わがままを言ったら、道交法やら風営法に言って宗主国のアキバを締め上げるぞぉ!」

 アキバに迷惑をかけられないので、交換手さんは、やむなく固定電話の普及で妥協せざるを得なかった。

 

「それで、ご案内できるところは、電話線が通っているところに限られてしまうんです、申し訳ありません」

 

 自分の責任ではないのに、交換手さんはマンホールの上で深々と頭を下げる。

 なんで、マンホールの上かというと、千代田区の皇居前は電気や通信のケーブルは地下の共同溝に設置されていて、マンホールが、その出入り口だから。

「だいじょうぶですよ、千代田区は神田明神の膝元、わたしに任せてください」

 微笑んで胸を叩くのはアカミコさん。

 二人にガードされながら、神保城からやってきたところだよ。

 ジャリ ジャリ ジャリ……

「江戸城って、いまは皇居でしょ、中に入れるの?」

 皇居前広場の清らかな砂利を踏みながら、わたしはビビってる。

「大丈夫です。皇居や宮内庁があるのは西の丸です。天守閣や大奥があったのは本丸で、一般に公開されているから問題ありません」

「そ、そうなんだ」

 江戸城って言えば皇居で、お正月の一般参賀とかでなきゃ、一般国民は中に入れないと思っていた。

 

 チカコは十四代将軍家茂さんの正室で、家茂さんが亡くなるまでは江戸城の大奥に住んでいたはず。

 だから、うちの家から飛び出したチカコは、江戸城に戻ってるんじゃないかと、アカミコさんは推理する。

「チカコって、お城は嫌いだったと思うよ」

 そう言うと、アカミコさんは指を立てて、こう言った。

「大奥というのは、お城ってイメージは全然ないところだから可能性は高いです。お輿入れまでは、不安で嫌がっていたみたいですけど、十四代さまは、とてもお優しく、和宮さんのお心を解(ほぐ)しておあげになって、良いご夫婦になられたようですよ。行ってみれば、なにかヒントがあるかもしれません」

 桔梗門から窺える本丸は、木々が茂った大きな公園という感じだったけど、入ってビックリ!

「え、あ、うわ……お屋敷街だ!」

 お濠を渡って、門をくぐると、白壁が続くお屋敷の屋根が幾重にも重なって山岳地帯みたい。

「実際はこうですけどね……」

 アカミコさんが指を振ると、屋根の山岳地帯は半透明になって、現在の公園の姿とダブって見える。

「ちょっと目が疲れるかも(^_^;)」

 アカミコさんが指を下ろすと、またお屋敷街に戻った。

「本丸は平屋ばかりですからね、ザっと位置関係を掴んでおかないと迷子になりますからね」

「あ、昔の江戸城だから、天守閣とか?」

「三百年前に焼けてからは石垣だけですから、目標になりません。天守台って言うんですけど、ほら、屋根の隙間から、ちょっとだけ見えるでしょ?」

「あ、うん、分かりにくいね」

「では、参ります。幻の江戸城ですが、一応靴は脱いで上がりましょう」

 大きな玄関みたいなところで、靴を脱ぐと、靴を持ったまま奥へと進んでいった。

 

☆ 主な登場人物

  • やくも       一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生
  • お母さん      やくもとは血の繋がりは無い 陽子
  • お爺ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
  • お婆ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
  • 教頭先生
  • 小出先生      図書部の先生
  • 杉野君        図書委員仲間 やくものことが好き
  • 小桜さん       図書委員仲間
  • あやかしたち    交換手さん メイドお化け ペコリお化け えりかちゃん 四毛猫 愛さん(愛の銅像) 染井さん(校門脇の桜) お守り石 光ファイバーのお化け 土の道のお化け 満開梅 春一番お化け 二丁目断層 親子(チカコ) 俊徳丸 鬼の孫の手 六条の御息所 里見八犬伝 滝夜叉姫 将門 アカアオメイド アキバ子 青龍 メイド王 伏姫(里見伏)

 

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漆黒のブリュンヒルデQ・061『永津彦の訪い』

2022-07-20 08:35:12 | 時かける少女

漆黒ブリュンヒルデQ 

061『永津彦の訪い』 

 

 

