大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

鳴かぬなら 信長転生記 165『三国大説法会決まる!』

2024-02-16 14:42:03 | ノベル2
ら 信長転生記
165『三国大説法会決まる!』信長 




 曹素の五十騎は三国志各地に散った。


 魏王曹操の指示書には、三蔵法師の許しを得たうえで、魏、呉、蜀、三国の緩衝地で『大説法会』を開くべしと書かれていた。

 提案してきた場所は、長江中流の河原というか河川敷だ。

 ほら、憶えているだろう。

 俺と市がニイ・シイと名乗って三国志の偵察に出て、いろんな事件に巻き込まれた末に、茶姫の近衛兵になったことがあるだろう。

 茶姫は先見の明のある奴で、装備を鉄砲を中心とする近代装備に変更して、三国志全域と扶桑の南辺を行軍させた。
 その数三千の銃装騎兵で、見てくれは強力な騎兵旅団だったが、ロジスティックスというか輜重隊を連れていなかった。
 見る者が見れば、単なる新装備のパレードで、ただちに攻撃や侵略行動ができるような代物ではないことが分かる。一斉射撃をやれば、ものの数分で撃ち尽くしてしまう。弾薬が無ければ馬に乗っているだけのボーイスカウトと変わりない。糧食も兵が背負っている背嚢の分しかなくて、どう食いつないでも三日が限度だ。

 念のために国境付近まで様子を見に来た信玄と謙信も、その意図をくみ取ると、騎兵旅団の美しさを堪能しただけで学院に帰って行った。

 茶姫は、その美しい騎兵旅団を引き連れ、三国志各地を周り、蜀の諸葛茶孔明とも図って、孔明云う所の『天下三分の計』を成し遂げようとした。


 その業が、ほぼ成し遂げられた時に大休止をとったのが、あの河原だ。

 リラックスした茶姫は、水着に着替えて泳いだり日光浴をしたり。あやうく、俺と市もスク水でお供をさせられるところだった。

 曹操は、その河原で、豊盃のそれを上回る大説法会を開こうと提案してきたのだ。


 三蔵法師が「良いことだと思うのですが、いかがですか?」と豊盃説法会の主催者である大橋に振り、大橋が笑顔で頷く。

 そして、曹素が連れて来た五十騎の騎兵は、大説法会の開催と参加を呼び掛けるために、三国志各地に散っていったところだ。


「気が進まんかウキ?」

 思案顔で腕を組んでいる沙悟浄の茶姫にふる。

「曹操兄は企んでいる、何かは分からんがなッパ。そうとう質の悪い企みだ。曹素があんなに人のいいオッサンになり果てているッパ」

「そうか……しかしなあ、それは大説法会が成功することが前提になっているだろうウキ。それなら、大説法会の成功までは、目標は同じということだろう。まあ、あの河原は、お前が逆賊認定された場所で、警戒するのは分かるけどな、ウキ」

「分かっている……」

 言葉を切ったかと思うと、鞍壺にかけた瓢箪をとって頭の皿に持っていく沙悟浄。

 ジュウ~

 水分補給かと思ったら、強制冷却だった(;'∀')

 目を転じると、大橋が書籍範老人に、なにか耳打ちしている。

「……範のお爺ちゃん、会場周辺とかの調査を頼まれたみたいブヒ」

 そうだな、凡庸な老人に見えているが、西安の手前で見事に俺たちを発見している。ただの古本屋の爺さんでは無いのかもしれない。

『では、お集りのみなさん、公園まで戻ります。また、歌って踊って、ステップ踏みながら行きますからねぇ、次の……名前はまだ決まってないけど……そう、三国大説法会! うん、これはいいわね。三国大説法会成功に向けて、もうひと頑張り、いっきまーーす(^▽^)/』

 再び、ボレロのリズム高まって、大行進は南に向かった。



☆彡 主な登場人物
  • 織田 信長       本能寺の変で討ち取られて転生  ニイ(三国志での偽名)
  • 熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
  • 織田 市        信長の妹  シイ(三国志での偽名)
  • 平手 美姫       信長のクラス担任
  • 武田 信玄       同級生
  • 上杉 謙信       同級生 配下に上杉四天王(直江兼続・柿崎景家・宇佐美定満・甘粕景持 )
  • 古田 織部       茶華道部の眼鏡っ子  越後屋(三国志での偽名)
  • 宮本 武蔵       孤高の剣聖
  • 二宮 忠八       市の友だち 紙飛行機の神さま
  • 雑賀 孫一       クラスメート
  • 松平 元康       クラスメート 後の徳川家康
  • リュドミラ       旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ  劉度(三国志での偽名)
  • 今川 義元       学院生徒会長
  • 坂本 乙女       学園生徒会長
  • 曹茶姫         魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
  • 諸葛茶孔明       漢の軍師兼丞相
  • 大橋紅茶妃       呉の孫策妃 コウちゃん
  • 孫権          呉王孫策の弟 大橋の義弟
  • 天照大神        御山の御祭神  弟に素戔嗚  部下に思金神(オモイカネノカミ) 一言主

 
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ここは世田谷豪徳寺(三訂版)第83話《孫文桜・1》

2024-02-16 09:50:05 | 小説7
ここ世田谷豪徳寺 (三訂版)

第83話《孫文桜・1》忠八 




 日清戦争のころから横浜に居を構えている孫大人から――すぐに来られたし――という連絡を受けた。うちとは岩倉具視といっしょにバクチばかリやっていた五代前からの付き合いだ。戦後、華族制度が無くなった時も、ひい祖父さんが公職追放された時も、陰になり日向になり世話をしてくれた四宮家の大恩人らしい。

 国籍こそは日本だが、C国にも島国の方にも繋がりが深い。五代前からの友情のために、互いの困難に際しては協力し合わなければならないという不文律が両家にはある。

 前回は天安門事件の時に、祖父さんが世話をしたらしいが、それ以来は園遊会とかで顔を見る程度だった。


 てっきり横浜のお屋敷に行くのかと豪徳寺のホームに立っていると――麻布台のコンビニに来られたし――とメールが入る。


 コンビニに入ると――あんパンを二個買ってください、支払いは現金で――とメールが変わって、アンパン二個をレジに置くと「バックヤードから地下へどうぞ」と言われる。

 指示に従ってバックヤードから地下に潜ると、通路が伸びていて、道なりに進んで鉄の扉に入る。雰囲気から隣接するビルの地下だろうと思うんだけど、駅からこっち、コンビニを目当てに歩いてきたので、麻布警察とどこかの大使館ビルに気付いただけで、付近の様子は見ていない。

 横のディスプレーに――歓迎 四之宮忠八様――の文字が浮かんだドアをノック。

『どうぞお入りになってください』

「失礼します」

 きれいな女性の声に返事して、当代の孫大人は若い女性かと期待する。

「いやあ、お久しぶり、忠八君」

 ソファーの向かいに座っていたのは、流行り病のせいで、四年ぶりの禿げ頭だった。

「ご無沙汰いたしておりました、孫おじさん」

 まずは普通のあいさつでお辞儀する。

「まあ、掛けてください」

「失礼します」

「インフォメーションとかは、全てAIの人工音声にしてしまって。ごめん、ちょっと期待させてしまったかな(^_^;)」

「あ、いいえ、今どき、家電とかみんなそうですから」

 トントン

 ノックの音に続いて『お茶をお持ちしました』と、今度は別の女の人の声。

「どうぞ」

 孫大人が返事すると、カチャリとドアノブが回って「失礼します」の声と共に入ってきたのは……進歩的レストランとかで見かけるお給仕ロボットだった(;'∀')。

 こいつは、フロアーの所定の位置までは運んでくれるが、ロボットのワゴンからは自分の手で取らなきゃいけない奴だ。

 ウィーーーン

 ロボットというよりは喋る自動運搬機のそいつは、かすかな駆動音をさせて、近づいてくると、あともうちょっとというところでアラームランプを点けて停止してしまった。



☆彡 主な登場人物
  • 佐倉  さくら       帝都女学院高校1年生
  • 佐倉  さつき       さくらの姉
  • 佐倉  惣次郎       さくらの父
  • 佐倉  由紀子       さくらの母 ペンネーム釈迦堂一葉(しゃかどういちは)
  • 佐倉  惣一        さくらとさつきの兄 海上自衛隊員
  • 佐久間 まくさ       さくらのクラスメート
  • 山口  えりな       さくらのクラスメート バレー部のセッター
  • 米井  由美        さくらのクラスメート 委員長
  • 白石  優奈        帝都の同学年生 自分を八百比丘尼の生まれ変わりだと思っている
  • 原   鈴奈        帝都の二年生 おもいろタンポポのメンバー
  • 坂東 はるか        さくらの先輩女優
  • 氷室  聡子        さつきのバイト仲間の女子高生 サトちゃん
  • 秋元            さつきのバイト仲間
  • 四ノ宮 忠八        道路工事のガードマン
  • 四ノ宮 篤子        忠八の妹
  • 明菜            惣一の女友達
  • 香取            北町警察の巡査
  • クロウド          Claude Leotard  陸自隊員 
 


 
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