 ピンポ~~ン 

 ドアホンに反応しようとしたら、一呼吸早く玉代が出てくれた。

 
 祖父母共に出かけているので、玉代と二人の日曜日だ。

 この一週間、延べ五百匹ほどのカエルに名前を付けてやった。

 ゲコ○号とかケロ○号とか、いい加減なものがほとんどだが、カエルたちは喜んで、瞬間だけ出現する側溝に飛び込んで消えていく。

 ゲコとかケロの〇号なんだが、名付ける瞬間は、大げさに言うと緊張する。

 瞬間、頭の中には数千の名前がフラッシュするんだが「これだ!」と強く輝くのがゲコとかケロの○号なのだ。

 だから、七日目の今日はくたびれて、リビングのソファーで横になっているのだ。

 
「永津彦(ながつひこ)ちゅう老人がお礼を述べに来ちょらるっど」

 
 玉代がドアから半身をのぞかせて言う。

「永津彦?」

「人じゃなかが、礼儀は心得ちょっごたる」

「分かった、お通ししてくれ」

 ニュアンスから和風の方がいいと判断して、リビングを十二畳の和室に変え、女子高生の正装であるセーラー服に変えて待った。

「お初に御目にかかります、わたくしは世田谷の蛙の長を務めております永津彦と申します」

 老人は慇懃に小笠原式礼法に則った挨拶をする。出で立ちも、地味目ではあるが先代平の袴に小倉の羽織だ。

「蛙の長殿が、どのようなことで礼を言われるのですか?」

「成仏できない蛙たちに名前を付けていただきました」

 恐縮だ、その瞬間は迷ったとは言えゲコ〇号という符丁のような名前しか付けていないのだから。

「それでよかったのでございます」

「粗茶でごわす……」

 玉代も正装のセーラー服に着替えお茶を出してくれる。

 玉代に一礼して、永津彦は続けた。

「あの者たちは、すぐる大戦で子どもたちの遊び相手になっていた者たちでございます。もとより蛙たちに名前などはございません。名前など付けられぬままに一生を終えます。子どもたちは、学校に通うこともままならない時に、蛙たちに名前を付けて、日がな一日遊んでおったのです。子どもたちの多くは戦災や戦後の混乱の中で命を落として行ってしまいました。わたしども世田谷の蛙よりも儚い人生であります」

「そうだったのか」

「子どもたちは、そのまま長ずれば人の親となって自分の子どもに名前を付けたことでございましょう。それゆえ、蛙たちに付けられた名前は貴重なものでございました……」

 永津彦は、わたしが、この世界で妖たちに名前を付け続けていることを知っている様子だ。

 しかし、深く立ちいることはせずに、子どもたちが、いかに蛙たちと遊んだかと言うことを楽しく語ってくれた。

「鳥獣戯画という絵巻がございましょう」

「ああ、獣たちが楽し気に人の真似をしている絵巻物だな」

「あの中に、蛙が相撲をとっているものがございます」

「ああ、兎どんが行司をしちょっ」

「あれは、蛙が子どもたちと相撲をとっている図なのでございます。興が高まりますと、蛙は人に、人は蛙に変じて共に遊んだものでございます……」

 永津彦は、子どもと蛙たちがいかに楽しく遊んだかということを話しを重ねて帰って行った。

 帰り際に、これからも、蛙にとどまらずお世話になるがよろしくと頭を下げた。

 
 永津彦を見送って見上げた空は、そろそろ梅雨明け近い文月の空であった。

 

☆彡 主な登場人物

  • 武笠ひるで(高校二年生)      こっちの世界のブリュンヒルデ
  • 福田芳子(高校一年生)       ひるでの後輩 生徒会役員
  • 福田るり子             福田芳子の妹
  • 小栗結衣(高校二年生)       ひるでの同輩 生徒会長
  • 猫田ねね子             怪しい白猫の猫又 54回から啓介の妹門脇寧々子として向かいに住みつく
  • 門脇 啓介             引きこもりの幼なじみ
  • おきながさん            気長足姫(おきながたらしひめ) 世田谷八幡の神さま
  • スクネ老人             武内宿禰 気長足姫のじい
  • 玉代(玉依姫)           ひるでの従姉として54回から同居することになった鹿児島荒田神社の神さま
  • お祖父ちゃん  
  • お祖母ちゃん            武笠民子
  • レイア(ニンフ)          ブリュンヒルデの侍女
  • 主神オーディン           ブァルハラに住むブリュンヒルデの父
  •  

 

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泣いてもωオメガ 笑ってもΣシグマ・9『コクコク頷くシグマ』

2022-07-20 07:08:13 | 青春高校

泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)

9『コクコク頷くシグマ』




 だれかにハメられたか!?

 そう思いついた時、背後でカサリと人の気配がした。

 尻の穴がキュっとなって逃げ出したくなった。

 根性無しの俺は、瞬間の妄想で反射的に逃げ腰だ。

「あ、先輩!」

 グゥアーーーン!!

 声でシグマと知れたが、逃げ腰の勢いで階段室の鉄の扉に思いっきりぶつかってしまった。

「ツーーーーーーーッ」

「大丈夫ですか!」

 顔からぶつかったようで、オデコと鼻がめっぽう痛い。

 反射的に押えた手には、ヌルッと生暖かい感触がした。

「あ、先輩!」

 シグマは、すぐにハンカチを出して俺の顔にあてがってくれる。

 オデコと鼻は痛いんだけど、至近距離に寄って来たシグマからは、ソープだかシャンプーだかのいい匂いがする。

 こういう匂いは妹の小菊もするんだけど、絶対的に違う。

 うまく言えないけど、小菊のは臭いで、シグマは匂いだ。
 

 堂本からは不評のΣ口も間近で見ると、心配からだろう小さく開いてなかなか可愛い。なまじ媚びて作った表情じゃないので(なんたって、俺のω口といっしょで、本人にはウィークポイントなんだから)ナチュラルな可愛さを感じてしまう。

 分類の仕方によってはアヒル口だな……アルファベット三文字のアイドルグループに、こういうのが居たが評価は極端に分かれていたっけ……なにより本人が嫌いっていうか、表情の活かし方を知らない。

 知っていたら、このΣ口は武器になるぞ。最終兵器Σ!とかな……それにシグマの肌は潤いがあって雪のように白く、白の内側からポッと赤みがさしていて、祖父ちゃん言うところの羽二重肌(はぶたえはだ)だ。

 先輩?

 気づくと、じっくり観察なんかしてしまって、目と鼻の先のシグマの顔にうろたえる。

「あ、すまん(;'∀')」

「ごめんなさい、ビックリさせてしまって……」

「いや、勝手に驚いたのは俺だから」

「あの、こっち来てもらっていいですか? ここだと本館の四階から丸見えなもんで」

 アッ!?

 そうなんだ、別館は敷地の端っこで、あまり人の目は刺さないが、中庭挟んだ本館からは見えてしまう。

 それを考えて、シグマは人目が刺さない階段室の向こう側で待っていたんだ。

「あ、あの……これ、ハワイのお土産です」

 シグマは通学カバンからマカダミアナッツチョコの箱を出して差し出した。

「あ、いいのに、観光じゃないんだし。あ、お祖母ちゃんどうだった?」

「着いたら、もうピンピンしてました。心臓の発作で、周囲の人たちがビックリして日本まで電話してきたみたいで、でも、お祖母ちゃん喜んでたし、お祖母ちゃん孝行できて結果オーライだったと……いや、先輩にはつまんない用事頼んでしまって、すみませんでした」

 ペコリと頭を下げるシグマ。

「そうだ、これ約束の……」

 気を使って単に「これ」とだけ言ったが、シグマは一瞬で顔が真っ赤になった。

「あ、ありがとうございました(*≧o≦*)!」

 それだけ言うと、ふんだくるようにしてゲームの入った袋をとって階段室に飛び込んだ。

「あ、あの!」

 呼び止めると、俺は階段の上、シグマは踊り場という構図になった。

「は、はひ(;'∀')

 まるで警察の職質にあったみたいに、シグマは振り返った。

「えと、ハンカチ」

 差し出したハンカチは鼻血で染まっていた。

「あ、洗ってから……いや、新しいの買って返すよ」

「あ、いいんです、そんなハンカチ(#'∀'#)」

 クルリと向き直って階段を下りようとする。

「じゃ、なくって! えと……そのゲームコンプリートしたら、貸してもらえないかな!」

 シグマに恥ずかしい思いをさせちゃいけないのとノリスケの言葉がごっちゃになって口走ってしまった。

「え!? え、え、えと、えと……」

 突然の申し出に頭も口も付いてこないシグマ。

「連絡とかしたいから、番号の交換とか……」

 そう言うと、目を白黒させながらコクコクと頷くシグマだった。

 

☆彡 主な登場人物

  • 妻鹿雄一(オメガ)     高校二年  
  • 百地 (シグマ)      高校一年
  • 妻鹿小菊          中三 オメガの妹 
  • ノリスケ          高校二年 雄一の数少ない友だち
  • ヨッチャン(田島芳子)   雄一の担任


 

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